CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

沈まぬ太陽

2008-09-03 22:05:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
沈まぬ太陽  作:山崎豊子

読みました
もう、二週間くらい前に読み終わっていたのですが
まぁ、読んでいる途中で鬱になるんじゃないかと
心配になるようなステキな内容で驚き
初めての豊子だったわけであります

有名な半分フィクション小説であります
日航機墜落の話やら、労働組合の話、
今でいうパワハラというか、理不尽きわまりない差別
これらについて、えぐり描かれておる小説です

読んでから、あれこれ伝聞したところによりますと
当然のように大反響を呼んだそうで
そのそれぞれについて、面白いと思ったのですが
すべてを含めて作品だとしたのは
ずるいけど、面白い試みだと思ったのでありました

恩地元という主人公が、なりゆきで組合の長になって
いわゆるストとかを行使して、労働者としての要求を通す
しかし、それに腹を立てた会社が
恩地を海外左遷する、しかも10年にわたる
海外放浪を無理強いし、ろくな環境を与えず
企業という化け物が、一個人に対してこれでもかと危害を加えた
人間の暗部を描いております

というのがふれこみで、まぁ
この恩地氏の元ネタの人とかにいろいろあったり、
わたくし、この年齢になるまで
ちゃんと共産党とかの主義主張を勉強しなかったというか
かぶれなかったので、知らなかったのですが
労働とは何か、オルグとはなにか、
闘争と組合と解放のための革命とは何かを
なにか、すごい勢いで触れたような
そんな気分になれたのであります

物語はそのほか、日航機事故の時の対応のまずさというか
むしろ、あの事故がどれほどすさまじかったかというのが描かれ、
その後、民営化するためにめぐった紆余曲折のすさまじさ
それを別立てにしつつ、恩地氏を中心にして
一本の小説として書かれておりまして、
正直、いろいろ細かいところはまずいんだろうけども、
漠然としたひどいなこりゃ、という感想を抱かせるに十分な
まさにペンが武器となった例ではなかろうかと
ちょっとだけ思ったのでありますが
やられたほうがたまったもんじゃないというのもよくよくわかる
しかし、面白い
そんな人間ドラマでありました

学んだことというか、闘争について
また、共産主義的思想とか、何をもとに人道と呼び、
どうしてなにが社会と会社なのか
汚いというには、私は年齢を重ねておりますが
読んでいて、久しぶりに、すごいげんなりした作品です
正直、読んでよかったんだか悪かったんだか難しい

エンターテイメントであるが、爽快感がない

難しいことを考えたいとか
わかりやすく主義主張に触ってみたいというときには
うってつけで、ステキな作品だわと
台無しなことを思いつつ
とりあえず感想とさせていただきます
面白かったんだが、もう一度読みたいとかは思わないなぁ
ヲタクらしく、なんちゃって共産主義とか
それっぽい単語で会話するくらいがいいかと
落ち着く次第です