CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

アフターダーク

2008-09-10 23:19:19 | 読書感想文とか読み物レビウー
アフターダーク  作:村上春樹

村上春樹第二弾であります
調子にのって、最近精力的に本を読んでおるのでありますが、
こいつは思いもよらず面白かった、いや
読書を楽しめた、そういう具合の小説でした
つづきが気になるというか、読んでいて
いったいどうなっていくんだろう
と、駆り立てられるような、すいすいと引き込まれた感じ
これと、美文と呼ぶのは恥ずかしいのですが、
ステキな言い回しだわ、想像がしやすいわと
文体が伝染りそうな感じもまたよかったのであります

ただし、読み終わったら、それで終わりかよ

という感想になってしまいましたが、
久しぶりにつづきを読んで、どうなっていくんだろうかと
どきどきを持続しながら読み進められた
ステキな作品でありました
舞台は、夜から翌朝までの間を
細かく分断して、その期間にある地域で、複数人の人が
出会って、すれ違って、関係がなくて、
ちりばめられたパズルっぽい感じで
少しずつ、夜に事件が起きて、ちょっと精神世界みたいなのを覗いて
朝を待つといったような具合

全然、美文になれないのですが、
ステキと思ったのが、「月の裏のように死んでいる」という
文が出てきたのであります
これ、凄くね?まじ、凄くね?
文というか、字面と意味を考えて、すげぇーと
思わず感激してしまった次第
この前後に、どういう話があったか忘れるくらい
ごく些細な感じで、するりと挿入されている文だったんだが
凄くステキだと感じ入ってしまった
この言葉のかっこよさだけで、悶絶できるわな

文の表面だけを撫でて喜んでいたわけですが
中身としましても、面白いというか描写が丁寧というのは
随分偉そうですが、視線を誘導してくれるような文章で
凄くひきこまれやすかった
私のように、感情移入とかが下手なタイプには
そういうのを必要としない視点を用意してもらえると
随分読みやすくなるんだなと感激したのでありますところ

映画のシーンのごくわかりやすいアプローチを
丁寧になぞるように、物語中に何度も視点があらわれて
その動き、視界に入ってくる情景なにかが
事細かに描写されることで、本当にそうやって見ているような
ステキな錯覚み見舞われたのであります

なんだか、テクニック論みたいなので
非常に悲しい感想となっておりますが、
人間物語っぽさとか、人情がどうしたとかとは
ちょっと違って、なんか、うやむやしたものを
えぐりだしただけというか、別段何か事件が解決するわけじゃないんだけど
何かは起きたようだけど、どうってことないというか
どうってことなくもないけど、オチなんてなくて
ずるずる続くもんなんだぜと
全く説明せずに言い放ったような、ぬぅ

言葉が尽くせず悲しいのですが
久しぶりに、読み込んだというか、時間を忘れて
読みふけったのでメモっておきます
今日、もう一冊別のでも同じような体験したんですが
それはまた、別の機会にでも