CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

応仁秘譚抄

2012-08-16 19:13:12 | 読書感想文とか読み物レビウー
応仁秘譚抄  作:岡田秀文

応仁の乱を舞台とした歴史小説であります
当然のように、このあたりの歴史など
すっぽり知識から抜けているわけでして、
それをなんとか補完できないかと、つついっと読んだのでありました
そういう意味では非常によかった、
実際かどうかはわからないものの
この一冊において、応仁の乱に様々影響を与えた、
足利義視、日野富子、細川勝元、足利義政
それら四名の、それぞれの立場からの応仁の乱が
章立てを分けて描かれておりまして、大変わかりやすかった
筋は同じなれども、立場が違うので、
その裏、あるいは先、関係のないところで、何が起きていて
ついにあのような大乱となったのかが
理解しやすい構成となっておりました
もっとも、読み終えて、そのオチはないだろうと
思ったりもしましたが、そこは小説であります

応仁の乱のあたりの背景なんて、
そもそも、歴史の教科書で習っただろうかと
頭をひねってしまったのでありますが、
ともあれ、将軍家の跡継ぎ争いによって、
各諸大名が、あっちにつきこっちにつきと、
欲望の限りに動き回った挙句、収拾がつかなくなった
そういう乱だと思っておりましたが、
まぁ、だいたいあってるといった内容、
八代義政という、銀閣寺を作った人以外で記憶にない人物が、
そもそも優柔不断仕方ないので、
各野望を抑えられぬそれぞれ、山名宋全、細川勝元などなどと、
日野兄妹なんかが暗躍する素地を作っていたと
そういう具合でありました

それぞれがどうやって次の覇権を握るかというのを考えつつ、
そもそも、幕府というそれにどこまでの力が残っているのか
それを誰もが見誤った、その挙句に瓦解を迎えていくといった
下克上の風潮の現れ方、その中で翻弄される、
それまでの権力側という感じでありまして、
こういうのは、公家勢力が衰退していき、もはや
どうにもならぬという状況の、清盛がどうした頃とも
似ているのかもしれないと
思ったり思わなかったりするところ
ただ、それでも、脈々とそれぞれの領地のことを思い
また、天下というものがどうであるかを考えていく

やがて、おきた大乱によって、京都が燃えて消えたという
衝撃的な事実に、それぞれが改心するといった内容なんですが、
実際それほどのことを思ったのかはわからず、
でも、それを思わせるほど酷い戦場となったというのは
十二分に伝わって面白かったと思うところであります
これら興廃を受けてもなお、都としてありつづけて、
最終的にというか、戦国時代、それぞれの群雄が、
京都を目指したというあたり
なかなか面白いところであります

これによって、名門といわれる細川家というものも
なんとなし理解できてよかったとほくほくするものの
この話のさらに数代後でないと、
私の知っているそれこれは出てこないのかと思うと
応仁の乱から、ずっと政情不安定であったというのは、
生きていた人からすると、絶望的に酷いことだったんだろうかな、
あるいは、その間に都である京都は
すっかり豪勢さを取り戻していたんだろうかとか
あれこれ思ったりしながら、
その前後の勉強がまた必要だと
天を仰ぎつつ、ともあれ、
応仁の乱について、非常にわかりやすくわかる
そして、なかなか面白い小説であったので
メモっておくのでありました

日野富子という人が、とんでもない悪女だと聞いておりましたが、
この話の内容でいけば、なるほど、悪いなりにも描きようがあって、
これはひょっとすると、今の大河ドラマの風潮に
あってんじゃないかしらとちょっとだけ不安になったのでありました
なんとも、歴史と女が絡むと
いろいろ怖いなぁと思ったり考えたりであります

まぁ、どうやってもオチにはちょっと
納得がいかないのですが、物語としては綺麗にまとまっていて
ステキでありましたとさ