CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

塀の中の運動会

2012-08-25 17:57:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
塀の中の運動会  作:美達大和

以前に海外の刑務所図書館につとめる人の本を読みましたが、
今回は日本の刑務所を舞台とした小説であります
本当にあるのか、作り話なのか、私には判別できませんが、
日本の刑務所にもいくつかランクがあって、
いわゆる凶悪犯が入る刑務所というのにLB級刑務所というのだそうで、
そこに、ちょっとした過ちと自分でのたまう主人公が、
他の刑務所が混んでるからという理由でぶち込まれるという
そこからお話がスタートするのでありました

内容としては、LB級刑務所というものの生活と
そこにいる様々な人を描いたりしながら、
それらと触れ合って、なんというか、
たまたま獄につながれたという気分でいた
いわゆるカタギですから、と、それらにおびえて、
なんと形容したらいいのかわからんが、
俺もそうなったらそうするよなぁという、
非常にわかりやすいリアクションをとる主人公が
だんだんとなじむではないけども、
そこにいる人たちが、いわゆる凶悪犯というその面ではなく
ただの人間であるというところにも気づき
そして、それらに諭されるという
なかなか面白いお話でありました

この刑務所の中で運動会が開かれて
そこで活躍というか、そこに向かって努力する、
努力するなかで自分を見つめなおしていく、
外の世界へ出す手紙が、だんだんと深化していく
小説として、その手紙の内容まで触れてもらえたら
より面白かったんだろうなと思いますが
それでも、主人公が成長というではない、反省していく
その姿は非常にわかりやすく
そこまで感化されるかなと疑問を浮かべるものの
とても心地よく読めるのでステキでありました

日ごろから、あれこれと考えるということを放棄している昨今には、
そうやって禅の境地に似たような、よく見つめなおすという作業が
ちょっとうらやましくというか、まぁそうやって
気づく、そしてそれは、塀の外にいたらできるはずだと
極めて当たり前のところに落ち着きつつも
ただ、本を読んでしまうだけで終わってしまうのが
人間の悲しいところだと
自分の反省を描きつつ、読みやすく面白かった本として
ここにメモしておくのでありました

全体的にいい人が多すぎてしまったのは、
刑務所というのではなく、物語として
ちょっと興奮にかけたのかもしれないと思ったり考えたり
するのでありましたとさ