CLASS3103 三十三組

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【読書】はぶらし

2018-05-09 21:12:15 | 読書感想文とか読み物レビウー
はぶらし  作:近藤 史恵

うつうつとしているのに、続きが気になって仕方なくて
あっという間に読まされてしまった
最後は、爽快でもなければ、すかっともしないんだが
この疑心暗鬼というか、自分の中の見栄といっても差し支えないような
相手への思いやりというか、他人とのかかわりにおいて
どこに線を引くかという重大なジャッジについて、
一喜一憂して、嘆息みまいまくると
そんな小説でありまして、ああ、わかる、わかるわー
なんて思ったりしたんだが、よく思われたいというのと、
助けてあげようということ、そして、その気まぐれが招く結果と
因果によっての辟易というのが、
いかにも人間判断だなと思わされたりして
深く納得というか、あれこれ、考えさせられたのでありました

出てくる人が、みんなそれなりにいいところもあり、
悪いところもあるというのが味噌でありまして、
実際、人間社会はこういうものだよなと、
ある面ではいいところのある人が、そうでもなかったり、
敵の敵が味方かと思うと、敵の敵を見たら、
むしろ敵だと思ってたのが、可愛らしく見えてきたりだとか
様々な行き違いや、相手との情報不均衡によるギャップというか
ともかく、ひどく人間社会で生きるのは疲れるなと
その一点を物凄く的確に描いていたように思う小説でありました

控えめに強欲といえばいいのか、
自分を中心に誰でも考えてしまった際に、
相手に対して苛立ちを覚える、その苛立ちの根源がどこにあるか
相手の気持ちになったとき、その苛立ちは正解か不正解かと
そんなことを考えさせられたりして、
うつ病を発祥しそうな、考えすぎでもない、考えたくなる
人間関係がいっぱいに描かれていて、楽しくないけど面白く読んだのでありました

ここまで、と決めることが既にエゴでもあるようだし、
助けられないなら最初から助けるなというのも
ひとつあるように思ったりもするんだが、棚上げ論でもあるなと
気まぐれに助けることの迷惑というか、
それに伴うろくでもない結果、未来というのは
しっかりと予測して、断るときはちゃんと断らないといけませんねと
その場かぎりの言い逃れでもない、帳尻あわせはろくなことにならないと
反省を促されるようでもありました

ともかく、全然楽しくない話題だし、
読んでいてストレスがたまるような物語なんだが
それでもなんだか、気になって読んでしまって
なんだかんだ、面白かったと思えてしまう
魅力ある文章を楽しんだのでありました


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