CLASS3103 三十三組

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婢伝五稜郭

2011-05-06 22:32:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
婢伝五稜郭  作:佐々木譲

タイトルだけで思わず読んでしまった
そんな感じであります
五稜郭とくるから、函館戦争の話だろうな、
ひょっとすると、土方絡みの女の話かしらとかなんとか
あれこれ期待して読み始めたのですが、
残念ながら、土方歳三とはまるで関係なく
一回だけ名前が出てきましたが、
もう、まるで無関係
時代は確かにそうでありますが、すでに、
弁天台も陥落といって相違ないときに始まり
そこから、一つの事件が起きていく
そんな具合でありました

主人公が復讐の鬼、いや、物語の文章を借りると
夜叉になって、悪辣の官軍を殺す、
そんなわけであります
函館戦争終結間際のいわゆる、
戦争の暗部というか、虐殺絡むそれこれが事件としてありまして、
そこで、いとしい人を殺された女性が主人公
そして上述のとおりといったところであります

なんというか、戦争なんだから当然のような気がせんでもないですが、
実際のところ、殺すという行為自体が戦争のそれではなく、
事件性のある殺しに近い、なんといったらいいか、
そこを分別する必要があるか?というところもありますが、
歴史物というではなく、事件物というのか、
そんなジャンルでありました
推理ものでもないため、犯人を追うというスリリングと違い、
追われる側ということもあって、
仇が近づいてくるさま、まつわる、さまざまな事件
それぞれが起きて、そして、それによって
また殺しの火を見るというのか
ともかく、割と簡単に殺してしまい、
そこに戸惑いはないんだけども、悪いことをしていく
そういった、後味の悪さというか、なんとも
悲しいことが描かれておるのでありました

まぁ、最終的に別段、悲しい物語となるでもなく、
ハッピーといえば、そうかしらといったところに落ち着くので
安心して読んでいられるのでありますが、
戦争をテーマにしつつ、事件をおうような内容が
なかなか不思議な感じで面白かった
そんな風に感じたのであります
古いところで、不夜城とか、なんか
あれを思い出した気がせんでもないです

官軍がびっくりするくらい悪党に描かれ、
(まぁ、そんなのも居たのかもしれませんが)
榎本の理想をかなりよさげに描いているのが
割と新しいというか、ちょっと驚いたのでありますが、
そんなのは瑣末なことで、
難しいことはあんまりなく、復讐とそれにまとわりつく、
黒いものを描いていた
そんな小説だったように思えるのでありました

分厚いわりに、さらっと読めたのも
なかなか不思議なところ
読みやすい文章でステキでありました


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