【読書】すべての仕事はデザインから始まる。

すべての仕事はデザインから始まる。　　著：カイシトモヤ

デザイン発注のイロハについての本。
確かにデザイン発注という実務的な内容ではあるのだが、
内容はコミュニケーションのとりかた、
意思疎通の仕方という部分にフォーカスが当たっていて
割となんにでも応用できそうな内容で面白かった

デザイン発注という仕事自体は、作業やお使いなどではなく
デザイナー等、発注先と共同して作り上げていくというプロセスの
非常に重要な部分であるというのは確かにその通りで、
むしろ、なぜうまく仕上がってこないのかという部分について
その誤解というか、うまくいかない理由をあれくれと言い当ててくれるようで
なかなかに楽しかったのである
実際そうだよなと思うところもあるが、
わからないから投げるという発注側の気持ちもまた、わからんでもないなと
そのゆらりをうまくこなしてくれるデザイナーと出会ったら
いい仕事になるという話しなのかもしれない

発注方法について、当たり前ながら、がちがちに固めておくという方法もあれば、
自由度を重視するというのもあるという当然の話しで、
そのどちらも正解の時がある、それは相手によるというのがミソとなっており
その相手というのをどう見つけるか、あるいは知るかというために、
ブレストとか、ともかく相手を知るということ
また自分を知らせるということが重要という
人間会話が大事よなという当たり前のそれに落ちる話しでもあった

様々な齟齬は当然ありうるというのは、研修なんかも含め、
さんざん社会人は経験するわけだが
仕様を決めていく段取りで、言葉のすり合わせの大事さというのが
こういうところでちゃんと啓蒙されると
少しは幸せな仕事になるのかもしれないと思ったりもするけど
その固まらないところに良さがというのと、
そこに小ずるくフリーライドする輩との差というのはどうしたらよいかとか
ちょっと脱線したことも考えてしまったのであった

まぁ、実際はそこではなく、やりがい搾取的な部分への警鐘があったり
デザイン側の注意事項がしっかり記載されていて、
これは注意を促すことができるわけだが、発注側がしめしめとかしてしまいそうな
そういう危険性もあるのではとか思ったりしたのでありました
まぁ、デザインを軽んじる傾向といってはなんだが、
そうではない人が、その重みと価値というのを低く見積もりがちというのは
とてもわかるなと思ったりするのであった
不思議なもので、自分にできないことを他人に頼んでいるのに
もっと安くできるでしょ、元手かかってないんだからという思考は
おそらく結構たくさんの人がもってそうだよなと
それこそデザインに限らず思わされたりするわけで、
そこを譲らないようにしながら、最大限によいものを作るということへ尽力する
そのための対話と、健全な組み立てをしていこうというのが
ある種の夢なのかもしれんなと思いつつも
読んで楽しんだのでありました