CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】何者

2013-11-08 21:10:50 | 読書感想文とか読み物レビウー
何者  作:朝井リョウ

直木賞受賞作であります
そんな理由で手にとったのですが、
まず、作家さんが若いことに衝撃を受けたのと同時に、
書いてある内容が、私が知っている学生時代とは
明らかに違うということに、またもや衝撃を受けたのでありました
内容は、非常に面白いというか、
ああこれは読んでしまう、作中の言葉を借りると
掻きたてられる感じが凄いする、ステキ
そんなわけで、かなり気に入って読んだのでありました

内容は、就職活動を舞台にした、
男女のひきこもごもを描いた作品でありました
男女のと書いたけども、実際に色恋部分は一切というほど
毛ほどにも出てこないのでありますが、
男の側のそれ、女の側のそれ、学生としてのそれ、
そういった、さまざまなアプローチを
キャラクタたちが語り、それを、主人公の押し殺した感情を
撫でながら読んでいくような、
そういう小説でありました、なんというかステキすぎる
こういう若者は、たくさんいるだろうと
容易に想像できてステキすぎる

そんなわけで、よくよく描かれていたと
安く感動なんて、言葉を使ってしまうわけですが、
その描写と、わざとらしさも含めたものが、
最後の部分にすべてつながっていくと
いたたまれない、だとか、わけもなく悲しい、だとか、
お前は俺か、だとか思うのでありまして
なんというか、よくある話で、テーマだけども
こうやって、今の就職活動というそれに当てるだけで
ずいぶんと面白く読めてしまうのだと
感服したのでありました

というか、西村賢太好きな自分は、こういう
自分を吐露したり、なんか、あからさまにするというのが
ただただ好きなのかもしれない、ちょっとした
M行為なんじゃないかしらと思うのですが
ともあれ、共感も含めて、なんというか
楽しんで読んだというお話でありましたとさ
こういう日常は、本当に転がってるし、
たまたま、就職活動に充てただけで、
いつだって、こういうことになるよね、なってるよねと
思うほどに楽しい、いや、胸が詰まるというのか、
ともかく、いやな汗をかける小説でありました

よかった。

NHKスペシャル 緒方貞子 戦争が終わらないこの世界で

2013-11-06 20:33:41 | ドラマ映画テレビ感想
8月頃なので、ずいぶん経過してしまいましたが、
あんまり見る気もなく、ながら見していたら
目を離せなくなってしまった
珠玉の名番組だったと思います
国連難民高等弁務官という、聞きなれないそれに従事された、
緒方貞子さんのその偉業について
ドキュメンタリードラマを交えて紹介してくれる
凄まじくよくできた、久しぶりにNHKの本気を見たと
そう思わされた番組でありました

愚かなことに、私まったく緒方さんという方について
知らずに生きていたわけですが、
その凄まじいというのか、いつも、なんとなし
物語的に語られるとバカにしていた
愛とか、平和とか、救うとかいったことを
本当に、まっとうしておられた姿は、
自分を恥ずかしく思うほどでありました
なんと言い表すこともはばかれるほど、ただ凄い、
行動力と、決断力、その芯にある強い意思
全てが尊敬に値する、畏敬を覚えるといえばいいのか
あまりの凄さに呆気に取られたのでありました

外交官という職種に近いといえるのか、
さりとて、政治からはずいぶん遠い、
本当に人間について考えた結果を遂行したというか
ともかく、理論とか理屈とか、妥協とか利益とか
そういうのを超えたところにある
本当の正義といったらいいんだろうかな、ともかく
とてつもなく立派なことがそこに成されていたのだと
感激というのも軽々しい、
ただただ、敬服つかまつるというばかりなのでありました

まったく番組について触れられていないのが
自分の限界でありますけども
ともかく、凄い人というのはいるものだと
あまりのことに目がくらむほどの衝撃を受けたと
それを教えてくれたこの番組に
グッドジョブと伝えようと
メモっておく次第なのでありました
本当、凄いことだ、どうなってんだろうかと思うほど
凄すぎる

【読書】いい名

2013-11-05 20:46:30 | 読書感想文とか読み物レビウー
いい名  著:紫舟

本というか、カタログというでもない、
紫舟先生の書が見たいなぁと
ずっと考えていたところ、目に入って読んだというか
眺めたのでありました
名前をエピソードとともに紹介し、
そこから浮かぶスタイルで書にしたためた
そんな作品集であります

紫舟先生については、美の壺の題字にはじまり、
龍馬伝の題字と、その年のNHK書初めにて
見事なそれを披露されたのを見て
すっかり魅了されたというか、
いや、書道というのは、やっぱりいいもんだなと
あこがれてみていたのでありました
その、紫舟先生の書が、いくつも見られるというのは
なかなかに眼福、ステキに満腹といった按配で
数ページずつ眺めてもいい、
なんともいえず、満足できたのでありましたとさ

本としてどうかというと、
割と年配の方が多いという印象で、
そんな年配の方なのに、やけにハイカラな名前が多い
それに驚いたのでありました
なんというかな、最近のキラキラネームなるものも、
些細なことではないか、昔からあるんじゃないかと
そんなことを思わされたのであります

また、いずれも、想いのつまったエピソードと語られておりまして、
涙を誘うそれこれが多いものの、年配の方に多く見られた
戦後のどさくさで登録した名前が間違っていた系が、
なんというか当時を思わせるなぁと、個人的に好きな
エピソードシリーズでありました
別段シリーズになってないんですが、そう思えるほど
いくつもあってステキ、名前読み間違えられた挙句登録されてるとか、
体の弱そうな子だから、戸籍に入れないほうがよいとか
昔って、そんな感じだったんだろうなと
憧憬としてとらえて楽しんだのでありました

ともあれ、書の本でありながら、
かなり破天荒というか、もはやイラストと言ってもよいような
そんな作品が並んでおりまして、なかなか面白かったのでありました

【読書】杏のふむふむ

2013-11-04 20:01:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
杏のふむふむ  著:杏

エッセーを読みました
北条政子役が非常によかったことと、
タイムスクープハンターで大活躍しているところ、
そして、ごちそうさんで主役をやっていること
これが、杏さんに対する私の知っていることでありまして
同時に、それを知っていたので
是非にと読みたいと手に取ったのでありました
内容は、その濃厚な半生というでもないが、
それまでにあったことを、つらつら
可愛らしい文章でまとめたものでしたが
非常に面白かったのであります

もともとはモデルをされていたのだそうで、
しかし、そのモデル世界に入ったのが
高校卒業してすぐだったような具合、
しかも単身ニューヨークに飛んで、そして
パリ、ミラノといったファッションの最先端と思われるところで
それこれモデルとしての修行というか
仕事をこなしていたというお話
凄すぎる、なんという18歳だ、いや、もしかしたら
17歳くらいからやってたのかもしれない…

さらりと書いてありましたが、
所属した会社の社長が、お金持って逃げたりとか、
つつけばつつくほど、面白エピソードが出てきそうな感じでしたが
あんまりそういうのをべらべらと書くようなスタイルでなく、
そんなこともありました、けど、こうでした
いろいろ大変でしたけど面白かった
みたいな、まったく平坦で、すがすがしさのある
ステキ文章で綴られているのでありました
いかん、ファンになってしまう(注:すでになってる)

しかも歴史好きということで、
タイムスクープハンターの仕事のときに
かなり詳しいだとかいう噂話は聞いていたものの
実際にそうだった様子で、
かなりあれこれと調べたり、実地に行ったりしている様子
単純に歴史を楽しんでいるという形で
またまた好感触でありました
なんというか、魅力的すぎて凄いな
すっかりファンであります、応援しよう(なんだかな)

そんなこんなで、とりたててこれが!とか
あれが!なにが!どうした!といった内容もなく、
正直エッセーとしては平たい感じで
そんな、抜群に面白いエピソードが載っているのでもないんだが、
それは文章のなせるところの様子で、
実際はかなり濃い目のエピソードがてんこもりで
非常に面白い内容でありました
杏さんという人の、一端を知ることができる本だと
なかなか、ためになったなんて
思ったりするのでありました

なんにせよ、凄い人だ、尊敬に値する

八重の桜  襄の遺言

2013-11-03 23:25:46 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「八重の桜」
視聴完了しておりました
なんだよ、タイトル詐欺&予告詐欺かよ
そんな風に思ってしまいましたが
大殿が出てきたので満足であります
というか、今回は八重パートというか、
世の中の趨勢よりも、山本家、いや、新島家に
いろいろとあったと、そういうお話でありました

緊迫した病状シーンから、タイトルといい、
完全に襄が死ぬもんだと思っておりましたが、
思わぬ肩すかしで、まぁ、奇をてらった演出というか
脚本に驚いたのでありますけども、
ちょっとわかりづらいだろうと苦笑いでありました
面白かったからいいといえばいいんですが、
なんだろうかな
ただ、そうかと思えば、本当の話だったというのは
衝撃でありました

それとはまったく別に、
住み込みの書生が、そこの奥さんとねんごろになんて、
どこのいかがわしい小説かと思うようなことが
しれっと行われていたことが、
なんというか悪い冗談のようでなんともはや
思い煩わされたのでありました
あれはいかんだろう、目の見えない兄さまに
あのあれは、あの書生は殺されても仕方ないのではないか
そんな風に思ったり考えたりであります

予告で、酷い離縁ぽい演出でしたが
今回みたいに予告詐欺で、もうちょっと
美談仕立てになるんじゃないかなと
予想したりして楽しいのでありました

さておき、八重があれこれと悶着を起こすというのを
やんわりと母様がなだめるというシーンが
今回もよく効いていたというのが素敵でありまして
あれは、何かへの伏線になるんだろうかなと
少し不安に思ったりもしたのでありました
世の中がきな臭くなっていく感じもさることながら
とりあえずは、兄様夫婦の話が
どういうオチになるのか楽しみに待つのであります

【読書】女もたけなわ

2013-11-01 20:02:20 | 読書感想文とか読み物レビウー
女もたけなわ  著:瀧波ユカリ

あの江古田ちゃんの作者が本書いていたというので
なんとなし読んでしまいました
しかし、江古田ちゃんといい、デザイナーがアレなのか、
作者の趣味なのかわかりませんが、
少なくともおっさんが、ほいほいと持って読んでいていい
そんな雰囲気がまったくない表紙が困りますね
マーケティング上、視野に入ってないから仕方ないんでしょうが

などと、そういう後ろ暗い感じの文章に
思わず引きずられてしまうような、
ねたみとそねみとひがみと憎悪で出来上がった
見事なまでの女心は、さして、
女性に縁のないおいらにも、非常にわかりやすく
いろいろと説明がなされていて
なるほどなぁなどと思うのでありました
そういうわけで、文章になっても、
まったくもって、江古田ちゃんと同じテンション、
同じような話題と論法で、楽しく女を描いた本でありました

ここが、とか、どうした、とか
そういう感想は、そもそもナンセンスな気がするので
ただただ、その頭がよいというか、
ふらりと読んで一時的な楽しさを味わうには
非常によいというか、抜群によくできた
暇つぶしにもってこいの本でありました
言葉選びも巧みで、視点も面白く、楽しめる本であります

さておいて、一番驚いたのが、
本人が結婚してて、しかも子供まで居たという事実でありまして
なんか、勝手に江古田ちゃんを想像していたために
その衝撃たるや、相当なそれでありましたが、
ともあれ、なんというかそれもそこまで気にさせないというか、
いや、それはもう、作者の術中なのか、
これを読んで、怒るという選択肢を選んだ時点で、
こいつに負けてしまうと、読んでいる女子と呼ばれる人たちは
思ったりするんだろうか、どうなんだろう
考えたりなんだったりしながら
多分、女はそんなこと気にせずに読んでいると
感じたりするのでありました

なかなか、面白かった