森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「残酷な神が支配する」

2007-02-09 22:44:20 | 漫画・マンガ・まんが
この本の詩的な題名に魅せられて、この本を単庫本で読み始めたのは何年前だっただろうか。
 どこの本屋でも大量入荷と言う本ではないので、本屋ではちっとも揃わなかった。今日漢検の問題集が欲しくて、久しぶりに本屋に行くと、文庫で置いてあった。しかも1巻から10巻まで出版されていると言うのに4冊くらいしかない。でも、最終巻があったので、やっとイアンとジェルミのその後がわかる。
 単庫本で揃えてきて最後が文庫と言うのも、くだらない美意識に反するが諦めよう。もう、こういう本を本屋でそろえようというのがきっと間違いなんだと思う。


 養父からの性的虐待、それから逃れるための殺人、ドラッグ、売春、義兄との愛の行為。そんな言葉を並べたら、人はどんな印象を持つだろうか。

闇のトンネルを抜けると、また闇の世界が広がると言うような出口のないジェルミの苦しみ。その苦しみにとことん付き合おうとする、義兄イアンの苦しみ。二人の想いは交差しながらも彷徨い、漂流し続ける。

 始まりはイアンの父と、妻になったジェルミの母の葬儀から幕は開く。イアンは心の中で呟く。こいつは人殺しだ。悲しみにくれるジェルミを見てそう感じている。

サスペンスの色濃くスタートが切られるが、ジェルミの告白から、その再生ドラマへと転回していく。

最終話にして、私はやっと「残酷な神」が誰をさすのかを理解する事が出来た。

どんなに闇の夜が続いても、明けない夜はない。そんなことを感じることが出来る、作品だと思った。

―心も姿も美しいイアンには、心惹かれてしまいます―
コメント (2)
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