森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

架空畳「ダイナモロンド×ストランド マテリアル リプレイ」

2009-01-11 02:02:09 | 観劇・コンサート日記

 ―だからさ、前から言っているけれど、ここのお芝居は馬鹿になったら見ることは出来ないのよ。

ああ、とうとう私はその馬鹿になってしまったのだわ。さっぱり分からないじゃないのよ。― と、苦悩すること数分。

馬と鹿になってしまった脳は、すっかり自由に成ってしまって言いたい放題、心の中で会話していた。

「噛みまくりだよ、あなた。」
「2時間強で、声が枯れてくるような発声をしていちゃいけないよな。」
「その動きに何の意味があるのだろう。」

 

 それでも波のように押し寄せるセリフと、ショートショートの物語に付いて行ったときに、私の中の馬は「運命」と言う名前の競走馬の「逃げ」のエピソードに頷いて静かになっていた。

それでも鹿は私の中で暴れていたが、それはいつしか共鳴と言う鳴き声をあげていたのだった。

例の如くカーテンコールもない寂しい終わり方なんだけれど、その時姉が涙を拭った。

「どうしてよ。」と私が責めるようにいうと、
「分からない。分からないけれどなぜか泣けてくるのよね。」と言う。

この時私にふと感じたのは、驚きよりもかすかな妬み。極端な睡眠不足で、私の心は鈍感になっているに違いない。

演劇でも映画でも、何かを評する時、概ね人はメッセージの発信者のみにその責任を取らせようとするけれど、実は受信者側の許容と能力にも大いに関係がある場合が多いと私は思っている。

だから普段は上に書いた「」の中のようなことは、思っていてもあまり書かない。

ちょっと余談だけれども、
心優しく良いことがかなり深く書いてあったりすると、その人は良い所しか見ていないように思うかも知れないが、実はそれに比例して違う部分も見ていることも多い。だけど敢て書かないのは、好きであると言う意思表示なのだと思う。だから通りすがりの人には甘く感じることがあるかもしれないが、その人が本当に甘い人かは本当は判らないことだ。

逆に批判だけが数行、書かれてあったとしても 、それこそ「それだけ」のものだからどうって事ないんだ。

 

で、話は元に戻して、昨日の1月10日、私たち姉妹は池袋で待ち合わせをして、「架空畳」の「ダイナモロンド×ストランド マテリアル リプレイ」を観に行ったのだった。

姉の涙の理由はやっぱり分からないが、最後の数分、私はしみじみと感動していた。

「架空畳」の命はセリフ。

「そして私の話す番が来た。」

 

なんだか私は自分の中の馬と鹿を抑えつけ、自分がしゃしゃり出て自分自身とメチャクチャ話したい気分になってしまったのだった。

「運命」の扉を叩く音の話。
化石と石油の話。
膨張する宇宙の話。
イヌイットの家の話に共鳴。
地球のマントルの話。

最初はさっぱり分からなかったけれど、あるセリフを引き金にすべての辻褄が合う。

家に帰って、やっぱり自分がいけないんだなと反省した。なぜならHP(綺麗になっていた。)にちゃんと書いてあった。それを読んでいけば、私の中に馬と鹿は生まれなかったはずだ。

 

 その時、君は、傷つき、疲れ果て、遠く南極の彼方から、砂浜へと打ち揚げられた一頭の鯨だった。
満潮の海水に身を浸し、獣特有のガラス玉のような目で私を見上げた君は、やがてただ一言、休ませて欲しいと言った。
私は、君に言った。
夜の間に出発したほうが良い。朝になれば、近所の漁師があなたを見つけます。あなたの肉は、この冬の大変なご馳走になるのです。
君の虚ろなガラス玉の光が、ふと、常夜灯の優しい灯りに変わったような気がした。
大丈夫。朝になれば、引き潮が沖へと運んでくれるから。
そして君は眠った。潮が引き始めた頃、すでにガラス玉の目に戻っていた君は、沖へ帰ることは二度とできないであろう巨体を引きずって、それでも最後に一度、浜辺中に響き渡る声で嘶いた。

また会いましょう、いつかまた。ある晴れた日に、もう一度。

私には、その言葉が、悲鳴のように聞こえた。

 

 ― ‐ ― ‐ ― ― - ―

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 なんとなく呟いてみたくなったりして・・・

ある時人の想いは混線し、思わぬものと交信する。

ツー・ト・ツー・ト・ツー・ツー・ト・ツー

もしもし、私の思いは通じていますか。私の声は聞こえていますか。私はあなたを愛しているのですよ。ずっとずっと昔から。だけどあなたが悲鳴をあげていると言うのに、私は手をこまねいているだけ・・・
でも生まれた時から愛しているのですよ。次の誕生日には46億年と何歳になるのでしょう。

 

もう深夜ですね。たわごとはやめて眠ることにします。

「架空畳」の公演は12日まで池袋シアターグリーンにて

星のように降り注ぐセリフを楽しみたい方
ぎゅっと詰まった情報の嵐に身を任せたいあなた
私が何を言っているのか、そのパズルを解いてみたい方は、ぜひ・・・。

HPは→コチラ
 

 

 

 

 

 


 


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