子供をぎゅううと抱きしめる。
そんな普通の事が、子供の成長と共に普通には出来なくなるのが日本と言う国なのですよ。
だからそれが出来る時代には、思い切り、ぎゅううと抱きしめてあげてくださいね、お母さん。
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今年の夏、ちょっとお仕事頑張っているって書きましたが、歳には勝てなくて、すぐヨロヨロしてしまうのです。
午前中のお仕事が終わって昼食を食べた頃、その疲れに耐えられなくなって、ソファで横になっています。そのままウトウトする事もあるけれど、ほとんどがゴロゴロしているだけです。
そんな時に、お仕事に行くためにラッタ君がリビングにやってくることが多いのです。
「あのさあ、私、朝からこんな風に転がっていたわけじゃないからね。家事もやったし仕事もやったんだからね。」と寝転がりながら、言い訳をする私。嘘を言ってるわけじゃないから、「言い訳」って訳でもないけれど、その日に初めて会った時の姿がそれじゃ、何か一言言いたくもなってしまうのです、母としては。
「hahaha、知ってる。」とラッタ君。
そして、その後私にも午後の部のお仕事があって・・・・
そしてまた疲れてしまう私。
そしてまたソファと一体化する私。
夏のお仕事時間が変則的なラッタ君、予想外の時間に帰ってきたりなんかもして。
思わずワタクシ、
「あのさぁ、君が出かける時と同じ姿だけれど、別にずっと、ここに同じようにいるわけじゃないからね。」
「大丈夫ですよ~。知ってるから。」
知ってるからと言われると、ちょっと安心する私です。
でもきっとラッタ君の脳裏には、キリリと働くお母さんの姿よりソファでゴロゴロしている私の姿が焼き付けられていってしまうのかもしれません。
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そう言えば、私の母も良くお昼寝をしていました。なんたって4人も子供がいるんですものね。洗濯に食事の支度にあれやこれやで、疲れてしまって当然ですよね。今なら当たり前のようにそう思えるのに、子供の時の反抗期には、そんな姿がちょっと嫌な時もあったのでした。
専業主婦なんだから、私たちが帰るまでにお昼寝をして、そう言う姿を見せないと言う手段もあったのに、そんな器用な事が出来なかった母でもありました。
でも私、本当は母のお昼寝が嫌じゃなかったのです。
辛い時や悲しい時に、母と添い寝して同じ時を過ごすと、不思議と辛い事悲しい事と向き合って、また頑張ろうと言う気持ちになれると言う事に、ある日気が付いたからです。伊達に母の胎内に10ヶ月も居たわけではないのですね。もうあの小さな子宮には戻る事は出来ないけれど、その側に近づいて心を休めると、その体温とぬくもりからパワーが伝わってきて、不思議な力が沸いてくるのです
これはkiriy的発見です。
でも私の子供は男の子。
この発見が成長した男子には使えないのが残念です。
でもちょっと前ですが、ルート君にはかなり打撃的なことがありました。落ち込む気持ちを一生懸命耐えているのが分かりました。彼の部屋に行くと、折りしも布団でゴロゴロしていました。その傍らに行って、四方山話をする私。そのうちそこで横になり・・・
「ひぇぇ~、おばちゃん。寝るならソファーに行って下さいよ。」
「良いの良いの、話していたら疲れちゃったからちょっとだけ。」とか言いながら布団の端っこの方を借りて横になってしまいました。その時、ちょっとだけルート君が落ち込んでいる内容のことに触れてお話をしました。それからほんの少しだけ二人で目をつむって静かにしていたのですが、私が起きるというと、
「俺も起きよう。なんか知らないけれど元気出たし。」と彼が言いました。
日本にはハグと言う習慣が無いでしょう。今時じゃ、ドラマや映画では見かけるシーンですが。やっぱりリアルじゃ、そんなにはない事ですよ。
日本男子は、ひとり風に吹かれて立つのみです。頑張れ男子。
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先日再び実家に帰りました。この前の墓参りから幾らも日にちが経っていませんが、今度は姉妹が全員集合です。
食べておしゃべりしてゴロゴロしてまいりました。
妹の一人は日帰りで帰りましたが、もうひとりの妹と私は泊まりです。翌日の朝、急に母の具合が悪くなりました。姉妹集合でいつもより仕事もあったとは思いますが、そんなにこき使ったとは思えず、どうもこの暑さにやられたのではないかと思いました。先日帰った日は異常に暑く、アルコールに弱い私なのに、思わずビールをお茶代わりに飲んでも、汗が噴出すので酔わなかったと言うそんな日でした。
母にはすぐに休んでもらいました。一番下の妹は方などのマッサージをするのが上手で、朝食の後、母の肩や腰などをマッサージしていました。私もその辺を片付けてから母の部屋に行くと、妹とおしゃべりしている母の声には張りがありました。
なんだかホッとしました。
やっぱりまだまだ元気で居てもらいたいのです。居なくなったら困ります。だって父と母はとても仲良しなんですから。
「ここに横になりな。」と母が自分の傍らを空けました。反対側には妹。
そっと横になった私を母はそっと抱きしめて
「私の子供」と呟くように、そして幸せそうに言ったのでした。
その時、思わず私がじわっと泣きそうになったことは、母には内緒です。