一つ前の記事、「私たちは「戦争を知らない子供たち」。そして大人になった・・・。」で、その曲のことを、大人になるに連れて甘っちょろく感じたなどと失礼な事を少々書いてしまいましたが、まあ、私は正直な人ということで許してください。
って、余計にダメか・・・
じゃあ、甘っちょろくない歌ってどんなんだよーと言われたら、私はやっぱりこの歌をあげます。
この歌が最初にラジオから流れてきた時、思わずゾーッとしました。
「怖い!」
私はそう思いました。
実はこの歌はその後、冒頭の歌詞の一節から、放送禁止歌になってしまいました。だから知らない若い人もたくさんいると思います。
ところが私、この冒頭の歌詞、最初から聞き間違えて、そしてその歌詞のまま信じていました。それはあることを示唆していて、流れ的におかしくなかったのです。放送禁止歌だと聞いて、最初は不思議に思ったものです。内容が過激だからかなとさらに勘違いするところでした。
どんなふうに勘違いしたのかというと
「僕、星になっちゃった。
僕、なんにも話すこと出来ない・・・」
と。
実は長い間、この勘違い歌詞のほうが好きでした。
しかし今この歌を聞きなおしてみると、その言葉ゆえに、ある日突然に言葉を奪われてしまった理不尽な悲しみが切々と伝わってくるのでした。この歌の真意がわかる聾唖の方が、この言葉で気分を害する方はいないと、私は思うのですが・・・
〈↓歌詞にあらず。〉
海に投げ出された私の体は
静かに静かに海の底に落ちていくのです
魂はとっくに境界を超えてしまいました
ふと目覚めて空を見上げると
煌く波の光は遥か天井にあり
その向こうを、まるで魚影の群れのように
戦闘機が海を渡って行くのです
あなたはそこにいるのですか
私はここにいますよ
静かに静かに海の底に落ちていくのです
泣いてみたいけれど
涙も枯れました
叫んでみたいけれど
声も出ません
誰が私を殺したんだろう
あなたが殺したのは誰なの
ああ、死にたくなかったな、
ああ、死になくないな
だけどもう、私は何も言えないのです
想いだけを繰り返しながら
海の底の静寂という音を
じっと耳を澄まして聴いているのです。
※ このジャックスというグループが歌っていたのですが、私はこちらの女性バージョンで聞くことが多かったのでこちらを貼っておきます。
小林啓子 / からっぽの世界(1974)