つみきのいえ平田 研也白泉社このアイテムの詳細を見る |
この本の原作アニメが短編アニメーション部門で米国アカデミー賞を受賞した時から、そのアニメも確かに見たいのですが、それよりもその絵本が欲しくなってしまった私です。ハイ、はっきり言ってミーハーですから。
でも急ぐ必要もなかったので、先日ふらっと本屋に立ち寄った時に山積みになっていたこの本を求めてきました。
それでその日に家にやってきた子供達に、その本を買ったことを告げ、帰り際に読んでいっても良いと勧めました。いつも遅い時間に来る子達でしたが、通知表をもらう日だったので、早くやってきました。いつもならそんな時間はないのですが、帰る時間になっても外が明るいと言う余裕でしょうか。皆喜んで読んでいきました。
子供も意外とミーハーなのです。
今日こんな事があったと親に報告したかったり、母より先に話題になっているものを知って、自慢したかったりもするのです。世間で話題になっていることにも興味を示すのも大人と一緒です。
よく、
「うちの子ってぜんぜん本を読まなくって。」と言う人に出会いますが、こういう話題性が高い時がチャンスなんだと思いますよ。
だいたいそういうことを言う方って、言ってるだけで、それに対して何かをした事がないんです。本を読み聞かせたこともないし、一緒に本屋に行ったこともないし、図書館に行ったこともない。本を読んでいる自分の姿を見せたこともない・・・
ナイナイナイと言っていたら、
「そんなことナイわよ。」と叱られそうです。
そんなことナイのに、それでも本を読まない子には、ミーハー魂を揺さぶるのですね。
意外と字数も多くて、内容も淡々としています。「大人のための絵本」と言われていますが、小学高学年から大丈夫だと思います。
読んでいた子供の表情が、微妙に変わりました。
その子がパタンと本を閉じた時、
「一番下までおじいさんが行った時、結構クルよね~。」と声をかけました。
子供相手に、こんな抽象的なおばさん会話でいいのか、「クル」っていったい何が来るんだ、場所特定のお仕着せ感想を押し付けていいのかと、一瞬私の脳は考えましたが、帰り際の一声なんだからこんなもんでしょと、私の「感覚」が応えます。
その子はちょっとしんみりとした顔をして、「うん。」と頷きました。
物語がとっても良いというわけでもないのですが、なんと言うか、アイデアと優しい絵の感覚の勝利と言うか・・・・。
街が家が海に沈んでいくとなれば、誰もが考えてしまう地球温暖化。だけどこれはそれを何とかしなくちゃ、と言うことをテーマにしているわけではないのです。起こり得る現実の世界をストンと受け入れて、それでも人生を楽しく力強く生きている人々の姿がおじいさんを通じて伝わってくるのです。
どんな時代でも、大切なことは同じ・・・
過ぎていった時間は、みんな記憶の海の中。時にはそのそこまで戻って大切だった思い出に出会うこともいいのかもしれません。新しい家=今を生きるために。