2月に読んだ本の感想です。
次に何を読もうかと思う時、ブログで読んだ皆さんの感想や紹介を参考にしたり、またはツイッターでの評判などを参考に選ぶことが、最近では多いかもしれません。私の場合は、映画の原作と言うのもかなりあります。以前は本屋さんや図書館の棚の間をふらふら歩き、インスピレーションで探すと言うこともしていたと思いますが、今はそれは意外と稀です。本屋さんにあまり行かなくなって、ネット注文で本を買ったり、または図書館では予めの予約が多いからです。
だけど本屋さんや図書館でのウロウロは、宝探しのような面白さがあって楽しいですよね。
これを書いている途中で、その楽しさを思い出し、また本屋さんに行きたくなりました。
しかし本との出会いは、意外なところからもありますよね。
実は子供の国語の教科書からとか、またはテキストの問題の文からとか。
もちろんテキストなどは抜粋がほとんどですが、この文の前後の物語はどうなっているのだろうかと、凄く気になるものがあり、本を知るツールとして侮れないものがあると思います。
この本も、中学生の受験用テキストに載っていた文から気になり選んだ1冊でした。
風船ロケットを打ち上げたい6年生のハル。その費用をおじいちゃんに借りたいと申し出ます。
気骨のあるおじいちゃんは、孫にお金を貸す事は出来ないと言います。ハルは資金を調達できるのか‥‥というよりも、その小学生にしては大掛かりなロケットは果たして成功するのか気になりました。その場で検索して、そのテキストを解いている中学生に教えてあげようと思いました。
あらすじ
【「おれはNASAのエンジニアになりたいんだ」それが彼の将来の夢。小学六年生の佐倉ハルくんは、ひとりで風船宇宙撮影を目指しています。できる限りおとなの力を借りず、自分だけの力で。そんなことくらいできないようでは、NASAのエンジニアになんて到底なれないから。意地っ張りな性格もあってクラスでは孤立、家に帰っても両親とぎくしゃくし、それでもひたすらひとりで壮大な目標と向き合い続けるハルくんの前にある日、金髪の転校生の女の子、鳴沢イリスが現れました。教室でなくなったうさぎのぬいぐるみを一緒に捜したことから、妙にイリスになつかれたハルくんの日常は、次第に賑やかなものになってゆきますが……。生きてゆくにあたって“夢”というものは、光り輝く道標でしょうか、それとも自分たちを縛る鎖でしょうか? ハルくんの、夢と努力の物語。奮闘するこの少年を、きっと応援したくなるはずです――読み終えたあとは、もっと。】→平成30年度 第34回坪田譲治文学賞 | 岡山市 (city.okayama.jp)
そのリンクしたページの選者のコメントの中に
【思いがけないどんでん返しもあり】とありました。
また誰かのネタバレなしの感想の中に、『最後にこの小説がこのタイトルになった事が分かる』とあり、何かこの物語には更なる秘密の匂いがしました。
と言うわけで読んでみました。
ネタバレなしです。
数ページ読むと、「もしかしたら」と言うこの物語が最後まで明かさない秘密が分かるような気がしました。
何の説明もないし、だけれど嘘もない書き方で、それでも「もしかしたら」と匂わせる、上手い書き方だと感じました。
世の中には「映像不可」と言う小説があると思います。
大がかりなセットや小道具に凝らなければならないとか、CGがむつかしいとか言うのではなくても、この小説は、その「映像不可」だと私は思いました。
どんなにハルとイリスと幼馴染の少年の友情の物語が良くても、また彼らの冒険譚が良くても、それで映画化しようと思って、その部分を取り上げてシナリオを描き直したとしても、それは若き作者が物語以外に仕込んだアイデアがつぶれると言うものです。
お話は夢と冒険以外にも、深刻ないじめの問題や、思春期に入ろうとしている少年少女の親との関わり合いと多様な面白さがありました。
夢と未来は無限に広がっていたように思えたそんな時代の風を感じさせる、そんなお話だったと思います。
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