森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

相棒season9-10「聖戦」

2011-01-02 10:45:11 | ドラマ(相棒)

そのモンスターの名前、それは「母親」!

(下の方にちょっと追記しました。)

いつも年越しの頃になると、決まって大きな事件に巻き込まれる右京。
クリスマスには必ず事件に巻き込まれるダイハードみたいだなと、毎年思っていました。

だけど今回、そう言ったお正月のお祭りムードを爪の垢ほども出さず、スペシャルとして見ごたえのある「傑作」を元日スペシャルに持ってきた事は、ちょっとだけ寂しいと言う部分はあるものの、凄いと思いました。

 

公園で女が一人ブランコに乗っている。遠くに眺める部屋のカーテンの向こうには男が見える・・・
「プレゼント。」と、彼女がスイッチを押すと大音響と共にその部屋は木っ端微塵になってしまう。

冒頭から凄かったですね。女はブランコに乗っているときに、一人何かを歌っているんだけど、あまりにもブツブツなのでその歌がなんだか分かりませんでした。その歌が最後に分かる・・・
歌には何の意味もないのですが、その歌を歌っていたときの背景が分かると切なくて、そして怖くて、時々「相棒」が生み出すモンスター歴伝に、彼女の名前は刻まれてしまったと思います。

 

何でカーテンはだらしなくそして都合よく少し開いているのだろう。
最初のシーンで、私はそう思いました。
だけど、物語に穴はありませんでした。部屋に訪れた右京が、最初に気になってしまったことは、カーテンレールが少し潰れていて、そこまでしかカーテンが閉まらなくなっていたという事。

と言うことは、家の中に共犯者がいるって事!?

イタミン、よろしく、共犯者は奥さん?とか思ってしまいました。

でも違いましたね。みんな一人で遣ったのです。

南果歩、大熱演。

12年たっても、子を奪われた恨みは消えず(当たり前です!)、でも殺意も消えず。むしろ、死んだように生きていたのに、子供の命を奪った者を「殺す」と言う目標を持ってから、彼女は再び生き始めたのです。

「人生を楽しめよ。」と言う子供のラストメッセージになってしまった言葉。
究極のはき違えではありますが、全否定は出来ない恐ろしさがそこにあると思います。

彼女と息子の人生を丁寧に描き、心情に奥行きを持たせたのは見事でしたね。

 

だけど、男は贖罪の人生を懸命に生きていたのです。
若き日に犯してしまった薬による過ち。
DVと薬と借金で苦しんでいた今の妻を、借金を清算させ、薬を止めさせ、そして自分の子供でない少女の父になって可愛がってくれたと妻は力なく語ります。

お腹には彼との新しい命が宿っていました。でも捨て身になって、復讐を果たし死ぬ事がゴールだった犯人寿子の目的―爆弾を押させる事を阻止したのでした。
都合良くは死なせない。捕まらずに死ぬ事が寿子の目的でしたが、それを阻み逮捕させました。

女達のバトル、イヤ、それは母達のバトルだったのかもしれません。
子供達の父を奪ってしまった・・・・

「あの男は幸せになんかなってはいけないのよ。幸せになるなんて許せない。」
「彼が幸せになったのではないわ。私と娘を幸せにしてくれたのよ。」

「これが私の復讐よ。」と、妻 夏実が言いました。

白石美帆、これもまた大熱演でした。

 

この物語は、もう一人母が出てきました。
その昔、男にコカインを売って、寿子の復讐の標的にされている男。罠にはまって犯人の第一容疑者です。死を直前にしていても、母は謝り続けます。
「すみません、すみません、すみません、すみません・・・・・・」

イタミンたちが逃げ出すほどに。

余命がないと知って、尊は「嘘をつきましょうよ。」と右京に言います。
右京はやっぱり頑固。

尊よ。
彼に聞いてはいけないのだよ。
勝手にやるのだ。
そして、「すみませんでした!」とイケシャアシャアと言うのですよ、薫のように。

組織人間だから、聞いてしまうところが、尊よ。まだまだだね!

 

だけどたまりかねて勝手に動くと言う尊に、右京は深い溜息を。
まだまだ微妙な関係が出るところが、面白いところかもしれませんね。

HPのストーリーのページにはゲスト名がなかったけれど、石野眞子さん良い演技。二人の刑事の代わりに嘘をつくけれど、母には見抜かれてしまいます。

だけど墓の前で「すまない」と呟く、冤罪を免れた男からは微かな希望を感じました。

 

そういえば、後から知って「へぇ」と思ったのですが、コナンの作者青山さんが、さりげない場面でゲスト出演をしていたのですって。HPのブログを読んで、ああ、あの人だったのかと思いました。小さなサプライズが合ったのですね。

最後に印象深かった言葉は、口紅にgps機能を付けていた事が分かった夏実が、「卑怯な事を」と言うと、右京さんが「戦争ですから」と応えます。
犯人との戦い、それは戦争。ちょっとしみじみしましたよ。

それから、花の里で、尊が「僕らは傍観者でしかないのでしょうか。」・・・・
この言葉の前後は、ちょっと記憶がなくなってしまったのですが、今回のドラマでは特に印象に残りました。

それから書き忘れたので、以下の部分はちょっと追記。
寿子の家に訪れた時に、「何にもなくてこんなものしか」と言って、クッキーを雑に出します。それは公園で拾ったクッキーの欠片と同じものでした。そこの部分、最初は違和感がありました。何で刑事にわざわざ出す必要のないお菓子を出して墓穴を掘る?
でもそれは、たぶんわざとだったのだと思いました。そんなものは何の証拠にはならないのよと言う彼女の嘲り。クッキーの欠片さえ、わざと置いたのかもしれません。

時が止まっているかのような子供部屋には、何かの作りかけの部品のようなものが埃をかぶって置いてありました。
使用されていた爆弾には、コインで回路を作ると言う特徴のあるくせがありました。それと同じ特徴のあるものがそこにありました。

右京たちの決め手はそれだったと思います。でもそれは彼女の息子が作ったもの。何の証拠にもなりません。

右京たちが帰った後、彼女は言います。
「ここからが勝負よ。」
そう、彼女にはこの勝負が必要だったのです。
自分のラストステージの為に。

右京たちが訪れて、初めて彼女の次のステージの幕が開いたのですね。

 

 

飲みたくなったらお酒♪眠たくなったらべえっど♪もしかしたらもしかしたら・・・・  ゾクッ!

 

あらすじはこちら
HPのブログはこちら

来週はお休み。次回は12日ですよ。


 

 

 


コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「まっ、いいか2010年」を新... | トップ | 僕は見る »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今年もよろしく^^ (さくらこ)
2011-01-04 11:42:33
Kiriyさん、
本年もボチボチですが、どうぞよろしくお願いいたします♪

元旦から「相棒」良かったですね。
私も観てましたよ~。
昨夜は「赤い指」
新年早々、こういった番組ばかり観ているのもどうかと思ったりするのですけど
なんとなく普段の時間の流れを気にせず、のんびりどっぷりと観られるのも、お正月ならではかな・・と思ったりもしました。

南果歩さん、こんなにすごい女優さんだったのか・・って、改めて感じました。
(すごい、のひとことでは申し訳ない気分ですが

新年のご挨拶、どこに書こうかと迷いましたが、ここがなんとなくいいかな~って
Kiriyさんですもの
返信する
ども ()
2011-01-06 02:46:11
kiriyさん。新年ですね。

”僕は見る”記事のお写真も見事で、いやほんに見事で暫し呆けてましたが、自分もこちらから。

お正月ムード一切なし、てのは観てて気持ちよかったです。
そして<モンスター=母親、ての、唸ります。

右京さんの最後のつぶやきの、”僕は最後まで○○寿子という人物が解らなかった”のような事を言っていましたが、自分も、わかるけど、わからん、が正直なところ。

一つ思ったのは、右京さんの苦手、なんか・・て。モンスターでもある母親が。こう・・いつもの明晰さがどこか狂っていた。論理的思考が、このモンスターの秩序の前ではまるで通用しないし、返って邪魔になる・ての?

と、あの、謝り続けたもう一人の母親に対しても、何か思考が止まっていたのかねぇ・・と今になって思ふ。
警察官としての信義?のようなモノもあったんでしょうが、謝罪する母親の姿に、殊更冷静・・というか、なんか思考を遮断していたようなフリーズ系の冷たさにみえたっす。

まだ相棒視聴暦も微々たるもんすが、右京さんは、冷静といえば冷静だけれど、どちらかといえば激情型に見えるのは、水谷豊さんだからそう思うんでしょかのう。

おまけ。口ずさんでいた曲:最初、「ウオンテッド」?「モンスター」?と混乱してました~

では。いつもと代わり映えの無いコメでしたが、本年も、どぞ、よろしくです。
返信する
さくらこ様 (kiriy)
2011-01-07 00:29:49
私も「赤い指」を見ました!ラストの阿部ちゃんとお父さんとのエピソードは泣けたけれど、犯人家族にはかなりイラつきましたよ(汗)
今度のお正月は、「テレビをつけたらお笑い」と言うのではなかったので、結構楽しめました。その時の流行がテレビ局にもあるみたいで、人気のあったドラマのスペシャルが「新参者」以外にも(「ジェネラルルージュ」とか)あったみたいですものね。
南果歩さんは昔から結構好きな女優さんなのですが、それでも凄いんだなあと、私も思いましたよ(笑)

>Kiriyさんですもの
ふふふ。。。
さくらこさん、今年もよろしくお願いいたします。
返信する
ま様 (kiriy)
2011-01-07 00:58:56
彼女は狂っていると私は思います。でもその狂気が、分かってしまう、そんなところが恐ろしくもあり悲しくもありました。

昨年は「告白」と言う小説や映画がかなり話題になりましたが、時代の風を読んでいる作品だとも思いました。

見ごたえがありましたよね♪

余命のないお母さんへの右京の態度。。。
あれはね~、右京は敢てアレでいいんだと思うのですよ。今回のシーズンは一貫して、彼は彼の正義に基づいて頑固なんです。でも今シーズンは特に目立つだけで、前のシーズンでもみんなそういう態度を取っているんですよ。ずっと一貫してぶれていないんです。

右京は正しい。でも正しくなくてもその正しくない事の方が正しいと感じる理屈ってあると思うのですよね。勝手にやってしまえば良いのにって、尊に対して思いましたよ(笑)

私も代わらないようなコメ返し。。。

今年もよろしくお願いいたします。
返信する
 ()
2011-01-08 00:52:25
いちおうの。

>右京は敢てアレでいいんだと思うのですよ。
はい。そおもうっす。

前っからそうだというのも腑に落ちる。
生意気っすが、それがとても、けなげ、というか。
子供の頑固さ、にも見えるンね。
母親、てのがいたんでよりそう見えたんだと思う。

ぶれていない、というのももっとも。
イチローなども、ぶれていないといえばぶれていないけんど、人間であるなら、それは、ない、とも思うんで。
何かを律している努力をしている、ての?人のうん万倍も。

つまり、冷たいということは、ネガティブな捉え方でも、批判でもないっすよ~
はい。文字のやり取りゆえ、くどいっすが、いちお(笑)。
返信する
ま様 (kiriy)
2011-01-08 20:49:35
ひとつのシーンでもいろいろ思ったり考えたりって、本当ですね。
敢て、わざと娘の前で・・・ああ、成る程って私、思いましたよ。

私達は言えない。でもあなたなら言えるって事ですよね。

私もね、尊が勝手に遣っちゃえばいいのにって思っていたのですよ。右京の目を欺いて嘘を言いに行く。本当に無実だと思っているけれど、今の時点では嘘でしかない。尊は卒なく話すけれど、その後ろで娘が腕を組んでいる。結局同じ。

「相棒」って、奥が深いからいろいろ思えるところが好きですよ~。
返信する
流れ上 ()
2011-01-09 02:09:15
こちらから。度々失礼。

”年の初めには夢を見よう”2編。面白く拝見。
どちら様も、来週にもなれば正月ムードも一段落でひょか。毎年のことですが、思えばよく飽きずにこのルーティーンをやってますねぇ、、私たち(笑)。

国語・・に限らずの教科書系― 確かにおもろい。
ちっさい頃、外は読めなくとも、てか読みたくね・・載っている文章だけは精読しよ・・と。でそれ以降が凡人。それでいい気になっちゃって頭打ち。

面白いモンで、コメ率が高まるときって慌しい時も案外多く。仮想でしかないっすが、ブログ運営のご足労を擬似体感。
と、なるほどそんなときの記録もみそなんだな、、と思えます。アトで振り返ると、いかに余裕が無かったかなどを思い出すにはもってこっいっすね。

そんなとっ散らかったコメ読まされる方としては、ええ迷惑でしょが~~~~十二分、反省、学びにつなげる契機となってます!
それでどうかご勘弁を。

右京さんの色んな敢て。
尊にも、警察官として、上司としても嘘をつかせるわけにはいかないだろな。。て。
実は公務員の守秘義務になっから反しているとおもうんすが、状況を最大限に活かし、あの場に居た人間を信頼する右京さんが選択した立ち回りなんかな、、と思うことにしてます~。

いづれ、演出臭い説明なし。てのがいいっすね。
お、芭蕉・・・への夢?も密かに楽しみー。
返信する
ま様 (kiriy)
2011-01-13 11:18:27
お返事放置していて、すみません。毎度の事ですが。
これは公開していいんだよなとか、次元の低い事で迷ったり・・(笑)

でも私からのお返事、敢てあまりないですよ。だって、私の記事に細かく反応してくれて、嬉しいなと思っているからです。

うんうん、そうそうって言うお返事。
でも、これは・・
>いづれ、演出臭い説明なし。てのがいいっすね。
本当に!

それから
>芭蕉・・・への夢?も密かに楽しみー。
あまり期待しないでね。遅々として進まずなんだから。ふふふと笑っておきましょう。
返信する

ドラマ(相棒)」カテゴリの最新記事