・「約8年 その15」の続きです。
前回の記事だと、取りようによっては、スノウさんがクレームモンスターのような感じになってしまいました。なので今回は彼女の汚名返上・名誉挽回の記事です。
ある時母が自慢げに言いました。
彼女の中学の先生が、皆、夢を語ったけれど、その夢を叶えたのはスノウだけだったと言ったのだそうです。スノウさんの夢は「女優になる」だったのですよ。
それを聞いて「凄いなぁ」と、私は少しだけ羨ましく思いました。
そう言えば、ここまで書いたらある事を思い出しました。
それは「泣けと言われたら泣けるのか」と言う記事に書いたことですが、
> 『昔の事ですが、劇団の養成所にいた妹が、「今日は泣く授業だった。」と言いました。泣けと言われたら、すぐ泣かなければならない授業だったそうです。
「出来たの?」と私が聞くと、「お姉ちゃんのお陰で出来た。」と言いました。
「あのね、お姉ちゃんが死んでしまった事を想像したらすぐに涙が出てきて、結構号泣しちゃった。」
一瞬、私は嬉しく思ってしまいました。なぜなら私でも姉妹が死んだ事を想像したらかなり悲しいと思いますが、すぐに涙が出て、しかも号泣モードにはならないよなと思ったからです。
が、妹は続けて・・「ああ、あの人はあれやこれやと未来の展望を語っていたけれど、結局何も出来ず、何もしないまま、ただこの世から消え去ったのかと思うと、なんか憐れで惨めで・・・」
―あのなあ 』
《続きが気になる方は、リンクした記事にてどうぞ。》
だけど、まったく失礼しちゃいますよね。
まあ、それはともかくとして、話を元に戻して「女優」などと言うと、「誰 ?」となる方もいらっしゃるかもしれませんが、はっきり言って無名の人です。テレビを点けたら、思いがけず彼女が出ていて吃驚したことがありましたが、ほとんどセリフのないモブの人だったかと思います。だけどそれは別に「売れなかった」と言う悲劇の人でもないんです。それにそれでも彼女の職業は女優でしたしね。
これは彼女が女優志願だと知った頃の事ですが、私はたまたま「結婚しない女」と言う映画を見ました。
今見たら「それが ?」と言うような内容かも知れませんが、あの頃はかなり進んだ作品だったのですよね。
でも私はその映画を見て、一番印象的だったシーンは、他の人には意識にすら残らない場面だったと思います。
それは、朝、夫婦で目覚めると、ベッドから起きようとする妻のパンティの中に手を入れる夫・・・・。
それはベッドを共にしている夫婦だったら、すこぶる普通のさりげないシーンで、誰もそこに目を止めないと思うんです。
でも私はその時思ってしまいました。
「女優ってたいへんだなぁ。」と。
それで妹に言ったんです。
―女優を目指すなら、最初に決めておかなくちゃならないよね。自分はどこまで自分に許すかをね。人が見たらさりげないシーンでも、本人は相当大変だと思うよ。体を触らせてもど真ん中を目指すか、それを許さず脇を目指すか。
売れる売れないの行き当たりばったりでなく、最初に決めておけば、目指す道は変わって来るよ。―ってね。
もちろん、その時は私は勘違いをしていて、今の時代は脇の人であっても、更に過酷な条件を飲まなくてはならない時もあると思います。
だけどそんな事を言ってた私って、いいお姉ちゃんだったなと思うんですよ。しかしスノウさんは、この先こんな話を私としたことなんて、すっかりコンコント忘れてしまったと思います。それでも彼女は「道」を選んでいき、「アンパンマン」とか「くまのプーさん」とかのミュージカルを中心にお仕事をしていたのですよ。
そう言えば、彼女が高校生の時、演劇部の部長をしていたと思うんです。女子高でしたが、ファンレターなどを貰っていました。
実は実はですが、最初のお手紙のお返事は私が代筆したのですよ。
女性からのお手紙ですからね。
逆に凄く気を使って書いた記憶があります。
きっとこの事も、スノウさんは忘れていたと思います。(/_;)
でもその時、ファンレターをくださった方は、その後もスノウさんの舞台のチケットを買ってくれていたのですって。
ああ、なんかさぁ・・・・。
スノウさん !
文句ばっかし言ってないで、少しくらいは私に感謝しても良かったんじゃないかしら。
如何にその人たちの心を掴んでいたのが、あなたの魅力だったとしてもね。
だけど彼女の舞台の想い出は、私にとっては楽しいものばかり。いつか番外編で書きたいような気がします。
その後彼女は結婚して、オツレアイさんとの時間のすれ違いを解消するために、仕事を辞めてしまった時、私は一言も何も言わなかったけれど、本当は凄くがっかりしました。
意外とねー。
ファンだったんですよ、彼女の。