インドで、今となっては日本であまり見なくなった珍しいものを見ました。かつては日本もそうだったもので、今の若い人には良く分からない習慣ではないでしょうか。言うなれば「一列並びではない並び方」と言うものです。
昔は、トイレとか銀行のATMとかコンビニのレジとか、そこには今の一列並びは存在していなくて、こっちの列が早いかと選んだところで自分の運の良し悪しを思い知らされると言う事象が発生しました。何を言っているのかと言うと、お若い人の為に言い直しますと、自分の並んだところが前から二番目で隣に並んだ友達が前から4番目であっても、前の人たちのご用の進み具合はその内容にもよるもので、自分の番が早く回って来るかは運次第だったのです。
いろいろな所で、進歩と言うものは訪れます。空いた所から並んでいる人が振り分けられ待ち時間の平等が確保できる、この「一列並び」は並び方の画期的な進歩だったと思います。
それはインドでのドライブインのトイレでのお話ー。
日本人の観光客がバスから降りて行くと、当たり前のように一列並びでトイレの入り口近くから並びます。スムーズに流れ始めていたその時に、インドの女性さまご一行がかなりの人数でやって来ました。
何やら不満げにワシャワシャ言いながら並んでいました。
ワシャワシャと言うのは、私にはヒンディー語は理解できないからそう聞こえてきたのです。
そのうち一人の中年女性がその列から飛び出て来て並んでいる私たちの前に来ました。一列並びなのですからトイレの前は誰も立っていません。
いかにヒンディー語は分からないと言っても、そこからの彼女の会話は、私にはぐるっとまるっとお見通しさと言うぐらい分かってしまいました。
これはデジャブのように見た事のある光景だったからです。
彼女はこう言ったのです。
「何よ。凄く混んでいるかと思ったら中はガラガラじゃないの。」
そして
「みんなも来なよ。空いてるわよ。」と仲間を手招きして誘う・・・・。
戸惑う仲間に
「速く、はやく!!!」と手招きをする。
と手招きしている間に目の前のドアが開いて入ろうとすると、一番前に並んでいた方がすかさず素早くイン。
驚いて
「なんなの !?」と逆に切れる・・・・。
申し訳ないけれど、心の中でニヤニヤしてしまいました。だって、これもまた心の中で私の言っているアフレコと態度と動作が完全に一致してるんですよ。
肌の色も言葉も違うけれど、人間の心は皆似たり寄ったりなんですよね~。
でもここから彼女が頑張って、後ろに並んでいるインドのご婦人方を前に引っ張られては困ります。
これは郷に入ったら郷に従えと言うお話ではありません。
昔もいました。
自分の知らない状況を目にしても、一目瞭然で何が起きているのか「一列並び」は普通なら理解できます。これを無視して「なんだ、中はガラガラじゃない。」と言って前に入ってしまうのは、わざと並んでいる列とそこに並んでいる人間を見ようとしない人なのです。こういう方は何処にでもいるのだなと思いました。大概の人は並んでいる人はちゃんと人に見えて、いつもと違う状況でも「どう言う事なんだろう。」と考えるのです。だから人の先頭に出た人が仲間を呼んでも、躊躇したのだと思います。だけどあまりにもそのインドの女性が急かすので、後ろにいる人たちもちらほらと動き出してしまいました。
みんなわずかな時間の出来事です。
「並んでいるわよ・・・」って日本語で言ってもねえ…・って、それ私の事。情けない事にとっさに出ないのです。なんだっけなあ、英語で「並んでください。」って・・・と思っていたら、いきなり大きな声で『ライン!!!』と聞こえてきました。
すると出掛った人たちはぶすぅっと元の列に戻りました。
インドのトイレには大概、そのトイレをお掃除したり管理したりする方がいるような気がしました。その女性が大きな声で言ったのです。その人は私たちに笑いかけると、列に戻った人たちに追い打ちをかけるように注意し直していました。
ここから先は何を言っているのか分かりません。だからワシャワシャと聞こえてきました。
ああ、でもきっとこのワシャワシャも、私には通訳できます。
彼女は後ろに並んでいたインドの方々にガミガミと言っていました、となるのです。
手を洗って、そのトイレの部屋の前を過ぎる時、もうそこには外国人は誰もいない事が分かりました。インドの方々はみなそれぞれにトイレのドアの前に並んで狭い部屋はぎゅうぎゅうになっていました。
それは昔々の小学校の休み時間の時を思い出させるようなシーンで、チョピッと懐かしく感じた私です。
ところでトイレの守り神の彼女は、英語で『ライン アップ』、「並んで」と言ったのかと、私は思っていました。
でもなんだか腑に落ちなくて、家に帰ってから調べてみました。ヒンディー語で「並ぶ」は「अप लाइन 」と書いて、なんと「アプ ライン」と言うのですって。
ヒンディー語は「नमस्ते」、「こんにちは」の「ナマステ」しか知らなかったけれど、これで2つは覚えた事になります。
但しいつまで覚えていられるかは、悲しいけれどわからない事です。
国によっていろいろありそうで面白そうですね~。
列の歴史と国によっての違い…。
列の進み具合=運、が1番顕著なのはスーパーのレジですよね( ̄▽ ̄)
列が短い!と思って並んでも、
レジの人が、値段の分からないものを世界のはてまで調べに行って帰ってこないとかで急に流れが変わったりして…。
すると、私と女房の後の列があっという間に二列になりました。(日本人と中国人の判別が付かない海外の方々はどう思ったでしょう。)
列が個人客の列だと分かると再び列は一つに戻りました。メデタシメデタシ...。
あれがあの国のやり方。^^
結局その男性は戻ってきませんでしたが、先ほどの中国人ガイドに比べてなんと礼儀ただしかったことか。
それにしてもあの人の日本語、普通の日本人のしゃべり方と同じだったのにはびっくりでした。
でも、そう言えばと検索したら、高齢者は戸惑ってるみたいな記事もあったのですが、なんだか信じられないような気がします。
けっこう良い事には柔軟な精神を持っているのが日本人だと思うのです。
良いと思わない事には頑固に拒みますが…高齢者 ^^
それからこの並び方は「フォーク並び」って言うのですってね。確かに昔の銀行なんかは一列に並んで前にいくつも分かれるから、そんな感じもしたけれど、今はちょっと形も違うし、そのネーミングはどうかなと思ってしまいました。
聞いてくださったので、いろいろと勉強になりました♪
スーパーのレジ !!
私は運が悪くて、ここ空いてるわと思って並ぶと研修の方だったりして、けっきょく遅くなると言う運命 (ノД`)・゜・。
店員さんが世界の果てまで行ってしまう事にも頻繁に遭遇します (笑)
いろいろと理解に苦しむことも多いですよね。
でもそれは一部であって全体じゃないと思うんです。かと言って、別に彼ら寄りでもないのですが。
あの国の事を語るのは、コメント欄じゃちょっと難しい所がありますよね。
ただ日本よりも長い歴史を持ちながら、なんだか昔の日本みたいだなと感じさせるのも不思議な民族だと思います。(いろいろと抜かされていますけれど(ノД`)・゜・。)
日本語を話された方は、日本にいらした事があるのかしら。短いけれど不思議で素敵な出会いがありましたね。
今後ともよろしくお願いいたします。
Line! のお話し、興味深く、そして、同じような経験があるので懐かしく読ませていただきました。
とっさの時に出てくる日本人の反応というのがまだ
国際化? していないのだと思います。
決まり事に関しては、毅然たる姿勢がたいせつですねえ。
言葉が通じない、通じるの問題ではなく、自分の持っていることで正しいと思うことは、はっきりと言葉だけではなく、態度でもって表わすことが非常に大事ですねえ。
尻込みしたり、おずおずした態度は、大げさに言えば
「差別」の芽を生じさせることになります。
相手がだれであろうと体で、知らない言葉であれば、日本語で「並んで!」と言えば理解しあえることですからね。その場にいれば誰にでも理解しあえる事柄ですから。
やはり意外と最近…というより、1990年代がすでに30年前というところに愕然としました。。
スーパーのレジであの並び方は出来ないですね、1列が長すぎます。
そのかわり?に「セルフレジ」が登場していますね。
列の今後が楽しみになってきました。
私はあまりコメントとかをめったに残さないと言うか、残せない人なのですが、皆さまのブログはよく読まさせていただいている方だと思っています。
でも最近は、ちょっとゆっくり読む事も出来なかったので、訪問や読者登録が遅れてしまって申し訳なく思っていました。
これからもよろしくお願いいたします。
言葉は通じなくても…と言うお話ですが、まったくその通りだと思います。語学センスがなくて全くダメダメな私ですが、意外と「愛と勇気だけ」でいける時ってありますよね(笑)
だけど同じ日本人同士なのに、全く歯が立たない人たちもいる・・・・このトイレのおば様達は、そっちだったような気がしました。そんな所も万国共通なのかしら💦
こちらこそありがとうございます♪
もう既に30年と言うのが、私的にも本当は悲しく感じるものがありました。自分の意識が追い付かなくて焦ります。
だけど並び方ひとつにも、その進歩みたいなものがあって、まさに
>列の今後が楽しみになってきました。
ですね。