3月17日18日、二夜連続で「東京大空襲」のドラマをやっていました。それに先駆けて違う局でも「東京大空襲・語られなかった33枚の真実」と言う番組もタイムリーな3月10日に放送されていました。
なぜ、今「東京大空襲」なのかー?
いやそれよりも、なぜ今頃3月に放映された番組の事を書いているのか、ですよね。それは単純に忙しかったからなんです。何しろ17日は夜映画に出かけ、19日は「身毒丸」で出かけていたものですから。その週は、その後の余韻のことを考えると「藤原竜也ウィーク」みたいなものでした。
ドラマの後にタイムリーに記事をUPすれば、読んでくださる方も多かったかも知れませんが、
実は、途中までは書いていたのです。
本当に書きたかったのは番組の感想ではなく「東京大空襲」の事、その事自体だった様に思うのです。ですが、番組直後に書き始めて感想をスルーするわけにもいかず、だけど書こうとすると、辛辣な感想ばかりが浮かんできます。
「東京大空襲・語られなかった33枚の真実」は、非常に良い番組でした。ドキュメントと体験者のインタビュー、そして実在の人物のドラマと力強い説得力がありました。
一週遅れで放送されたドラマ「東京大空襲」は、日本テレビの開局55年記念番組と言う事で、二夜連続、堀北真希、藤原竜也のW主演、音楽も主題歌を秋川雅史が歌うなどかなり力が入っていた事がわかります。
だけど・・・・、私には感動した、泣けた、心に残ったと言う番組にはなりませんでした。ふと、ブログ周りをしてみると、かなり号泣モードの人が、それも若い人たちを中心にいたので、これはこれで良いのかなと思いました。
そしてまた、間が開いてみるとさらにそれでよかったんだと思えてくる場所も出てきました。ドラマ記事などは急いで書かねばならないような気がしてしまいますが、時間と共に見方が変わる場合もあるものですね。
今夜はタイムリーでないドラマの感想が中心です。ワタクシも二夜にわたって「東京大空襲」についてお話してみたいと思います。
最初に感じた私の感想、
①大空襲の時の音楽の入れ方が、気に入らないと言うより、少しいらつきました。逃げ惑う人にかぶせて美しい歌声が・・・
音楽で涙を誘いたいと言うのでしょうか。
このことは、読まさせていただいた他のブログの記事の中でも取り上げている方がいましたね。
②せっかく助かった人が死んでいく。命を引き換えに生まれた子供が破傷風になってあっけなく死んでしまう。死んだとしか思えない看護婦の人や医者が生きていたのに、更なる空襲でまた死んでしまう。とにかく全員死んでしまう。徹底的に死んでしまう。登場人物の98パーセントが死んでしまう・・・・・
③それでも助かった男の人生の最後が、なぜ崩れかかったボロアパートでの孤独死なのか。
④ラストの刑事のセリフと行動が気に入らない。
でも、人の感想なんかを読んでみたり、また知らなかった情報などを知ってみると少し見方が変わりました。この作品は、ほとんどが若い年代の人たちだけで作られたのだそうです。私も戦争を知りません。そして私の親達も、そのころは子供でした。だけど、子供であってもその時感じた事を私たちに伝えてくれました。私の中にある戦争の伝えられた記憶。
ただ、私はそれを次に伝えることが出来たのかと言う事を思うと、失敗したなと言う挫折感に襲われることが多いのです。
このドラマを作ったのは、完全に戦争を知らない親達を持った人たちが作ったドラマだったのですね。
それを見ていた若い人たちが号泣するのなら、それはそれでいいのかと思ったと書いたのはそういう意味なのです。
ただ補足して思うことは、生き残った人たちが元気に力強く頑張ったからこそ、今の美しい東京はあるのだと思うのです。戦争が終わって63年、日本の繁栄の基礎は彼らが作ったのではないのですか。それなのに、そうやって生きてきたはずの人が、なぜ独居老人の孤独死なのでしょうか。
それが今の日本の現実だからなのでしょうか。
恐ろしすぎます。
そしてラストの刑事の
「あのじいさんも幸せな気持ちで死んでいったというわけだ。」みたいなセリフがあったかと思うのですが、ちょっといやな気がしました。そしてガラスの飾りを鎮魂の意味だと思うのですが、河に投げ入れてしまうのも残念なような気がしました。
粗野な刑事が「じいさん」と言うのは、極自然なセリフだと思うのですが、セリフと言うのはそのライターの方の世界の欠片だと思うのです。それまで散々、その男の生き様を見せておいて、最後は「じいさん」呼ばわり。
「大場さんも幸せな気持ちで・・・」と言っても不自然ではなかったのではと思います。
ドラマの半ばに、ガラスの中に閉じ込められた空気の話が出てくるでしょう。あの二人の戦争中であってもつかの間の幸せな時。その一瞬があのガラスの中には閉じ込められていたのですよね。
その映像と共に、誰か若い刑事でも通りすがりの少女にでも、ずっと戦争の記憶として持っていてもらいたかったと思います。
これは、ドラマとして放送された以上それに対して好き好きと言う感情が出ても仕方がないことだと思います。大好きな方もいれば、そうでない者もいる、ただそれだけの事ですね。
私が感じてしまったのは、全体的にこの時代を生き死んでいった人への「敬意」と言うものの不足でしょうか。
ただ映像は凄かったですね。
言問橋の地獄絵のような様子、プールで人が折り重なっていく様、四方全てが火に囲まれてしまうシーン・・・・・
先に放送された番組のインタビューの完全再現になっていると思いました。
そしてまた、演じた役者の方々の熱演にも心打たれました。
尻切れトンボのようですが、タイムリーではないドラマ感想はこの程度で。