前から思っていたのですが、NHKのドラマって良いものが多いですね。
永作博美主演の「さよなら私」もすこぶる良かったです。録画してあった最終回を今日のお昼に見終わったので遅ればせながら、その感想を書いておきたいと思います。
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夫の浮気相手が親友だったら、とんでもない修羅場の物語が始まって終わりそう。だけれど人生には夫の浮気なんかどうでも良くなってしまうことも起きたりもする。
いや、普通はそうそうには起きない。
そうそうには起きないと言うのは、人格が入れ替わってしまうことを言っているのではない。そっちはめったには起きないと思う、たぶん。
でも人格が入れ替わらなくても、生きるの死ぬのと言う問題が起きてくると夫の浮気などさしたる問題ではなくなるような気がしてしまう。それにしたってやっぱりこう爽やかには終わらないはずだ。
夫の浮気相手が親友で、そしてやっぱりその親友が大好きで、そして自分は乳がんになって死んでいくと言う物語に、人格交代と言うとんでもない事件が起きて物語は凄くいい形で着地していく。
確かに病気で死んでいくと言うのは悲しい。だけれど若くしてこの世界から去らなければならないとしたら心残りは子供の事に違いない。でも一度は健人の母として生きた薫には本当に信じて託すことが出来るのだ。
「神様は優しい。」
すべての事象には大切な意味がある。
本当にそう思わせてくれた物語で、永作演じる友美の言葉にうなずくばかりである。
もう起き上がる事も出来なくなった友美が息子の健人を傍に呼び
「もうすぐママはバイバイなんだ。でもママはいなくなっちゃうわけじゃない。ママは薫の中にいる。」と言う。
友美が去った後、健人は薫の事を「ママー」と呼んでいた。
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少女であった頃の友美と薫が寄り添って転寝をしていた。
「今夢を見ていたのよ。二人が入れ替わっちゃって、ちっとも元に戻れなくて、そして最後は二人で一人になっていっちゃうの。ああ、面白かった。」
と、すると、これは少女が見ていた夢の世界の話なのかな。
人生は誰かの見ている夢なのかな。
何だかジンワリと泣けるシーンが多かった。
でも友美のあのシーンは声をあげて泣きたくなった。
ちょっと前まで薫の中にいた友美。まるで薫は自分のようにも感じていたのだろう。薫の顔を見ながら
「おやすみ私。」
「さよなら私。」
とゆっくりと目を閉じていく友美。
このシーン、永作さんが本当にうまいんだもの。そりゃ、泣けますよ(/_;)
春子一家の浮気騒動のドタバタは深刻でありながら、会話も面白くていいスパイスになっていた。
春子の旦那の光男に尾美としのり。階段落ちで人格入れ替えと言うと、どうしてもこの人を連想してしまう。だけど尾美さん、階段での人格交代と聞いてオファーを断ろうと思っていたようだ。だけど物語がすごく面白かったので引き受けた模様。
優柔不断な光男も良かったと思う。もちろん物語も。
そしてもう一つ良かったのは、友美とその母との物語だった。
「私逃げなかった。だから褒めてください。」
光男の浮気相手の冬子もそうだが、しっかりと一人一人をちゃんと描けた最終回だと思った。
今季は、この「さよなら私」が私的にはナンバーワンだったかもしれない。