昨日2/17(日)、
広島市子ども療育センター心療部長 岡田隆介先生
の
ご講演があり、受講してきた。
13時から17時、約4時間のぶっ通しのご講演。
聴いている我々も長丁場だが、
講師の岡田先生は、大変お疲れになられたのではないだろうか。
非常に有意義なご講演であり、
このご講演は、
以後の私の診療に大きな影響を及ぼすと考える。
今年の二月上旬は、人生に大きな転機となるものが、
立て続けに起こっている。
先日の鈴木紀子氏の話し方の講座で感動したので、
そう感動するものには出会わないであろうと思っていたところに、
昨日の講座に、大いに感動。
そのポイントを述べたい。
【1】医学診療モデルとこころの診療モデルの相違。
*医学診療モデル
『見立て』:データの示す客観的な根拠
『手立て』:原因に対する合理的な対応
*心の診療モデル
『見立て』:「語り」の織り合わせ
(「語られているところ」によるもので、根拠はなく、曖昧である。)
『手立て』:認識の枠組みの再構成(差異への意味づけ)
⇒心の診療は、証拠のないところに証拠を見出し、根拠のないところに根拠ある治療をしなくてはならない。非常に曖昧な診療と見受けられるが、この曖昧さをのり越えて、診療していく必要がある。
【2】発達課題
1)幼児期の発達課題
①共有の経験をすること
一緒に使う、よって、「孤独」ではない。しかし、一緒に使うから、「我慢」しなくちゃならない。
②貢献の体験をすること
「自分は、あてにされている」という体験。
乳幼児が何を貢献できるか→いてくれるだけ、という「存在そのもの」が貢献している。
③割り込みのスキル
集団の中に入っていけるスキル。
これら①②③を「家の中の居場所」でもつ時期。
2)児童期
①学校の理不尽さと折り合いをつける
②空気を読み距離を測る
これら①②を「学校の居場所」でもつ時期
3)思春期・・・一番難しい
①自分のイケテルところを切り札に
②手持ちの札で生きる決意を固める
これら①②を「自分の中の居場所」でもつ時期
(アイデンティテーの確立ともいう)
4)青年期
①待つことで手にする喜びと、待たずに手に入れる満足のバランスをとる
この①を「社会の居場所」でもつ時期
⇒幼児期、児童期、思春期、青年期の各時期に、①②③の課題をクリアーすることで、成長が順調になされる。これらの課題をクリアーしていることを見たり、クリアーできるようするところに、医療従事者による診療・支援がある。
【3】面接場面の展開法
①クライアントの不安と怒りをうけとめ
②過去の「対応・取組み」の総括とねぎらいをいう。
③「予想(期待)通り」のはずし(変化への布石)
④「雑談」の効用(緊張と弛緩のリズム)
⑤困りごととゴールの明確化
⇒同じことの繰り返しでは、同じ結果しか得られない。クライアントの行動変容を来たす面接結果を得るには、一度、③の“はずし”が大切
。
【4】面接のツボ
①困っている人の“はじめの一歩”
②話せば利益があるという枠組み
③副業のススメ、行為のススメ
本業が学校なら、副業としての塾やクラブでの不登校の子の活動をうながすなど。
また、考えるより行動させる。
④斜めの位置にいるリソースを探す。
親では子が構えて伝わらない場合、叔父等がうまくアプローチできる場合がある。
⑤意地と面子には、そこそこの責任とほどほどの関心
⑥すべてを知ろうとしない
⑦鉄は少し冷めてうつ(怒りよりも哀しみを伝える)
⑧えらい!わかる!がんばれ!に頼らない
⑨問題が果たしている役割は?症状に与えられた意味は?
⑩違いを尋ねる・気付く・作る、どうやったかを教えてもらう
【5】手立て(治療的アプローチ法)
問題が、発生するのは、
(人間A)×(関係性の障害B)=(問題発生C)
ここで、(関係性の障害B)は解決できないので、
B´として、コミュニケーション能力の乏しさ
により、問題が発生していると捕らえる。
(人間A)×(コミュニケーション能力の乏しさB´)=(問題発生C)
このB´へのアプローチにより、手立てしていく(治療していく)
ここで、法則があり、
①同じやり取りでは、同じ結果しか生まない。
これまでと違う結果は、違うやり取りから生まれる。
②クライエントがもつ「枠組みの外」に、如何にクライエントを出させるかが、大事。