(Macでご覧の方は、写真の天地が逆になっているかもしれませんが、どうかご容赦願います。)
昨日10/11、第14回築地市場を考える勉強会が開催されました。
活発な議論がなされたと思います。
会を終えて見えて来たもの。
まず、築地市場を移転するために都行政はなにがなんでもという手法行動を取ってきておりますが、そこには、多くの矛盾が見えてきているということです。
最大の矛盾は、「そもそも、なぜ、日本最大規模の土壌汚染の場所に、そして以前からも同時に指摘されてきた液状化の場所、実際に3月11日の東日本大震災で180箇所も液状化が見られた場所に、生鮮食料品を扱う市場、震災時も食糧供給拠点であらねばならない市場を移転させねばならないのか?築地のブランド、食の安心安全、江戸開府後の日本橋魚河岸から数えれば400年の食の文化、築地・東京の街並みを犠牲にしてまで。」ということにあると考えるところです。
会で指摘された数ある矛盾のうちの主な矛盾点。
1)国土交通省関連
国土交通省関連で言えば、築地市場廃止が決められたわけではない(以下に書くように新しい第9次中央卸売市場整備計画で築地市場が「中央拠点市場」に位置づけられている。)のに、築地市場を分断する環状二号線建設工事の着工。
2)農林水産省関連
農林水産省関連で言えば、食の安心安全が守られていないものへの認可ができない状態。
農林水産省の第9次中央卸売市場整備計画では、築地市場に関して、第8次では、廃止するとされていた文言がなくなり、逆に「築地市場は中央拠点市場」に位置づけられている点。
3)環境省関連
環境省関連で言えば、改正土壌汚染対策法には適合し得ない、土壌汚染調査。すなわち不透水層といわれる有楽町層の調査の不備(不透水層を確認する余堀が足りない)や調査ごとに有楽町層の存在位置がずれている点。(だからこそ、コアサンプルは廃棄/汚染証拠隠滅してはならないという裁判が2年前から継続審議されている。)
また、多くの専門家が、このたびの液状化に対する東京都の考え方(液状化では、土壌は垂直方向のみ移動する)へ批判の声を上げている。
このままでは、土壌汚染地域の「指定」が解除されないで、開場を行うことになる。ということは、安全性を確認できなければ、認可をおろさないという農水省の姿勢に反し、農水省からの新市場開設の「認可」はおろされないことになる。
もちろん、市場関係者の6団体も「土壌汚染が処理されないところには行かない」主旨の合意がそれぞれ出されているところであり、「指定」解除は、移転推進派、移転容認派も含めた最低限の守るべき考え方である。
では、おのおのその根拠を見てまいります。
1)国土交通省関連
廃止されるわけでもない市場への道路建設の矛盾を理解してのことか、市場内の道路工事は、実際延期されています。
「9月中旬」が塗りつぶされ「10月中旬に」なっています。
9月中旬を塗りつぶしたことがわかります。
2)農林水産省関連
第9次中央卸売市場計画を決める審議会の議事録です。
委員の皆様が、土壌汚染の問題を危惧されています。
平成23年3月25日食料・農業・農村政策審議会第3回食品産業部会概要より
その結果、農水省から出された第9次中央卸売市場市整備計画では、
わざわざ「移転の場合の」ということわりをつけて、東京都の考え方が紹介されています。
農水省がこのように書く裏側には、「移転でない場合」もありうることも想定しているのではないかと類推します。
第9次計画の中では、豊洲新市場の位置づけも以下なされていますが、
以下のように、築地市場もまた、「中央拠点市場」ときちんと位置づけられております。
3)環境省関連
まず、当初からの問題である不透水層に関してです。
環境省手引きでは、不透水層の定義のためには、以下、50cmまでの余堀をして確かめるとなっています。
環境省手引き
しかし、絞り込み調査などよく分析と十分な余堀が、不透水層においてなされていません。たとえば、有楽町層に到達して2cmの余堀でやめてしまって、不透水層とみなすことを行っています。
次に、東日本大震災の豊洲移転候補地での液状化の状態についてです。
都はの解釈は、液状化は、垂直方向の移動と定義しています。
以下は、都の書類です。「垂直方向」と言いきっています。
専門書の解説 (風間ほか、1994)では、垂直方向の移動のみではないことがわかります。
液状化により、豊洲土壌がシャッフルされたわけであり、再度、土壌汚染の分布を再調査することが、少なくとも東京都には、求められます。