「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

築地を守りましょう。食を大切にしましょう。第14回築地市場を考える勉強会 を終えて見えて来たもの

2011-10-13 16:19:44 | 築地を守る、築地市場現在地再整備

(Macでご覧の方は、写真の天地が逆になっているかもしれませんが、どうかご容赦願います。)

 昨日10/11、第14回築地市場を考える勉強会が開催されました。

 活発な議論がなされたと思います。

 会を終えて見えて来たもの。

 まず、築地市場を移転するために都行政はなにがなんでもという手法行動を取ってきておりますが、そこには、多くの矛盾が見えてきているということです。

 最大の矛盾は、「そもそも、なぜ、日本最大規模の土壌汚染の場所に、そして以前からも同時に指摘されてきた液状化の場所、実際に3月11日の東日本大震災で180箇所も液状化が見られた場所に、生鮮食料品を扱う市場、震災時も食糧供給拠点であらねばならない市場を移転させねばならないのか?築地のブランド、食の安心安全、江戸開府後の日本橋魚河岸から数えれば400年の食の文化、築地・東京の街並みを犠牲にしてまで。」ということにあると考えるところです。

 会で指摘された数ある矛盾のうちの主な矛盾点。

1)国土交通省関連
 国土交通省関連で言えば、築地市場廃止が決められたわけではない(以下に書くように新しい第9次中央卸売市場整備計画で築地市場が「中央拠点市場」に位置づけられている。)のに、築地市場を分断する環状二号線建設工事の着工

2)農林水産省関連
 農林水産省関連で言えば、食の安心安全が守られていないものへの認可ができない状態
 農林水産省の第9次中央卸売市場整備計画では、築地市場に関して、第8次では、廃止するとされていた文言がなくなり、逆に「築地市場は中央拠点市場」に位置づけられている点

3)環境省関連
 環境省関連で言えば、改正土壌汚染対策法には適合し得ない、土壌汚染調査。すなわち不透水層といわれる有楽町層の調査の不備(不透水層を確認する余堀が足りない)や調査ごとに有楽町層の存在位置がずれている点。(だからこそ、コアサンプルは廃棄/汚染証拠隠滅してはならないという裁判が2年前から継続審議されている。)
 また、多くの専門家が、このたびの液状化に対する東京都の考え方(液状化では、土壌は垂直方向のみ移動する)へ批判の声を上げている。
 このままでは、土壌汚染地域の「指定」が解除されないで、開場を行うことになる。ということは、安全性を確認できなければ、認可をおろさないという農水省の姿勢に反し、農水省からの新市場開設の「認可」はおろされないことになる。
 もちろん、市場関係者の6団体も「土壌汚染が処理されないところには行かない」主旨の合意がそれぞれ出されているところであり、「指定」解除は、移転推進派、移転容認派も含めた最低限の守るべき考え方である。



 では、おのおのその根拠を見てまいります。

1)国土交通省関連
 廃止されるわけでもない市場への道路建設の矛盾を理解してのことか、市場内の道路工事は、実際延期されています。
 「9月中旬」が塗りつぶされ「10月中旬に」なっています。


 9月中旬を塗りつぶしたことがわかります。



2)農林水産省関連

 第9次中央卸売市場計画を決める審議会の議事録です。

 委員の皆様が、土壌汚染の問題を危惧されています。

 平成23年3月25日食料・農業・農村政策審議会第3回食品産業部会概要より




 その結果、農水省から出された第9次中央卸売市場市整備計画では、

 わざわざ「移転の場合の」ということわりをつけて、東京都の考え方が紹介されています。
 農水省がこのように書く裏側には、「移転でない場合」もありうることも想定しているのではないかと類推します。


 第9次計画の中では、豊洲新市場の位置づけも以下なされていますが、




 以下のように、築地市場もまた、「中央拠点市場」ときちんと位置づけられております。



 
3)環境省関連

 まず、当初からの問題である不透水層に関してです。

 環境省手引きでは、不透水層の定義のためには、以下、50cmまでの余堀をして確かめるとなっています。

 環境省手引き


 

 しかし、絞り込み調査などよく分析と十分な余堀が、不透水層においてなされていません。たとえば、有楽町層に到達して2cmの余堀でやめてしまって、不透水層とみなすことを行っています。

 
 次に、東日本大震災の豊洲移転候補地での液状化の状態についてです。

 都はの解釈は、液状化は、垂直方向の移動と定義しています。
 以下は、都の書類です。「垂直方向」と言いきっています。



 専門書の解説 (風間ほか、1994)では、垂直方向の移動のみではないことがわかります。


 液状化により、豊洲土壌がシャッフルされたわけであり、再度、土壌汚染の分布を再調査することが、少なくとも東京都には、求められます。

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平成24年度介護保険制度改正に向けた提言:NPO東京都介護支援専門員研究協議会

2011-10-13 14:52:56 | 医療
 「NPO東京都介護支援専門員研究協議会」が平成24年度の介護保険制度改正に向け、提言を出されていましたので、こちらでも見ておきます。

 平成24年度介護保険制度改正に向け、厚労省に意見を届けていくべき時期にあります。

 なお、同協議会では、「介護支援専門員の役割に関する研究―どこまでが業務範囲か?―報告書 」を作られております。
 http://cmat.jp/report/90/224.html
 http://cmat.jp/assets/files/110705role_report.pdf
 こちらも重要な研究であり、合わせて書きおきます。

*****NPO東京都介護支援専門員研究協議会ホームーページhttp://cmat.jp/index.htmlより*****
http://cmat.jp/assets/files/h23teigen110927.pdf

介護保険制度改正に向けた提言

平成23年9月27日
特定非営利活動法人
東京都介護支援専門員研究協議会


 平成23年6月15日に介護保険法の一部を改正する法律が成立し、現在、政省令及び
介護報酬改定の検討が進められているところです。平成24年度の改正内容を視野に入れ、東京都の介護支援専門員の職能団体として、ケアマネジメントの向上と、都民が安心して利用できる制度への改善を目指して、以下のとおり提言します。

1 ケアマネジメントの向上について
(1)研修の充実について
ア 実務研修にインターンシップを
養成研修(実務研修)については、受講後一定レベルのケアマネジメントの習得が
できるよう、特定事業所等での一定期間のインターンシップ(実習)をカリキュラ
ムに含めるなどの大幅な充実を図るべきです。

イ 現任研修の弾力化を
現任研修については、介護保険が地域保険であるため、各都道府県の実状に合わ
せた研修が求められています。全国画一的なカリキュラム内容について、国は一定
の基準を示すにとどめ都道府県の裁量を拡大するなどより弾力的なものとすべきで
す。

ウ 医療研修の創設を
在宅療養者の増加、基礎資格が福祉系である介護支援専門員の増加、地域包括ケ
アシステムにおける医療との連携の重要性などを踏まえ、医療知識とそれに基づく
連携の実践手法等を集中的に学ぶ研修を設けるべきです。

(2)OJT等の推進について
ア OJTの推進を
介護支援専門員の質の向上には、研修に加え実践力を身につけるためのOJTが
重要です。しかし、小規模事業所が多い居宅介護支援事業所では、介護支援専門員
に対して体系立ったOJTが十分実施されているとは言えません。当面新任の介護
支援専門員を対象としたOJTのプログラムを開発するとともに、OJTに当たる
担当者を養成し、事業所内の新任介護支援専門員の実践力の向上を図るべきと考え
ます。

イ スーパービジョンの推進を
主任介護支援専門員養成研修で、スーパービジョンの科目が設けられています
が、その実施は個々の主任に委ねられたままです。介護支援専門員の質の向上のた
めに、これを促進する仕組みを設けるべきです。

ウ 主任介護支援専門員の活用とフォローアップ研修の制度化を
事業所の主任介護支援専門員の具体的な役割は不明確であり、その役割が十分発
揮できていない実態があります。主任介護支援専門員に対し、上述のインターンシ
ップの担当者、OJTの担当者、及びスーパーバイザーとしての役割を位置付け、
主任を活用して介護支援専門員全体のレベルアップを図るべきです。また、その役
割を的確に果たすためにも、主任に対するフォローアップ研修を制度化すべきです。


(3)施設におけるケアマネジメントの向上を
 施設(介護保険3施設)におけるケアマネジメントは、利用者の個別援助を推進す
る上で重要であるにもかかわらず、施設介護支援専門員(計画担当介護支援専門員)
が兼務であるなどの制約により、必ずしも十分活かされていない実態があります。
 施設における個別援助を推進するため、施設介護支援専門員を専任とし、適切なケ
アマネジメントが実施される施設に対し報酬の加算措置を講ずべきです。
(加算要件案)
・専任の施設介護支援専門員の配置
・適切なケアマネジメントの実施(質の担保のための受け持ち件数の上限の引き
下げ、ケアマネジメントプロセスの実施、入所・退所指導、家族支援、地域住
民との連携等の実施)


2 介護報酬について
(1)介護報酬全体の引き上げを
 平成21年度の介護報酬改定において、一定の介護従事者の処遇改善が図られ
たところですが、なお、介護職員の人手不足で欠員補充や新規採用が困難な状況
が続いています。介護職員以外の職種も含め、引き続き介護報酬の引き上げを図
るべきです。

(2)ケアマネジメントの報酬の引き上げを
 介護支援専門員の報酬は、求められる業務の専門性、業務の範囲、業務の量に比し
て、極めて低額です。今、介護支援専門員に求められている、医療との連携、地域の
社会資源の開発など幅広いケアマネジマントを担っていくためにも、またケアマネジ
メントの公平性、中立性を保っていくためにも、介護報酬の引き上げが必要です。
その際、複雑な加算方式ではなく、居宅介護支援費本体の引き上げによるべきで
す。当会の試算(居宅介護支援事業の単独運営が可能な報酬単価への引き上げ)では、
全国ベースで約14%程度の引き上げ(要介護3から5の場合で、13,000 円⇒15,000
円)が必要です。
 さらに、家賃や人件費等の運営コストの高い大都市東京においては、地域別単価
の是正(当会の試算では全国の1.18 倍程度)が必要です。

(3)介護保険サービスが入らなかったケアプランに評価を
 退院に向けてケアマネジメントを実施した場合においても介護サービス提供に至
らなかった場合、介護報酬の算定ができませんが、この場合でもサービス担当者会議
の開催に至った場合には、業務量に見合った評価をすべきです。

(4)介護予防支援費の引き上げを
 介護予防支援費は、1月につき412単位ときわめて低い設定となっています。
 業務量に見あった単価への引き上げを行うべきです。


3 新しいサービス等について
(1)地域包括ケアシステムの実現に責任を
 今回の改正で、要介護高齢者を地域全体で支えるために地域包括ケアシステムの
実現に向けて取り組むこととされました。我々は、その必要性を認めつつも、日常生
活圏域における各種サービス基盤の現状をみると、地域包括ケアシステムの実現性に
まだ確信を持つことができません。
 地域包括ケアシステムの実現に向けて、国、都道府県、市区町村は、それぞれの
立場で、日常生活圏域における医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスの基盤
整備に責任を持って取り組むべきです。
 また、サービスの基盤整備に当たっては、利用者の事業者選択権が保証されるよう
留意すべきです。
 24年度からの新しいサービスについては、サービス開始後その効果等を検証し、
必要な場合は見直しを行うべきと考えます。

(2)定期巡回・随時対応型訪問介護看護を実効性あるものに
 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設に当たっては、軽度者、認知症高齢者
を含め、このサービスを必要とする要介護高齢者すべてが利用できるよう、政省令及
び介護報酬の設定を行うべきです。また、介護支援専門員と事業者の「共同マネジメ
ント」のあり方については、利用者の自立支援に資するケアマネジメントの意義を踏
まえて検討すべきと考えます。

(3)介護職等が行う医療行為の取り組みは十分な検証を
 平成24年度より、痰の吸引と経管栄養について、護職等が一定の条件のもとで
行うことができるものとされましたが、24年度以降の実施状況を評価検証する必要
があると考えます。また、今後の介護職等が行う医療行為の拡大の検討に当たっては、
24年度からの取り組みを評価検討の上、慎重に対応すべきです。

(4)「宿泊デイ」に公的関与を
 在宅要介護者の短期宿泊ニーズに対しては、本来ショートステイの増床等で対応
すべきと考えますが、都市部におけるショートステイの不足と、デイサービス利用者
の宿泊実態を考慮すると、利用者の安全及びサービス水準の確保の観点から、保険外
サービスである宿泊デイについても、一定の基準を示すなど公的関与を行うべきです。


4 災害時の緊急対応体制作りを
 東日本大震災後、東京都内の介護支援専門員は、ただちに利用者の安否確認、ライ
フラインの確認等の緊急時対応を行ったところです。東京都及び区市町村は、介護保
険の利用者以外の高齢者を含めた、災害時の緊急対応体制作りに早急に取り組むべき
と考えます。


5 市町村介護保険事業計画の記載事項に在宅医療の推進を
 今回の改正で市町村介護保険事業計画には、医療との連携に関する事項を定めるよ
う努力義務が課されました。日常生活圏域ごとのサービス基盤整備に関する市町村の
責務については上述しましたが、とりわけ在宅医療の推進は不可欠です。このため市
町村介護保険事業計画に在宅医療の推進に関する事項を定め、市町村の単位でも医療
資源(特に在宅医療に関わるもの)の需要と供給の状況及び今後の整備計画を示すべ
きです。また、その際、都道府県の医療計画及び介護保険事業支援計画と整合がとれ
たものとなるよう配慮いただきたい。


以上
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長野県において福島県から避難している子どもの甲状腺検査に変化がみられたとする報道に関しての学会声明

2011-10-13 14:25:43 | 小児医療
 以下、日本小児内分泌学会から学会声明が出されましたので、こちらでも見ておきます。

 報道や事象に対して、専門の学会が科学的分析のもと見解・声明を出していくその姿勢は、これからも必要であると考えます。

 今回の結論としては、「検討の結果、今回の検診でえられた「検査値の基準範囲からの逸脱」はいずれもわずかな程度であり、一般的な小児の検査値でもときにみられる範囲のものと判断しました。なお、これらの検査結果を放射線被ばくと結びつけて考慮すべき積極的な理由はないものと考えます。」ということです。



*****日本小児内分泌学会ホームページhttp://jspe.umin.jp/より*****
http://jspe.umin.jp/pdf/statement20111012.pdf

2011年10月11日


長野県において福島県から避難している子どもの甲状腺検査に変化がみられたとする報道に関しての学会声明

日本小児内分泌学会
理事長 横谷 進
理事 皆川真規
(震災小児甲状腺プロジェクトチームリーダー)


 福島県内から長野県に避難した子どもの甲状腺に関連する血液検査で、「変化」がみとめられたとする報道が、一部の報道機関によりされています。

 毎日新聞(10月4日)には、次のように報道されています(毎日jpより引用)。 

「長野県松本市のNPO法人「日本チェルノブイリ連帯基金」(鎌田実理事長)と信州大医学部付属病院が、東京電力福島第1原発事故後に県内へ避難した福島県の子どもを検診し、130人中10人で、甲状腺ホルモンが基準値を下回るなど甲状腺機能に変化があったことが4日分かった。健康状態に問題はなく原発事故との関連は不明といい、NPOは「参考データがなく、長期の経過観察が必要だ」と話している。」

 日本小児内分泌学会は、小児の甲状腺疾患の専門家が集まる学会として、この状況に対して多くの方々が適切に判断をしていただけるように、私たちが妥当と考える解釈について述べます。当学会では、検査を実施した信州大学医学部小児科から、個人情報を削除した甲状腺に関連する実際のデータを受け取り、検討しました。
 
 検討の結果、今回の検診でえられた「検査値の基準範囲からの逸脱」はいずれもわずかな程度であり、一般的な小児の検査値でもときにみられる範囲のものと判断しました。なお、これらの検査結果を放射線被ばくと結びつけて考慮すべき積極的な理由はないものと考えます。

 どのようにして、こうした結論に至ったかは、以下のとおりです。

 はじめに、「基準値」についての考え方です。検査値の「基準範囲」は多数の健康人の血液を調べて設定します。一つの検査方法で得られた数値を統計的に計算処理して「大部分の人がその中に収まる上下の値を基準範囲として設定する」ものですので、健康人でもその「基準範囲」から逸脱する人が少数存在することになります。逸脱の原因は、個人の体質や食生活などの違いに起因するものであったり、一過性の変動であったり様々です。こうした背景により「基準範囲」とは、一般の人の持つ「正常」というもののイメージには完全に合致するものではありません。

 また、小児の場合、本来は各年齢や成長・成熟段階により変動する検査項目も多く、それらに応じた基準範囲の設定が、使用する検査法ごとに必要ですが、健康小児において血液などのサンプルをその目的で収集することが困難なために、厳密な意味での基準範囲の設定がなかなかできません。そのため、過去のデータや成人における基準範囲と比較して異常かどうかの判断をし、判断が困難な場合には少し時間をおいて再検査をした上で判断します。

 個々の検査結果の判断について以下に述べます。

 甲状腺ホルモン(遊離サイロキシン)が基準範囲を下回ったとされる1名のデータについて、基準範囲(1.00~2.00ng/dl とされる)をわずかに下回る程度0.9~1.0ng/dlの範囲であり、また、甲状腺刺激ホルモンに異常をみとめないため、臨床的に問題にすべき逸脱として扱うことは適切でないと判断します。

 甲状腺刺激ホルモンが基準範囲を上回ったとされる7名のデータについて、基準範囲が0.2~4.0μIU/mlとされるのに対し、数値は4.25~6.2μIU/mlであり、臨床的経験上甲状腺に病気をもたないお子さんでもときにみられる程度の逸脱です。このような場合は、再検査し、他の検査とも合わせて総合的に判断します。

 サイログロブリンが基準範囲を上回ったとされる2名のデータですが、基準範囲が0~78ng/mlとされるところ、110~200ng/mlです。この2名については甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンの値は基準範囲内であり甲状腺機能異常とは言えません。サイログロブリン値については、時間をあけて再検査をするなどをしないと病的なものかどうかの判断はできません。この検査はもともと個人による検査値のばらつきが比較的多い検査でもあり、この検査値のみが「はずれ値」をとることに意味がみいだせないことがしばしばあります。この2名の家族に対して信州大学小児科が「1回の検査で異常とはいえないので、地元の病院で再検査を受けてください」と説明した対応は適切と考えられます。

 なお、放射線被ばくと今回みられた甲状腺関係の検査結果との関連については、それを否定できるほどの根拠はありません。しかし、これまでに知られていることは、被ばく後数か月という短期間に甲状腺疾患が発症するには、相当量の放射性ヨウ素の被ばくがなければ起きないということです。一方、これまで比較的高線量の被ばくの恐れがあるお子さんを対象として行われた被ばく線量測定の中で、ひとりも甲状腺機能に変化を起こすような高線量の被ばくは報告されていません。そうしたことを考え合わせると、今回の場合は、検査値のわずかな逸脱と放射線被ばくとを結びつけて考慮すべき積極的な理由は、ないものと考えます。

 以上


*****該当の新聞記事、毎日新聞(2011/10/04)*****
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111005k0000m040045000c.html

甲状腺機能:福島の子供10人に変化 NPO検診

 長野県松本市のNPO法人「日本チェルノブイリ連帯基金」(鎌田実理事長)と信州大医学部付属病院が、東京電力福島第1原発事故後に県内へ避難した福島県の子どもを検診し、130人中10人で、甲状腺ホルモンが基準値を下回るなど甲状腺機能に変化があったことが4日分かった。健康状態に問題はなく原発事故との関連は不明といい、NPOは「参考データがなく、長期の経過観察が必要だ」と話している。

 10人の内訳は▽甲状腺ホルモンが基準値以下1人▽甲状腺刺激ホルモンが基準値以上7人▽甲状腺組織が壊れたことなどを示すたんぱく質「サイログロブリン」の血中濃度が基準値以上2人--で、甲状腺異常や甲状腺機能低下症はなかった。

 長野県茅野市に避難した生後6カ月~16歳の130人(男75人、女55人)を対象に7月28日~8月25日、問診や尿・血液検査をした。

 甲状腺は、身体の発育に関連する器官。甲状腺ホルモン分泌にヨウ素が使われるため、子どもは大人より放射性ヨウ素を蓄積しやすい。【大島英吾】

毎日新聞 2011年10月4日 19時41分(最終更新 10月4日 20時23分)

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24時間365日安心の在宅介護・在宅療養へ:中央区のケアマネージャーの皆様の勉強会(第86回)

2011-10-13 09:28:16 | 医療

 中央区で活動されていらっしゃるケアマネージャーの皆様の勉強会に参加させていただきました。
 いつも思うのですが、ケアマネージャーの皆様が、ご自身の忙しい業務の合間を縫ってこのような情報交換の場をつくられ、介護の現場を少しでもよくしていこうとするその「思い」に敬服いたします。
 ものすごく貴重な機会が中央区にはあると考えます。

 いつも介護の現場のたいへんな状況が伝わってまいります。

 昨日は、「NPO東京都介護支援専門員研究協議会」(平成13年3月発足、平成15年12月NPO化)の理事のかたもボランティアで参加され、活発な意見交換がなされました。

 お伺いしていて、今の中央区に必要なこととして考えることを以下に書きます。

 一、30日以内に介護認定審査結果を出す配慮

 一、そのためには、審査結果を迅速に伝える努力(電話連絡、郵便通知の出すタイムラグを極力作らない)

 一、いつの介護認定審査会にかけられるか目途を家族・ケアマネージャーに伝える

 一、「暫定プラン」でサービスが大丈夫なように、区内の施設の意思統一。審査認定結果で「暫定プラン」より介護度が低くなった(改善した)場合の差額は、区が補填。
  とくに、末期がんなどでは、柔軟な対応。

 一、介護度のみの評価だけではない、改善の指標の開発と厚労省への提言の必要性

 一、区民利用者を対象とした「介護保険」「ケアマネージャー」「ケアプラン」のたいへん基本的なことの情報提供、啓蒙の機会の提供

 一、包括的地域ケアの取り組みの最大限の努力、ICT技術も最大限活用

 一、ケアマネージャーの役割研究の成果の利用

 など。

****以下、出された意見など、私の理解で*****

 *介護認定審査結果が出されるのが30日以内と決まっているが、それを超える場合があり、現場が非常に困っている。

 *介護認定を審査する審査会の日程も、申請時に教えていただけない。
  他区では、教えていただける。

 *認定審査結果待ちの状態では、「暫定プラン」を立てるが、その状況では、リハビリなどで受け入れてくれない施設があった。(一部その状況は改善)

 *介護認定審査会のあと、直ちにではなく、その結果を一度区のほうで確認する時間があるが、介護認定審査会の結果がその確認で覆ることがあるのだろうか?

 *末期がんのケースなど、亡くなられてから介護保険証が届く場合がある。

 *今後の介護保険改正での動き
・ケアマネージャーの存在意義を問いなおす意味の改正の動きがある。10割公費負担が、1割利用者負担になる動きもある。

・介護保険財政が逼迫している

・利用者が自分でケアプランを立てる動き

・介護度の改善のみを評価するのではなく、そのほかの評価ポイントを積極的に提言していく必要あり

・包括的地域ケアの視点が重みを増す
 医療と介護の連携、人材確保、住まい法改正、認知症対策など

・保険者の裁量でできる部分がひろがる。そなわち、地域差が出る。

・ケアマネージャーの研修の充実
 など



 *世田谷のテレビ回線を用いた双方向の見守り
  つながり顔が見えることで、独居かつ認知症のかたでも、自宅で過ごす安心感を得る

 *「ケアマネージャーの役割に関する研究」を、NPO東京都介護支援専門員研究協議会が行った。

 など

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