忘れないと誓ったぼくがいた

平山瑞穂さんの『忘れないと誓ったぼくがいた』を読みました。

あずさとはじめて出会ったのは、高校最後の夏休みも終わろうというころ、地元のメガネショップでのことだ。
店員としてフレームを選んでもらい、支払いのときにもう一度対応してもらっただけ。
彼女ともう少し一緒にいる時間を引き延ばしたいとおもっていたのだけれど、そのための口実もなかった。

後日、指定された日にメガネショップにメガネを受け取りに行ってみると、彼女の姿はなかった。
そればかりか、店長が彼女のことを覚えていなかった。

その織部あずさと再会するとは思わなかった。
そして、時々彼女が消えてしまうということも知ってしまった。
消えているときは、周囲の人間も彼女のことを忘れてしまうのだ。両親でさえ・・・。

あずさを忘れまいと、必死になるぼく。
その様子は、痛ましいほどでした。
でも、それほどの痛みを背負ったおかげで、自分が何を望んでいるのか解ったようです。
寂しいけれど、悲しみを糧にして前向きに生きられて、よかったのかもしれません。