京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 「観音の里めぐり」2

2015年06月22日 | 奥琵琶湖・湖北路を訪ねて
再び「観音の里めぐり-奥びわ湖観音巡礼」ツアーに参加、徳圓寺ー和蔵堂ー腹帯観音堂ー洞壽院ー全長寺ー黒田観音堂と6ヵ寺をめぐった。


写真左手にある和蔵堂では、会議出席のために不在の住職に変わって92歳の老坊守さんが、唇と裳に朱が残り、両の足裏を見せてかかとで立つ不思議な立ち姿の十一面観音像についてお話し下さった。井上靖さんはこの像を見て「立ち去り難い仏さまですね」と言われたそうだ。立ち去り難く感じる、とっても素敵な老坊守さんだった。


姉川合戦の難を逃れ、88年もの間、池に沈められていたと伝わる十一面観音像。晒しを巻いて泥まみれになっていた観音像を川から救いだしたと。お腹が少しふっくらした像だったために、晒しが巻かれたまま、安産祈願の観音さまとして祀られているらしい。安産にまつわるそれらしい話も残っており信仰も厚いようだ。美智子さまと雅子さまご懐妊時には腹帯を献上し、お礼状が送られてきたとのこと。姪っ子にお守りをいただいたので、さっそく送るとしよう。


湖北の寺でも最北端にある祠壽院。川のせせらぎを耳にしながら、苔むした老杉が連なる参道を上って行くのは、しばし「世俗を離れて」という心地。こんな場所を歩くのは?…と思っても、いつ以来のことか思い出せない。
宮家との縁も深く、本堂内には菊の御紋章がつき、徳川家の帰依も受けた曹洞宗の名刹。道場でもある。禅寺らしい素晴らしい霊域。冬は全山真っ白、雪が深く生活には苦労もあるが、寺を守っていくのに一生懸命だと口にされた55代目のきりりっとした若い素敵なお坊さん。良い声で、お話が聞けた。…と思っていたが、聞いていたのは声だったのかも。この場所に立ってみることだけで価値がある、と思う。

水上勉の小説『湖と琴』の舞台、大音の村落をバスで通り過ぎた。映画をみたと言われる女性ガイドさんの語りは熱っぽい。
お椀を逆さにしたような竹生島を遠望。月出、菅浦、大浦、塩津、葛籠尾崎、賤ヶ岳…と2013年にウォーキングツアーで歩いた懐かしい地名を幾度となく耳にし、所によってはその場を通り、と今日は観音巡りとはまた違った部分で気持ちがはずむ楽しさもあった。
コメント (6)
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