足元の一輪の花を愛で、心を凝らし、耳を傾けながら、うらうらとした陽気を楽しんで歩いているのは、まさに精神のセルフケアと言えそうだ。

周囲の森では、木をつつくような音が響いていた。コゲラという鳥を思い浮かべた。
トンビが地上に影を落とす。静かだ。
紅梅が白梅よりひと足早く満開に近かった。
今日は朝からずっと薄暗く、雨音が世間との隔絶感を生み出してもくれて、奥にすっこんでの家籠り。
お彼岸前だが訪い来る人もなく、久しぶりに土曜日をくつろいだ。

黛まどかさんが四国八十八か所札所と四国別格二十霊場、合わせて百八か寺を巡った折の『私の同行二人 人生の四国遍路』を読んだりしていた。
先日来ゆっくりと後を追っている。
「一度は父のため、一度は母のため、一度は自分のため、三たび巡礼せよ」
この真鍋俊照氏の言葉に出会って以来、生涯で3回は遍路をしようと決めたのだという。
私には一度の経験もなく、そのような思いに至ったこともないままだ。
おそらくこの先も、その機会はないだろう。
2023年秋、2度目の遍路をすることを決めた。行程1600キロ、「同行二人」の旅が始まる。
おのが振る鈴とむつんで秋遍路
風や雨、花、鳥、虫、団栗などを介して、命の根源を思う。
観音の千手に余る木の実かな
出発して早々から生じた右膝の痛み。
遍路5日目にして、顔から突っ込んで派手に転んだ。
救急車か?という周囲の声に、頭にもたげたのは“お遍路魂”だったそうな。
翌朝、負けたボクサーのような顔をしながら歩きだすうちに、喜びが満ちてきたという。
遍路というのは「聖地に行きつくまでの“間”こそがすべてであり、歩くことそのものが目的だ」と書いている。
俳句が詠みこまれ、落ち着いた筆致で心にしみじみと染みてくる。
この本に出会うまでは無縁だった私だけれど、読むことで同行させていただき、有縁の衆の1人となりたい。精神のケアにもつながるだろうか。
〈ひとりで歩く時の巡礼は、しみじみとした淋しさが身につきまとうが、巡礼の淋しさは悲しさを伴わない〉
とは寂聴さん。

周囲の森では、木をつつくような音が響いていた。コゲラという鳥を思い浮かべた。
トンビが地上に影を落とす。静かだ。
紅梅が白梅よりひと足早く満開に近かった。
今日は朝からずっと薄暗く、雨音が世間との隔絶感を生み出してもくれて、奥にすっこんでの家籠り。
お彼岸前だが訪い来る人もなく、久しぶりに土曜日をくつろいだ。

黛まどかさんが四国八十八か所札所と四国別格二十霊場、合わせて百八か寺を巡った折の『私の同行二人 人生の四国遍路』を読んだりしていた。
先日来ゆっくりと後を追っている。
「一度は父のため、一度は母のため、一度は自分のため、三たび巡礼せよ」
この真鍋俊照氏の言葉に出会って以来、生涯で3回は遍路をしようと決めたのだという。
私には一度の経験もなく、そのような思いに至ったこともないままだ。
おそらくこの先も、その機会はないだろう。
2023年秋、2度目の遍路をすることを決めた。行程1600キロ、「同行二人」の旅が始まる。
おのが振る鈴とむつんで秋遍路
風や雨、花、鳥、虫、団栗などを介して、命の根源を思う。
観音の千手に余る木の実かな
出発して早々から生じた右膝の痛み。
遍路5日目にして、顔から突っ込んで派手に転んだ。
救急車か?という周囲の声に、頭にもたげたのは“お遍路魂”だったそうな。
翌朝、負けたボクサーのような顔をしながら歩きだすうちに、喜びが満ちてきたという。
遍路というのは「聖地に行きつくまでの“間”こそがすべてであり、歩くことそのものが目的だ」と書いている。
俳句が詠みこまれ、落ち着いた筆致で心にしみじみと染みてくる。
この本に出会うまでは無縁だった私だけれど、読むことで同行させていただき、有縁の衆の1人となりたい。精神のケアにもつながるだろうか。
〈ひとりで歩く時の巡礼は、しみじみとした淋しさが身につきまとうが、巡礼の淋しさは悲しさを伴わない〉
とは寂聴さん。

お遍路さん、ずっと若いころ、夫を亡くしたお友達が
四国巡礼に出かけました。私も誘われました。
48か所全部ではなかったようです。
帰宅後、また行きたいとの感想でしたが
その後再度行ったとは聞きませんが
私が誘われなかっただけかもしれません。
一応「山ガール」ではあったので
当時なら歩けたとは思いますが。
黛まどかさん「歩くことそのものが目的だ~」と
おっしゃっておられますが、私も歩くことを目的に
金剛杖ならぬ老人杖を持って歩いています。
そうした中から何カ寺かは参拝していますが、
お経を唱えたりとかはありません。
唯一“道”を歩いたのが熊野古道で、紀伊路を下り中辺路から熊野三山参拝という思い出です。
遍路というのは寺を回って拝むことではなく、巡礼しながら道中修行に意義があるのだとか。
道々の体験に、自分が背負ったものを捨てて行けるのでしょうか…。
「すがすがしい」という言葉を読んだり聞いたりします。
歩く力を維持していく努力は、誰にでも求められてくることですよね。
プラス、歩けば気持ちもすっきり~。夜もぐっすり?でしょうか。