京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

腰が据われば心も据わり

2024年08月05日 | 日々の暮らしの中で
連日、「不要不急の外出を避け、…」と促す言葉が耳に入って来る。
私の外出などおおかたは不要不急のものかもしれないが、人生、無駄にこそ意味があると言われるではないの。
そもそもは、出歩くことに意味があるのだが、連日〈油照る逃げ場なきこと空気にも  宮津昭彦〉で、顔にまとわりつく熱気に息苦しさを覚える暑気。
この数日は家籠りを決めた。


出好きの腰は据わり、心も据えて、一事に専念。今のうちにしておきたい。書き物をするために多くの時間を割くことができた。

乙川勇三郎氏が作品の中で「推敲するだけでは足りない文章の彫琢」を指摘されていた(「この地上において私たちを満足させるもの」)。 
「わかりやすいことは薄っぺらでもある。何も考えさせない小説に良質な読後感は期待できない」とも。
ひと言ひと言に氏の存在が刻印されていて、私は学んでいる。書き過ぎない、言い過ぎないと心して、言葉を探し、文章を練り、自分の世界を大切に、励むのだった(などと自分で口にしていいものか?)。


乙川氏のエッセイ本は見当たらない。これまで著者の声が聴きたい、語るのを聴きたいと思ってきたので、出会えて嬉しや嬉しや。
すべては生きているうち 励めるうち、日のくれぬうち。

廊下の外で、アブラゼミが鳴いた。
コメント (2)
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