「フェルメール 全点踏破の旅」 という本を読んだ。
Amazon.co.jp: フェルメール全点踏破の旅 (集英社新書ヴィジュアル版): 本: 朽木 ゆり子
アメリカ在住のジャーナリストが雑誌の企画でフェルメールを全点、一挙に見て回り、その一点一点に関して作品情報と感想を書いていくというもの。
作者は美術の専門家ではないので、作品そのものに関する感想は素人っぽく、考察に深みもない。むしろ作品の来歴や時代背景に関する部分の方がジャーナリストらしくおもしろい。
フェルメールは43歳でなくなり、現存する作品は信頼度の低いものまで含めても37点しかない。そのすべてがヨーロッパとアメリカ東海岸にあるので一挙全点踏破も十分可能なわけだ。作者は33点を3週間で見て回り、残り4枚のうち一枚は盗難のため行方不明、2枚は個人所有で一般公開されていないという。
いずれにしろ、フェルメールを一挙に全点見て回る旅というのは、ファンにとってはまさに夢。うらやましい話だ。
一挙と言うわけにはとても行かないが、フェルメールは好きなので機会のあるときには意識して見てきた。で改めて数えてみたら今までに21点見ていた。結構、制覇したなあ、と言う感じ。まあ、ニューヨークのメトロポリタンとフリック・コレクションに行けばそれだけで一挙に8枚見られてしまうので、ここらへんまでならそんなに難しくない。難関はエジンバラとダブリンあたりか。
21点見たはず、ではあるが、実は何枚かはほとんど記憶にない。この美術館には行っているのでこれも見たはず、と言うのが何枚かある。
フェルメールはもちろん素晴らしい画家だが、その作品すべてが素晴らしいわけではない。最初期の宗教画には個性がないし、最後期の作品は同じ画家とは思えないほどうつろだ。本物を目の前にしても印象が薄かったらしい。この画家が素晴らしいのはその短いピークがあまりにも高いからだろう。
21点見た中で最も強烈に印象に残っているのはハーグのマウリッツハウスで見た「デルフト眺望」だ。
ヨーロッパ出張の折、運よく週末をオランダで過ごすことになったのでフェルメールを見にハーグへ行こうと思いついた。
乗る列車を間違えて遠回りをしてたどり着いたハーグのマウリッツハウス、お目当ては有名な「真珠の耳飾りの少女」だった。この絵ももちろん素晴らしい。が実際に展示室に入ると、この絵の向かい側にかかっている「デルフト眺望」に目が釘付けになり、「この絵がほしい!」と強烈に思ってしまった。
画集などで見るとそれほど印象的ではないこの絵、実物にはなんともいえない透明感と光のきらめきがあり、印象がまるで違う。名作と言われる絵も結構見てきたが、これほど所有したいと思わせた絵はない。こういうパーソナルな感情に訴えるところがフェルメールの魔力なのだろう。
この絵を見に、またハーグに行きたくなった。
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アメリカ在住のジャーナリストが雑誌の企画でフェルメールを全点、一挙に見て回り、その一点一点に関して作品情報と感想を書いていくというもの。
作者は美術の専門家ではないので、作品そのものに関する感想は素人っぽく、考察に深みもない。むしろ作品の来歴や時代背景に関する部分の方がジャーナリストらしくおもしろい。
フェルメールは43歳でなくなり、現存する作品は信頼度の低いものまで含めても37点しかない。そのすべてがヨーロッパとアメリカ東海岸にあるので一挙全点踏破も十分可能なわけだ。作者は33点を3週間で見て回り、残り4枚のうち一枚は盗難のため行方不明、2枚は個人所有で一般公開されていないという。
いずれにしろ、フェルメールを一挙に全点見て回る旅というのは、ファンにとってはまさに夢。うらやましい話だ。
一挙と言うわけにはとても行かないが、フェルメールは好きなので機会のあるときには意識して見てきた。で改めて数えてみたら今までに21点見ていた。結構、制覇したなあ、と言う感じ。まあ、ニューヨークのメトロポリタンとフリック・コレクションに行けばそれだけで一挙に8枚見られてしまうので、ここらへんまでならそんなに難しくない。難関はエジンバラとダブリンあたりか。
21点見たはず、ではあるが、実は何枚かはほとんど記憶にない。この美術館には行っているのでこれも見たはず、と言うのが何枚かある。
フェルメールはもちろん素晴らしい画家だが、その作品すべてが素晴らしいわけではない。最初期の宗教画には個性がないし、最後期の作品は同じ画家とは思えないほどうつろだ。本物を目の前にしても印象が薄かったらしい。この画家が素晴らしいのはその短いピークがあまりにも高いからだろう。
21点見た中で最も強烈に印象に残っているのはハーグのマウリッツハウスで見た「デルフト眺望」だ。
ヨーロッパ出張の折、運よく週末をオランダで過ごすことになったのでフェルメールを見にハーグへ行こうと思いついた。
乗る列車を間違えて遠回りをしてたどり着いたハーグのマウリッツハウス、お目当ては有名な「真珠の耳飾りの少女」だった。この絵ももちろん素晴らしい。が実際に展示室に入ると、この絵の向かい側にかかっている「デルフト眺望」に目が釘付けになり、「この絵がほしい!」と強烈に思ってしまった。
画集などで見るとそれほど印象的ではないこの絵、実物にはなんともいえない透明感と光のきらめきがあり、印象がまるで違う。名作と言われる絵も結構見てきたが、これほど所有したいと思わせた絵はない。こういうパーソナルな感情に訴えるところがフェルメールの魔力なのだろう。
この絵を見に、またハーグに行きたくなった。
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