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チベット文化圏の民族衣装 3 ブータン

2011-12-27 18:52:01 | ブータン
さて、チベット文化圏でも一番の着倒れと言えばブータン人。

先日の国王夫妻来日でも話題になった通り、ブータンの民族衣装は日本の着物に良く似ており、国王夫妻のお召し物は当然、最高級の絹製、毎回2人の衣装の色合わせが考えられているのが素敵だった。


ブータンの織物についてはこちら

このブータンの衣装、女性の着物はキラと言って、ブラウスを着た上にシングルのベッドカバーほどの一枚布を巻きつけて着る。
 布の前後ろは肩の所のブローチで止め、腰にきつく帯を締めて長さの調整をする。
キラの着付けは脇の合わせ目、裾の長さがポイントで、この着付け方、ブラウス、キラとその上に着る上着の色、柄の合わせ方でおしゃれかダサいかが決まるのだそうだ。

 
基本的には同系色でまとめるか、柄の一色をブラウスや上着に持ってくる。
ここいらへんの感覚も日本の着物に良く似ていて、ブータン人はセンスがいい。

ただしブータン人は日差しの強い国らしく、日本人よりもはっきりした色が好み。
 なので大勢の人が集まると色とりどりで実に華やか。

   
男性の衣装はゴと言って、これこそ日本の着物にそっくり。ただやはり腰の所で帯をきつく締めて長い裾を膝丈にたくし上げ、長い袖を折って中に着た白いシャツを見せる。
この着付けのポイントは後ろ姿にあり、後ろにとったダーツを決めるためにブータン人はとても気を使う。
足元は伝統的にはチベット風のブーツだが、現代の正装ではハイソックスに革靴。座った時にちらっと見える膝小僧がセクシーだったりする。

ブータンでは伝統文化を守るため、家の外に出る時には基本、民族衣装の着用が義務付けられている。
  
だから普段着ももちろん民族衣装。
おじさんやおばさんのふところが膨らんでいるのは身がたっぷり詰まっているからだけではなく、財布から携帯からなんでもここに入れて持ち運ぶため。

民族衣装着用は子供にも及び、ブータンの学校では制服もキラとゴ。
  
学校ごとに色、柄が異なっていて、これが実にかわいい。

ブータンの国営航空会社、ドゥルック・エアのCAの制服ももちろんキラ。
  
左は2000年の制服、右は2008年でちょっとおしゃれになった。

民族衣装が義務付けられているとはいえ、ブータンももちろん世界の流れには抗しがたく、特に若い子たちはジーンズやTシャツ、スタジャンを着たがる。
しかしわれわれの目から見ればブータン人に似合うのはやはりゴとキラ、特に男の子は民族衣装を着ていた方が3割は男前に見える。

明治時代に日本に来たイザベラ・バードも、日本人は着物だとさまになるが洋装だと貧弱に見えて仕方がない、と言っていた。

その国の風土、人種に合わせて発達した民族衣装はそれぞれおそらくもっとも合理的な衣装だと思うが、一度失われてしまうと元に戻すのは容易ではない。

10年後、ブータンの人々は何を着ているだろうか。


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コメント (5)
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