何年ぶりになるだろうか、ずいぶん久しぶりに神保町の岩波ホールに行ってきた。
お目当てはもちろんチベット映画。
毎日4本づつ上映されているので、昼間の2本を続けてみてきた。
まず1本目。
「巡礼の約束」
監督のソンタルジャさんは先日見た「羊飼いと風船」のペマ・ツェテン監督の撮影と美術を担当した人だそうで、そのためか映画のテイストはかなり良く似ている。
お話は重病を隠してラサへ五体投地巡礼に出る奥さんと旦那さん、前夫との子供のこと。
この設定から想像できる通り、奥さんは道半ばで倒れてしまうのだが、再婚だった旦那さんが奥さんを大切にしていたのがよくわかる。
しかし奥さんの実家には前の結婚でできた息子がいて、一緒に暮らしていないのはどうもこの旦那さんのせいらしい。愛しているからこその嫉妬、子供の恨みなど、旦那さんがいい人らしいだけに何とも切ない。
主人公たちが住んでいるのはギャロンと言うセリフがあるからチベット文化圏の東端。ここからラサまで五体投地で行こうとすれば半年から1年もかかる。道中は雨が多くて青空が見えることはなく、キャンプ道具なども必要なので友達二人が付き添いで出発するが、つらくて途中で逃げ出してしまうのも切ない。
「羊飼いと風船」と比べるとちょっとしたユーモアもなくて全体に暗いが、抑えた表現で繊細な感情がよく描写されていると思う。
途中から登場する子ロバがかわいい。
そして2本目は
「オールド・ドッグ」
今はどうなのか知らないが、一時期は漢民族のペットとして大ブームになり、一匹何百万円とも言われたチベッタン・マスチーフを飼う遊牧民の話。
これまた東チベットが舞台なので放牧地には顔の黒い羊やヤクがいっぱいいてなんとものどか。
が町に出ると舗装もされていない道はドロドロ、バイクや工事の音が響き渡って耳をふさぎたくなる。
薄汚くてやかましい東チベットの田舎町は行ったことがあるのでにおいまでしてきそうなリアルさだが、対比を強調するためにわざと音を大きくしているのだろう、全体の流れが悪くて正直かなりだるいので、88分の短い映画ながら最後まで見るのはつらかった。
「羊飼いと風船」の監督なので期待していたのだが、テーマはとてもよくわかるものの出来は素朴すぎるもの。しかしこの映画が作られたのは2011年、「羊飼い」は昨年の映画なので10年ですごく進化したわけだ。
映画の後はチベット料理ならぬ台湾料理屋で
台南担仔麺。
早くまたチベットや台湾に行きたいよお。
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