Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

16年初夏の山形 1 広河原温泉「湯の華」

2016-07-06 17:19:43 | 国内旅行
インドネシアから帰国早々、友人と恒例「大人の休日倶楽部パス」の旅。
我ながら落ち着かないやつ。

7月2日

今回の行き先は山形なので「つばさ」くんに乗車。

 旅の友に選んだのは新潟の「焼漬鮭ほぐし弁当」。
錦糸卵を敷いたご飯の上に大ぶりにほぐした焼漬け鮭が多すぎるほどたっぷり。
この味付けが良く、付け合せのおかずも地味ながらバランス良くて、これは大当たり。

米沢までは2時間強なので、おしゃべりをして駅弁を食べたらもう着いてしまう。

  
米沢牛に見守られながら米坂線のワンマンカーに乗り換えて1時間。
 降り立ったのは無人の手ノ子駅。

駅前には宿の迎えの車が来てくれていたので早速乗車。
すると普段通る道は工事中で通れないため、いつもより遠回りになるとのこと。
別に急ぐ旅でもなし、明るいうちに露天に入れればいい。

しばらくは普通の農村風景の中を走り、少し山の方へ入った所に宿の看板があったのでもうすぐかと思ったらここからがすごかった。
その先は行けども行けども緑の景色が続くばかり。たまに橋が見えるが、その先に人家がありそうな気配もない。
やがてぽつんと一軒、茅葺の大きな農家があって、聞けばここには80代の老夫婦が今も住んでいるが、まわりにあった集落は今はなくなってしまったとのことで隣家まで10キロはありそう。

その先は道もさらに細くなり、
 やがて舗装もなくなったところで、「あと6キロ」の看板。
最後の民家からこちらも10キロはあるだろう。すごいところに来ちゃった。

こうして駅から1時間15分かかってやっと道のどん詰まり、「広河原温泉 湯の華」に到着。
 
宿の建物の前が一面鉄錆色の泥で覆われているのは温泉がかけ流されているため。
その手前には駐車場があるが、よくぞこんなところにまで、と驚くほどたくさんの車が停まっているのは10時から16時までの日帰り入浴のためのようだ。

  
玄関を入ったすぐ左手には「日本秘湯を守る会」の提灯のかかった帳場、その先のロビーには芸能人のサイン色紙がたくさん並べられているが、そのほとんどは我が愛するテレ東の温泉番組の取材だ(笑)。

案内されて2階の部屋へ向かうと
  
天井の高い廊下から続くきれいな客室は10畳と広々。BSしか入らないがテレビもあって、廊下にあるトイレはウォシュレットだし、携帯の電波は入らないもののロビーではWiFiも使用可、と設備は驚くほど整っている。
 窓の外には川が流れ、対岸にはブナの原生林が広がって緑一色。

しばらく部屋で休み、日帰りの終了時間を待って待望のお風呂へ。

 ここは日本でも唯一と思われる間歇泉に入浴できる露天風呂が売り。運が良ければポスターにあるような5メートル以上もの噴泉を見ることができるらしい。

まずは男女別の更衣室から内風呂へ。
 4,5人でいっぱいになってしまうほどの大きさの湯船には鉄錆色の赤いお湯がかけ流され、こちらは加温されて42℃ほど。

この湯船の脇の扉を出たところにある露天風呂は男女混浴だが、こちらでは女性はタオル巻OK、チェックインの時にそれ用のバスタオルも渡してくれる。
  
しかしこちらのお湯も茶褐色に濁って、お湯に入ってしまえば体は見えないほど。
到着直後に覗いた時には日帰りのお客さんが男女10人以上も間歇泉の出口をぐるりと囲んで談笑していたが、だんだんと上がってそのうち我々だけで独占することになった。

先に入っていた人に聞くと2時間待って4回ほど吹き上がった、ということだったが、我々が入るとすぐにお湯が吹き出し始めて
   
これがまあ、面白い。お湯が一気に噴き出して停まる通常の熱湯の間欠泉とは違い、ここは炭酸ガスがお湯を押し上げているのだそうで、ボコッ、ボコッと不規則にお湯が出てくるので見ていて飽きることなく、思わず笑ってしまう。
 10分以上も吹き出し続けて、ちょっとお休みしたので吹き出し口を手で覆ってみると、奥からシューとガスが上がるのが感じられてまたお湯が出てくる。
しかしこのお湯は35℃しかないので触っても全く問題なし。露天のお湯も35℃なので長く入って間欠泉を楽しんでいられるが、夏以外ではつらいかもしれない。

我々が入っていた時には最高2メートルほどの吹き上げだっただろうか。
お客さんの中におばあちゃんが一人いらして、この方はお父さんが発電所の仕事だったために子供の頃この近所に住んでおり、野湯だったその頃はもっと高く吹き上がったとか。
楽しいお湯なのでお客さん同士の会話も弾む。
ちなみにここにこの宿ができたのはほんの10年前のことだそうだ。

間欠泉でさんざん遊んで、夕食は18時から。
  
わらびやみず、ふきやうどの山菜に岩魚のお刺身と塩焼きという、いかにも山の中の秘境らしい食事で満腹。

そして20時から1時間は露天が女性専用時間と言うのでまた入りに行くと
 夜も元気にお湯が吹き上がって楽し~。
ただしこの露天、男性側内湯の窓から丸見えなので、女性専用時間とは言え注意が必要。

鉄分を多く含むこのお湯に浸かりすぎたせいだろうか、標高800mというのに夜は体が温まりすぎて、寝苦しい思いをしてしまった。  
 

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ジャカルタ行き機内食と「スポットライト 世紀のスクープ」

2016-07-05 17:47:20 | 機内食・映画・美術展
先日のインドネシア行き、久しぶりにJLのラウンジでカレーを食べて出発。
 カレーというよりほとんどビーフシチューだけれど、しっかり煮こまれたお肉でやっぱりおいしい。

夕方の便だったので機内食は夕食。
 相変わらず「飯島奈美さんの監修メニュー」が続いているが、ちらしずしに野菜の多い副菜は軽くてありがたく、食後のハーゲンダッツも変更なし。

食事のおともに今回選んだ映画は
 「スポットライト 世紀のスクープ」 Spotlight  

今年のアカデミー作品賞をとった映画だが、予想以上に地味。
「スポットライト」とはボストンの新聞の特集コラムの名前で、これがカトリック教会の神父たちによる児童の性的虐待をスクープするのだが、新聞記者たち自身にスポットライトが当たるわけではない。
地道に取材を重ねて、周囲のプレッシャーにもめげずに記事を書きあげるのが地味~な記者たち、というのが真実味があって、主演であるマイケル・キートンも控えめな演技がとてもいい。

そのプレッシャーというのも教会側はともかく、ボストンの地元名士たちが事なかれ主義と地元びいきから「まあまあ、波風立てるなよ」と消極的に隠ぺいに加担してしまうところがリアルだしこわい。
罪悪感がないから一層たちが悪いような気がする。

新聞社の古参たちの態度がわかっていて隠ぺいしていたのか、どうもはっきりしないので後半の支持姿勢がすっきりしないのだが、アメリカ映画の一つの典型である「良心的映画」だと思うし、だからこそアカデミー作品賞受賞となったのだろう。
たまにはこんな映画を見るのも悪くない。

往路の飛行機はガラガラだったので、中央3席独り占めでこの後は横になってウトウト。

 こんなパンをいただいて無事ジャカルタに到着。

そのジャカルタ滞在は諸事情により再三の延期があり、帰路の便を変更しようとしたらこれが大変。
JLなど7月まで空席がなく、それも正規料金で40万越えだなんて、今時ありえな~い。

なじみの旅行社にお願いしてなんとかガルーダを確保してもらえたが、深夜の空港でラウンジを使えないのはちょっとつらい。

小腹が空いていたので国際線の出国ロビーをうろつくが、国内線の方にはあるお手軽なフードコートがなくて結構不便。
やっと見つけたのはアジア風のパイのお店だったが、これが意外にも当たり。
 
カレーパフが多い中、辛くなさそうな「パステル」と言うのを頼んでみたら春雨と野菜の優しい味の具。まわりのパイはサクサクで、ぼろぼろといささか食べにくいがおいしい。
ジャカルタのラウンジの食事はしょぼいので、次回からはここのパフを買ってから入ることにしよう。

やがて時間になって機内に入ると、予想通り全席ぎっちり満席。
ラマダーン明けのイドル・フィトリをインドネシアではレバランと呼ぶのだが、全国大体1週間の休暇の前に帰国しようとする日本人駐在員家族や、大型休暇を日本に旅行しようとするインドネシア人でいっぱいだったわけだ。

定刻より少し遅れ、真夜中を少し過ぎて離陸すると
 軽食は箱入りのチキン・ファヒータが配られたが、これがなぜかイギリス製。

映画を見る気力もなく、3時間ほどウトウトしているといつの間にか機内は明るくされていて
 和食を頼んだらかなりがっつりした3色そぼろご飯。
 付いてきた竹製のお箸がロゴ入りでかわいくて、ついお持ち帰りした貧乏性。

それにしてもインドネシア発の機内食にはヤクルトを付けなければいけないと言う法律でもあるのだろうか。


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ラマダーン中のジャカルタ

2016-07-02 02:09:45 | 東南アジア
今回のジャカルタ滞在はちょうどラマダーン月の真っ最中。
以前はドバイにラマダーン中に行ったことがあったので、ジャカルタはどんな具合かとても興味があった。

まずは昼間の飲食だが
  
こんな具合に一応目隠しをして外から食べている人が見えないようにしている店も多いものの、現地の人はあまり気にする風もなく、断食をしていない人は平気で人前でも飲食しているし、列車内で食事サービスが普通に行われていたのも以前の記事の通り。
ジャカルタには中華系住民も多いので、みんながみんな断食するわけではないのだ。

ジャカルタの日没後の断食明けは17時50分頃だったが、15時を過ぎると街中の食堂や屋台が料理を作り始める。
ブロックMスクエアというばりばり庶民派のショッピングモールの周りにはおそらくラマダーン期間中だからだろう、食堂が通路わきに料理のバットをたくさん並べ、低いテーブルを用意している。
  
これを2,30分も前から購入し、時間が来るのを真面目に待っている姿はドバイと同じ。

このバットにずらりと並んだおかず類がとてもおいしそうで、大事を取って最終日の夜18時ごろに注文してみたら、おかずはまだ並んでいるものの、すでに予約で売り切れていると断られてしまった。
注文がいっぺんに集中するので食堂はどこも大忙し。

ボゴールからの帰路では電車の中で断食明けの時間を迎えた。
その途端に乗客が一斉にペットボトルを出して水を飲み始めた姿が微笑ましく、女の子たちはパンやお菓子を食べ始めた。
普段は飲食禁止の車内も、この時ばかりはもちろんおとがめなし。

 
おなじみ「ホカベン」やスタバなどのチェーン店ではラマダーン用特別メニューも用意している。

少し意外だったのはジャカルタではお店の営業時間が通常通りだったこと。
屋台などは夜遅くまでにぎわっている様子だったが、ドバイのようにフードコートが午前3時まで営業というほどのお祭り感覚ではない感じ。
ラマダーンを口実に短縮営業していたのは博物館などの公的施設だけだ。

ちなみに敬けんなムスリムである友人によると、ラマダーン期間中に辛いのは昼間飲食できないことではなく、朝の3時に起きて食事をしなければならないことだそうで、夜も遅いのでどうしても寝る時間が短くなってしまうとか。
←クリックすると大きくなります。 
ホテルのサフール(断食前の食事)も配達時間が2時45分から3時15分とあったので、頼んでみようかと思っていたがやめた。

とまあ、思っていたよりは普段通りのジャカルタで、せっかくなのでこの国最大、東南アジアでも最大と言うモスクに行ってみた。

 市の中心、独立記念塔のすぐ近くにあるマスジッド・イスティクラル。
これも「独立モスク」と言う意味で、スカルノ時代に17年かけて1978年に完成している。

まずは小さな丸いドームのある建物の下の玄関から靴を脱いで入ると
  
外国人と見た途端に若い女性の英語ガイドが飛んできて、外国人専用の靴置場に案内してくれる。
ここで名前、国籍、宗教などを記帳したら2階へ。露出の多い服装の欧米人などは上っ張りを貸し出されていたが、普通の格好をしていればここではスカーフをかぶる必要もない。

信徒がお祈りをするメインホールはこの階にあるが、異教徒は入れない。
 入口にはお祈りの時間を示す掲示板があって、これによれば今年のジャカルタの断食は4時31分から17時52分の13時間21分。
インドネシアは赤道直下なので毎年ほとんど時間は変わらないそうで、「私たちは北欧にいるムスリムに比べれば全然楽ですね」とガイド嬢。

さらにもう1階上がってテラスに出るとメインホールを一望。
 
頭上の大きなドームは直径45mで独立の年を示し、その下に円形に並ぶ12本の柱は預言者ムハンマドの誕生月にちなむ。
 
さらに回りのテラスが5階建てなのはイスラムの5つの柱にちなむそうで、数字にいちいち意味がある。
壁はすべて風が通るようになっていてエアコンはなし。ステンレスと大理石で作られたほとんどストイックな空間でコーランなど読む熱心な信者も見えるが
 
ゴロゴロと寝転んだり、集まっておしゃべりしている様子がのどかでいい。
ガイド嬢によると、ラマダーンの最後の10日(この日にちょうど始まった)は特にモスクで心穏やかに過ごすのが良いとされているとか。

ホールの説明が終わると回廊に出て大きな中庭越しにドームを見る。
 
ミナレットが1本だけなのは国が一つである象徴だそうで、その向こうには独立記念塔も見える。
中庭にあるグリッドもすべてお祈り用にメッカの方角を向いていて、屋内のホールだけで6万人、まわりのテラスやこの中庭まで合わせるとこのモスクの収容人数は20万人だそうだ。

   
回廊の隅には巨大な丸太でできた太鼓とくりぬいた木を叩く楽器があって、ヒンドゥー起源のこれらをアザーンの時に叩くのはインドネシアならではとか。

一通りの案内が終わったところでちょうど礼拝の時間になったので、ガイド嬢とは別れてもう一度3階のホールから見学。
 意外に礼拝が始まってからでも人が次々入ってきたり、ゆる~い感じがいい。

ところでモスクの窓からは道を隔てたお向かいにあるカソリック教会が見える。
 そこでモスク見学の後はそちらへ。

   
こちらはオランダ植民地時代の1901年に建てられたジャカルタ大聖堂。
大聖堂と言うにはかわいらしい大きさだが
   
壁のタイル画、説教壇、オルガンなど立派なもの。
中はひんやりと吹き抜けのモスクより涼しくて、大勢来ていた見学者はフィリピンあたりからの旅行者っぽい。

さらにここから歩いて10分ほど、ガンビル駅のすぐ近くにはプロテスタントのイマニュエル教会があるが
 こちらは日曜礼拝後だったためか門が閉まっていて、中の見学はできずに残念。あるいは他に入口があったのかもしれない。

ところでモスクがそれ以前からあったカソリックとプロテスタントの教会のそばにあるのは偶然ではなく、宗教的調和と寛容のシンボルとしてあえてこの場所を選んだのだとか。
また互いの祝日には行事に参加しあうこともある、とはモスクのガイド嬢の話だが、こういう話こそもっと宣伝すればいいのに、と思う。イスラムは本来寛容の宗教なのだから。

ラマダーン月のジャカルタ、インドネシアの懐の深さがちょっと見られて良かった。


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コメント (2)
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