文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:カンニング少女

2014-02-06 21:12:39 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
カンニング少女 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋


 表紙イラストのかわいらしさに、殆どジャケ買い状態の「カンニング少女」(黒田研二:文春文庫)。

 主人公の天童玲美は、都立高校に通う女子高生。受験生だが、学校の成績はあまり良くない。ところが、急に私大の難関・馳田大学を目指すという。玲美の姉は馳田大学の学生だったが、少し前に交通事故死していた。玲美は姉の死に疑惑を感じ、何か知っていると思われる馳田大学の教授と助手(今なら助教)に接触したいというのがその理由だ。

 しかし、玲美の成績では、馳田は合格できそうにない。おまけに、嫌味な教師が、馳田を受けるなら、学年20番以内に入らないと卒業単位をやらないと脅す。ということで、彼女を応援する、親友の優等生愛香、インターハイ陸上選手の杜夫、工学系天才少年の隼人たちの助けにより、奇抜なカンニング大作戦が開始された。

 この超ハイテクを駆使したカンニング手法が、実際に可能かどうかは別にしても、なんとも奇抜で面白い。それにしても、この馳田大学、超難関という割には、出てくる学生も、受験生もバカばかりのような気がする。もしかすると、ここがバカボンのパパが卒業したという伝説のバカ田大学なのか。それとも、一流大学といっても、今はこんなものだという作者のアイロニーなのか。

 ところで、玲美の知りたかった真相。このオチで、人が死ぬような話を書くかなあと思ってしまう。しかし、最後は、玲美も自分の進むべき道を見つけたようで、めでたしめでたしといったところか。

☆☆☆☆

※本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。
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