文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 一航戦、出ます!

2015-01-26 20:58:33 | 書評:小説(SF/ファンタジー)
艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 一航戦、出ます! (角川スニーカー文庫)
クリエーター情報なし
KADOKAWA/角川書店


 アニメでも人気の「艦隊これくしょん」。もともとはゲームだったが、現在はアニメやコミックスなどが派生して多数のメディアミックス作品が存在している。本書もそのような作品のひとつだ。

 ストーリーは単純明快。軍艦の化身ともいえる美少女(艦娘[かんむす])たちが、制海権をかけて、深海棲艦と呼ばれる敵と戦うというもの。艦娘たちは、軍艦を操作して戦うのではなく、自分が軍艦として戦うのだ。だから艦娘たちには、それぞれ軍艦の名前が付けられている。彼女たちは、妖精が作った装備を艤装することで、海の上を走り、大砲や魚雷などを使って、敵を攻撃するのだ。空母の艦娘などは面白い。弓道娘なのだが、彼女の放つ矢が、途中で艦載機に変わってしまうのである。

 それではなぜ美少女が軍艦なのか。もちろん「萌え」を狙ったのが一番の理由だと思う。戦闘派美少女というのは、かなりの萌え要素らしい。どうせ戦わせるなら、いっそ軍艦にしてしまえといったような発想なのだろう。元々船は、女性に例えられる。だから、軍艦が美少女の姿として具現化されても何の不思議はない。

 また、日本人の心には、万物に神が宿るという思想がある。そして滅び行くものに美を見いだすという独特の美意識も。この二つが結び付き、儚くも海の藻屑となってしまった軍艦たちを、美少女として蘇らせたのだろう。志半ばで沈んだ軍艦たちをせめて物語のなかだけでも活躍させようとする。これは、言霊により、軍艦の船魂を慰めるための鎮魂の書でもあるのだ(本気にしないでほしい)。

 このように(無理矢理)考えると、単に萌えだけを追求しているようなこの物語も、なかなか奥が深い。表面だけをみて、艦娘たちに萌えてばかりではいけないのである(ほんまか?)。

 それにしても、でてくる艦娘たち、みんな可愛いなあ(笑)。

☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。

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