メイド刑事 (GA文庫) | |
クリエーター情報なし | |
ソフトバンククリエイティブ |
普段はメイド、時々刑事、元レディース「関東流れ星連合」2代目総長の若槻葵が悪を退治するシリーズの第1巻となる「メイド刑事」(早見裕司:GA文庫)。タイトルからすぐ思い出すのは、かっての名作「スケバン刑事」(和田慎二)だが、どうも作者も強烈なファンだったらしく、本作品もそのオマージュのようなものとなっている。またメイドというのは、あとがきによれば「エマ」(森薫)から来ているようだ。しかし、メイドが出てくるからといっても、決して「萌える」作品ではない。作者も言っているように、「燃える」作品なのである。
この葵、ただのメイドではない。国家特種メイドという資格を持つ、メイド界のスーパーエリートなのだ。ただし月給は、手取りで63653円。葵の「ご主人さま」は、警察庁長官、海堂俊昭。その関係で、時々、疑惑のある家にメイドとして入り、潜入捜査を行う。しかし、心に決めた「ご主人さま」は海堂ただ一人。だから潜入先の主人を、決して「ご主人さま」とは呼ばずに「旦那さま」と呼ぶ。
葵が海堂家のメイドになったのは、レディース総長の時に、警察の幹部だった海堂とタイマン勝負をして負けたためだ。それ以来、メイドの道をまっしぐら。今では、「ご主人さま」に甲斐甲斐しく使える可愛いメイドなのである。それにしても、いったい、どうやって調教したんだろう(笑)。
この第1巻には、3つの短編が収められている。大学の不正入学に関する事件、ベンチャー企業社長の人身売買事件、レディースの後輩の恋と罪に関する事件だ。美しすぎる容姿を伊達メガネと古風なメイド服で隠し、ヨーヨーならぬクイックルワイパーで敵と戦う。お掃除道具を武器にするとは、さすがにメイドである。ただしこのクイックルワイパー、特性品でなかなかの優れモノだということは付け加えておこう。
ところで、この手の作品の常として、色々とツッコミ処も多い。特に、2話目で出てくる、ニキータというメイド。「一匹狼の流れメイド」って、いったいなんやねん。葵は、このニキータと最初は馬が合わず戦うことになるのだが、互いの実力を認めて協力し合うようになる。この時のニキータのセリフが、「これまで会ったメイドの中で、いや、あたしが戦った相手の中で、あんた、一番強いよ」だ。なんかメイド観がいろいろ間違っているような気が・・・(笑)。
☆☆☆☆
※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。