
昨日は、午後から、「ホテルセンチュリー21広島」で行われた、「中国地域産総研技術セミナー in 広島」を聴講してきた。
まず、東大の小川紘一氏から、「IoT/CPS時代の日本企業の方向性」という演目で、基調講演が行われた。ごく大雑把に言えば、多くの企業が、国境を越えて繋がりあう時代には、クローズにしておくコア部分と、オープンにする周辺部分をしっかり分けたオープン&クローズ戦略が大切だという内容だ。そして、クローズの部分では、ソフトウェアが大きな役割を果たすのである。
欧米企業は、これがうまいと言う話はよく聞く。例えば、何かセンサと組み合わせて、画期的なものを作るとする。中心部はクローズにして、自分たちで囲い込み、インターフェースの部分をオープンにすることにより、センサーは、世界中で競争をさせて、安いところから調達するという訳だ。しかし、日本では、これがなかなかできない。
確かに、日本でもソフトウエア開発に従事する人間の数は多い。しかし、「文系SE」なる不思議な言葉が象徴しているように、多くはある程度の経験を積めば、誰でもできるような事務処理のシステムに従事しているのではないか。おまけに、ソフトウエア業界は、3Kのイメージが、すっかり定着してしまった。本来なら、コア部分を、ビジネスセンスときちんとした理工学的素養を持った人間が作り上げていかないといけないのだろう。
続く2つの講演は、各論というところか。まず(株)レクサー・リサーチの中村昌弘代表取締役から、「インダストリー4.0を超える「シミュレーション統合生産」」という講演が行われた。これは、工場内にセンサを張り巡らせて、何かトラブルが起きてから対応するのではなく、あらかじめシミュレーションを行うことにより、工程等を最適化しようというようなもののようだ。
もう一つの講演、「ベイジアンネットワークを用いたIoTデータ活用に向けて」は、少し目先が変わったような内容だが、なかなか興味深かった。これは、ある事象が起きたときに、次の事象が起きる確率、すなわちベイズ流の条件付き確率を応用したものだ。今回、紹介されたのは、子供が次にどんな行動をするかを予測するというもの。予測ができれば、事故防止に役立つということらしい。
最近、脳の活性化をするために、月に数回は、このようなセミナーに出席するようにしている。今回の内容も、必ずしも自分が専門とするような分野ではないが、あまり良く知らないことを、考えながら聴くというのは、脳の活性化には最適だと思う。外山滋比古さんなどは、本を読むときに、知っていることを読むアルファ読みと、自分の知らないことを考えながら読むベータ読みということを言われているが、これなどさしずめ、ベータ聴きといったところだろうか。

なお、このセミナーを受講する前に、いつもの通り、ホテルに近い「なか卯」で食事を摂った。今回頼んだのは、日替定食600円。内容は、親子丼並と小うどんはいから。