文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

鈴虫のお土産(思い出シリーズ36)

2015-12-05 13:26:05 | 思い出シリーズ
 学生のころ、同じアパートに、某菓子メーカーの経営者一族の息子が住んでいたことは既に書いた。結構金持ちの家だったのに、なぜ、我々のような庶民御用達の安アパートに住んでいたのかは、未だに謎である。彼が通っていた京都工芸繊維大学に近かったということがあるのかもしれない。

 彼の家に、同じアパートの連中と遊びに行ったことも、以前書いた通りだが、このとき彼の実家に鈴虫を飼っているのを見つけた。元々昆虫大好き人間なので、興味を持って、何か言ったのだと思うが、さすがにお金持ちの家は太っ腹だ。鈴虫、持って帰りなさいということになった。

 虫好きの私としては、何も考えずにありがたくいただいたのだが、これが間違いにもと。何しろ、私が住んでいたのは、四畳半の学生用アパートの一室。それも京間なので狭い。我が家にやって来た、鈴虫は、環境が変わっても、夜になると、元気に鳴く。しかし、これを風流だと思ってはいけない。あれは、どこかそこらへんで、わびしく鳴いているのを聞くから風情があるのであって、狭い部屋の中で、何匹も一斉に鳴いていたら、そのうるささはかなりのものである。夜ろくに寝られないくらいだの音量なのだ。もちろん、アパートの他の住人が引き取ってくれるはずもなく、かといって、もらったものを外に逃がすと言うのも気が引けるので、冬が来て、鈴虫さんたちがご臨終になるまで、こんな状態が続いていた。

○関連過去記事
またしても寺の跡取り息子の話(思い出シリーズ35)
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書評:Google経済学(グーグル経済学)~10年後にトップに立てる新経済学入門~

2015-12-05 10:32:07 | 書評:ビジネス
Google経済学(グーグル経済学)~10年後にトップに立てる新経済学入門~
クリエーター情報なし
フォレスト出版


 世界的なIT企業というと、グーグルを連想する人は多いだろう。本書はそのグーグルを切り口に、経済全般に渡って重要な事項を解説し、併せてグーグルの活用について述べたものだ。

 第1章「グーグルのすごさを知れば、近未来のビジネスが見える!」では、ヤフーやマイクロソフトなどとの比較で、グーグルがいかにすごい企業かが語られる。続いて第2章「なぜ、グーグルが勝つのか?」ではグーグルのビジネス戦略について解説され、僅か18億円の売上のYou Tubeを2000億円で買収した背景が示されている。

 第3章「金儲けのキーワードはグーグルで探せ」は、証券化や主要なデリバティブ取引についての解説が主な内容だ。最初にサブプライムローンをグーグルで検索してみようというような記載はあるものの、書かれている内容は一般的なもので直接グーグルとの関係ない。

 そして、第4章「グーグルニュースから学ぶ、世界経済の行方」、第5章「グーグルニュースから学ぶ、日本経済の行方」は、グーグルニュースを活用すれば世界や日本の経済トレンドが分かるというものである。だがキーワードを使ってグーグルで検索している部分もあるものの、ほとんどはニュースによく出てくるような、経済を理解するための解説になっており、グーグルを具体的にどう活用するのかについてはあまり書き込まれていない。官公庁などのホームページの統計情報の検索をしている記載もあるが、これも必ずしもグーグルの活用ということにはならない。

 本の帯には、「なぜ、グーグルが分かると、経済、会計、金融、ビジネスが分かるのか!?」と記載されているのだが、本書は、ごっちゃな事項を、グーグルという糊で、無理やり張り合わせたような観がある。書かれていることは、「消費税を上げるよりは金利を上げる方が税収増加には効果的」というような重要な指摘(p194)もあり、大いに役に立つとは思うのだが、タイトルや帯から連想するような、グーグルを徹底研究することで、これらが分かるようになるといったようなイメージとはかなり乖離があるのではないだろうか。


☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ、「風竜胆の書評」に掲載したものです。
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