![]() | 相対論 (放送大学教材) |
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放送大学教育振興会 |
大学、大学院で電気工学を学んだこともあり、以前から理工系の本を読むのが好きだったのだが、最近はむくむくと「相対論」を勉強したいという気持ちが沸き上がっている。特殊相対論なら大学時代にも勉強して一応単位も取っているのだが、やはり一般相対論までは学んでみたい。それも通俗的な解説書ではなく、たとえ入門的なものでもきっちりと数式を使って、ごまかしなしに理論を展開しているようなものをである。
その関係の本を何冊か買ってはみたが、理系の素養があるとはいえ、ウン十年も相対論なんて全く関係のない電気工学関係の仕事をしてきたので、こういった純粋物理学方面の知識はすっかり錆びついてしまっている。一般相対論にはリーマン幾何学の知識が不可欠であり、計算自体も複雑だ。この方面に疎くて計算も苦手な私としては、勉強の進み方はまさに亀の歩みといったところである。
この状態を少しでも改善しようと本棚から引っ張り出してきたのが、この「相対論(放送大学教材)」(藤井保憲:放送大学教育振興会)というわけだ。’99年の教材なので、ちょっと古いかなという感じはするが、本書は教養学部とはいえ一応大学の正規の教材であるから、通俗書のように単なる言葉だけの説明で終わっていたりはしてはいない。
たださすがに理学部ではなく、教養学部の教材なので、あまり数学的なことには深入りしておらず、物理的な考察のほうに重点が置かれている。だから相対論を勉強する第一歩として、概念的なものをつかむには役に立つのだろう。実は、この科目も放送大学で単位を取ってはいるのだが、試験のためのやっつけ仕事だったような気がする。今読み返してみると、「こんなこと書いてあったかな?」ということがかなりあったのは驚きだった(苦笑)。
相対論の世界には、我々の普通の常識とは相いれないようなものが多い。だからこそ、多くの人の興味を引き付けて離さないのだろう。私自身も、本書で概念的な部分を固めながら、少しずつ数学的なところも勉強していき、いつかは一般相対論を数学的にも理解できるようになりたいと思う。しかし、いつの日になることやら。
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※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。