私が高校生のころ、種田輝豊さんという方が
「20ケ国語ペラペラ」(実業之日本社)という本を出されていた。調べてみると、古書なら、まだ出回っているようだが、ネット書店では結構な値段が付いている。私も当時持っていたので、捨てなければ良かったと激しく後悔しているところだ。
それはさておき、当時まだ、田舎の純朴な高校生だった私は、この本を読んで、色々な外国語を操ることにあこがれたものだ。ただ受験生でもあったので、高校時代は何かアクションを起こすというところまではいかなかった。
大学は、京都だったので、本屋に行けば、外国語の参考書はいくらでもある。フランス語、スペイン語、イタリア語、中国語などのテキストを買ってはみたのだが、残念ながら、どれも三日坊主。結局、英語はまあまあ、大学での第二外国語だったドイツ語は辞書があればというレベルになったのが精いっぱい。多くの外国語を話せるようになるためには、何よりも根気と熱意が必要だと言うことを実感した。
ところが、世の中には、上には上がいるものだ。たまたまブルーバックスの中から見つけた
「40ヵ国語習得法―私はこうしてマスターした 」(新名美次)。一気に種田さんの2倍である。本書に掲載されている著者の略歴を読んで、更に驚いた。なんと、著者は北大卒の医師で、アメリカで眼科医として活躍しているというのだ。単なる外国語オタクなんかではないのである。
本書には、著者が外国語に興味を持ったきっかけ、外国語学習の歩み、外国語の勉強法などと共に、著者が習得した各外国語について、それぞれ数ページ程度を使って紹介が行われている。さすがに、40カ国語をマスターしようと言う人はそんなにはいないだろうが、ざっと眺めてみて、自分が興味を持てそうな言語を勉強してみるのも面白いのではないかと思う。
著者は言う。
<語学学習は、一般的に言われる才能や年齢、性別、勉強する場所に左右されるものではなく、やる気のある人なら、誰にでも、どこにいてもできる>(p45)
そうなのだ。何かをやろうとする場合、決して遅過ぎるということはない。特に外国語は一種の技能なので、やる気と根気さえあれば、年齢に関係なく、あるところまではやればやるほど上達するものなのである。定年になって、何をしようかと考えている人など、脳の老化防止として、毎日、外国語を勉強するというのも、選択肢の一つとして考えてもいいのではないだろうか。
ところで、著者の新名さん、40ケ国語でも十分すごいのに、最近では、本書を書かれた時点より更にパワーアップしているようだ。なんと、最近、ブルーバックスから続編の
「50ヵ国語習得法 誰にでもできる、いまからでも間に合う」という本を出されている。このパワーはぜひ見習いたいものだ。
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※本記事は、書評専門の拙ブログ
「風竜胆の書評」に掲載したものです。