蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

ぷかり、ぷかり

2010-02-02 | 人々の風景
未成年の頃は、友人たちは、タバコをスパスパ。
成人して、私も、スパスパ。
決してヘビースモーカーではなく、カッコだけ。
銀製の薄いシガレットケースに、細い金色のテーピングが光る、スリムな外国製タバコを入れる。
同じく銀製の、丸いフォルムが優美なカルティエのライター。
お気に入りのセットだった。

細い指に(あくまで、当時は)タバコを挟むと、男性がさっと火をつけてくれて・・・。
カッコだけに、憧れていた。
タバコを吸う男性も、大人の渋さ、哀愁が漂うようで、シビれた。

そうこうして悪女嗜好を卒業し、フツーの健全市民時期には、すっぱりタバコはやめた。
さらに中年になって、ちょっとだけ吸った時期もあったけれど、急にタバコ熱が冷えた。
なぜかというと、カッコ悪いと感じたから。
もともと、格好で入っているから、嫌いになるのも、格好から。
こんなに嫌煙家が多い中、嫌われてまで、タバコが手放せない人は、見かけが悪い。
カッコ悪い。そう感じた。ただ、それだけ。

今も、タバコを吸っている人を見ると、カッコ悪い人だと感じる。
どんなカッコいい人でも。
(キムタクが、映画の中でタバコを吸っていたが、意外な気がした。カッコよくない。あういう役柄?)
やめられないんだな、意志が弱いんだな、とも感じる。
クラス会でも、タバコを吸っている人は、一人しかいなかった。しかも女性。
女性の方が、吸い始めが遅い分、やめる時期も遅いのか?
パーティや集まりでも、タバコを吸っている人は、ほとんどいない。
それ以前に、会場に灰皿がない。

会議のあと、どどどっと、ビルの外に突進する愛煙家の人々。
今は、仕事中はもちろん、喫煙室もオフィスビル内にはなく、外に出るしかない。
愛煙家が分離された飲食店では、奥の部屋で、煙もうもう、
たくさんの人が、狭い空間に押し詰められ、密封状態で、お互いの煙を吸い合っている。
その部屋がガラスで仕切られているので、タバコを吸わないお客さんから、中の様子がよくわかる。
なんか、哀れ・・・。
愛煙家は、どんどん肩身が狭くなる。
でも、世間に背中を向けながら、小さくなりながら、吸っている姿を見ると、
昔、カッコいいと思っていた、あの、憧れともとれる思いは、いったい、なんだったのか?

というわけで、近くに愛煙家がいて、モクモク、スパスパされると、
当然、私にも全身、ニオイや煙が沁み込む。
自宅に帰ってから、衣類は洗濯、陰干し、しばらくの間、ニオイ抜きをする。

カラダに悪い、お金がかかる、人に迷惑をかける、カッコ悪い、部屋が汚れる、
意志が弱い人とみなされる、自分でもやめようと思っているのにやられないから、ストレスがたまる、
なのに、やめられない人は、いっぱい。
愛煙家の人の言い分も、たっぷりあるだろうけれど、今の世の中での喫煙意識は、ちょっと、昔と違う。
気の毒を通り越して、もの哀しさを感じてしまう。