雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

ペニシリン記念日 ・ 小さな小さな物語 ( 1853 )

2025-02-12 07:59:46 | 小さな小さな物語 第三十一部

朝、歯を磨きながら暦を見るのが習慣のようになっています。
一日当りの記事はごく少ないカレンダーですが、たいていの日は見てしまいます。それによりますと、今日は旧暦の1月15日で、旧暦では小正月にあたります。
現代の私たちの生活では、旧暦を用いることはほとんどありません。旧暦のお正月も、特別な行事などをなさるご家庭は少ないのでしょうが、昨今は、春節とやらで中国などから大勢の観光客が訪れることから、注目されるようになりました。しかし、旧暦では小正月もそれなりの行事があったようですが、今日では、ほとんど意識することもありません。
そこで、今日を記念日としているものにはどのようなものがあるのか調べてみました。
「ボンカレーの日」「ブラジャーの日」「ダーウィンの日」「ペニシリン記念日」など、様々な記念日が設けられています。

その中で、「ペニシリン記念日」というのに強く惹かれました。最近ではあまり耳にしませんが、かつては、特効薬の代表のように私などは思っていました。
この記念日は、「1941年(昭和16年)2月12日、イギリスのオックスフォード大学付属病院で、世界で初めてペニシリンの臨床実験に成功した」のを記念したものだそうです。
ペニシリンは、1928年、イギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミング( 1881 - 1955 )によって、アオカビなどから発見された世界で初の抗生物質だそうです。医薬品として実用化されるのには十数年を要しましたが、これにより、第二次世界大戦では多くの負傷兵などを感染症から救ったとされ、20世紀における偉大な発見の一つと言われているそうです。フレミングは、この功績でノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

ペニシリンが抗生物質の最初とされていますが、カビなどによって感染症などを防ぐ治療法などは、古代エジプトやギリシャなどでも行われていたという記録があるそうです。
その近代的な研究は19世紀末頃からのようですが、ドイツの医師・細菌学者であり、炭疽菌ゃ結核菌やコレラ菌などを発見し、近代細菌学の父といわれるロベルト・コッホ( 1843 - 1910 )は、私たちも馴染み深く、多くの学者が彼の教えを受けています。
その一人であるパウル・エールリヒ( 1854 - 1915 )は、ドイツの細菌学者・生化学者ですが、化学療法の創始者とされ、「化学療法」「特効薬」という概念を初めて用いた人物です。彼も、ノーベル賞を受賞しています。
そして、わが国の北里柴三郎( 1853 - 1931 )もその一人です。「血清療法」を発見し、破傷風菌の培養や、ペスト菌を発見するなど、「近代日本医学の父」と称されていますが、残念ながら、ノーベル賞は、第一回の生理学・医学賞の候補となりながら受賞を逃しています。受賞したのは、血清療法をジフテリアに応用した人物だっただけに、とかくの噂もあったようです。まさか、人種差別のようなものはなかったのでしょうが、わが国の国際的地位ということは関係していたような気もしてしまうのです。
幸い、新紙幣の千円札には、北里柴三郎さんの肖像画が使われていますので、お目に掛る機会も多いでしょうから、その偉業を偲びたいものです。

ここ数年、人類はコロナウィルスによる感染症に苦しめられました。
先に述べた学者方は、細菌学者として著名ですが、多くの研究や発見が積み重ねられても、なお私たちは、感染症の恐怖から逃れることは出来ていません。結核は、今も感染症として世界で最も多くの死者を出していて、その数は160万人( 1921 年)に及びます。何せ、地球上に存在している細菌の数は、「5×10の30乗」だそうですから、どの程度多いのか計算が出来ません。
ウイルスが生物なのかどうかは意見が分かれるところですが、その数は細菌をさらに上回るそうです。
さらに、私たちの体内や表面には380兆個のウイルスが存在しており、細菌は一桁二桁少ないとしても、天文学的な数がまつわりついているようです。
どうやら、彼らと真っ正面からぶつかり合う作戦は、賢明ではないようですよ。と言って、仲良しになるのも難しそうですしねぇ・・・。

 


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