前に読んだ、「正義の経済哲学―ロールズとセン」(後藤玲子)は難解であった( http://pub.ne.jp/n7ohshima/?entry_id=3072624 )。今回は、ロールズに関連する、サンデルに関わるコミュニタリアニズムとの比較もあり面白かった。<o:p></o:p>
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アマルティア・センはハーバードの経済学で貧困の研究で高名だ(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%B3)。同じくハーバード政治学科で高名なマイケル・サンデルはコミュニタリアニズムだ( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E4%BD%93%E4%B8%BB%E7%BE%A9 )。<o:p></o:p>
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センの主張の要点は多面性があること。<o:p></o:p>
経済学は「工学的アプローチ」ではなく、経済行動の動機は利他や倫理に基づく「共感」「コミットメント」としている。<o:p></o:p>
欲することの達成のできる「潜在能力(Capability)」とその目的の達成を「機能(Fanctioning)」とし、できないのが「貧困」の状態との定義は有名だ。<o:p></o:p>
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センの主張である「怠慢(Omission なされるべき制度化)」「遂行(Commission なされてはいけない制度化)」の概念がアイデンティティにも適用されており、その多様性(どの要素を選ぶか)とその内容(同種の中でもそれぞれ違う)というのを自身の生まれ・経歴・所属・国籍・宗教などから語っている。サンデルの「社会的連帯として助けの必要なものは助ける 美徳と共通善」は特定のコミュニティに根ざしており相違がある。つまり、コミュニタリアンは、その他のコミュニティに対しての言及がすくない。<o:p></o:p>
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結論として、センの経済学はマクロ(地球)で、政治学のサンデルはマイクロ(コミュニティ)のように感じた。また、時間軸でもセンは将来の育成に、サンデルは現実の課題解決を志向しているように思う。<o:p></o:p>
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サンデルはもてはやされているが、アメリカの国内問題に対する政治学であるのに対し、センは地球の厚生を考える経済学だ。うまく世を渡るならサンデルで、世を憂うならセンか。都市計画にはどちらも必要に思うが、「都市(計画)哲学」みたいな研究になるかな。(近畿大学の久隆浩 教授がまちづくりでお使いだが)<o:p></o:p>
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