都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

スマート・プライシング(ジャグモハン・ラジュー、Z・ジャン・チャン):科学と技能の間

2011-11-19 16:17:20 | マクロ経済

ウォートンスクールの教授の著作で、藤井清美さんの訳が分り易く、的確だ。<o:p></o:p>

 価格モデルには<o:p></o:p>

①コストプラス法(原価+α)<o:p></o:p>

②競争に基づく価格設定(シェアをとる)<o:p></o:p>

③需要に基づく価格設定(自動車ディーラーなど)<o:p></o:p>

と分析があり、最近は、「Pay as You Wish(払いたい額を支払う)」、「無料戦略(損して得とれ)」、「China Price (安い価格と生産量で圧倒)」、「損益分岐点分析による、価格低下とマーケット制圧」の事例がある。<o:p></o:p>

 面白いのは、自動値下げ方式でボストンのファイリーンズ・ベースメント(現在休業中)が紹介されている。品物は期間を過ぎると、自動的に割引になるという、ギャンブル的な面白さもあった、名物店だ。かつて夫婦でお値打ち物をあさりに行ったのが懐かしい。しかしこれも限界があるようだ。<o:p></o:p>

 最近は、ネットを始めデータベースでの世帯別、個人別、オケージョン別のマーケティングが可能となっており、顧客毎の性向、価格感度によって調整できるようになり、更に価格戦略は複雑になったとある。情報が多くなったら、安くなるというものではない。<o:p></o:p>

 「マーケティング収益率」という考え方では、会計上の収益性に加え、連鎖して購買する効果も考えた方式で、要は利益が高く、人を呼ぶ品物が最も良いということだ。<o:p></o:p>

 投資銀行の高い給与については、行動経済学の指摘にもあるが、「熱心に働くインセンティブ」として、雇用者の認識に基づくとある。これがハイエンド・ブランドの価格戦略にもあり、コアな顧客を囲い込むため価格を下げない(表現的価値を保つ)ことで、需要量を諦めるトレード・オフがあるとしている。<o:p></o:p>

 弁護士、不動産仲介など成功報酬のシステムは売り手と買い手が対立するのではなく「パートナー」方式の成果主義とあり、安心があるが、価格競争は縮小するトレード・オフの指摘がある。<o:p></o:p>

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 結論は傑作で、さんざん分析したあげく「賢いキツネは必ず三つの巣穴をもっている」として、高・中・低の価格設定構造変更の柔軟性とトレード・オフの最小化を提案している。さらに、価格設定は「科学であると同時に技能」、「経験と直感」、「世間知」など、格付けや株価予測みたいなことも書いてある。<o:p></o:p>

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読み物として楽しめます。<o:p></o:p>

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コメント
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