虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自閉症のルーくん と 感覚統合 1

2012-05-17 12:53:18 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

自閉症のルーくん と 自発性 1

自閉症のルーくん と 自発性 2

自閉症のルーくん と 自発性 3

自閉症のルーくん と 自発性 4

 

の記事から1ヶ月ぶりにルーくんが教室に来てくれました。

 

ルーくんは「いっしょに遊ぶ」というイメージがかなりつかめてきているようで

新しい遊び道具にも積極的に関わって

じっくり遊べていました。

教室の子らが「お宝」と呼んでいる星やハートや動物の形をしたプラスチックのおもちゃを

小さなコップに1つ1つ入れていく作業が気に入っていました。

 

その後、下の写真のような穴の空いた箱に「お宝」をポトンと落とす遊びを楽しんでいました。

この穴の空いた箱はとても関心があるようで、

おもちゃを穴から入れて、その後ちゃんと入っているか横から覗きこんだり、

ミニカーを取ってきて、横から入れて遊んだりしました。

 

ルーくんは、「ルーくん!見て!」と声をかけると、

頑なにそちらを見ようとしないか、無視します。

が、声をかけずにそっと提示してみせたことは、

自分の遊びにちゃんと取り入れてもいます。

 

最終的には、こちらの呼びかけによる共同注意が上手にできる状態に導くように配慮しつつも、

ルーくんがコントロールされたり侵入されたりしているような不快感を抱かないで、

お互いに真似っこしたり、いっしょに同じものを見たりするのを

楽しんでいけるように調節しています。

 

ルーくんの一人遊びにわたしが介入しようとすると

触らせないようにわたしの手を押し返すそぶりをしながらも、

適度に介入されることを楽しんでもいるように見えます。

無理強いせずに、いつもルーくんの意志の方が通るくらいに加減しながら邪魔に入っていると、

ふざけっこや相互にする遊びの発展につながりそうでもあります。

たとえば、下の写真の玉そろばんを移動している最中などに、

わたしが玉に触ると、手を押し返すのですが、

ルーくんが途中まで移動したところで、邪魔に入りつつも、

「イヤ」という素振りでサッと手を引っ込めて、

ふたたび邪魔に入るということをしていると、

だんだん、そうやってふざけあうことが楽しくなっていくようです。

 

ただこうしたふざけっこに誘う場合、

とてもふざけっことは思えないほど慎重に、「邪魔しようかな、しようかな」と

こちらの次の行動が見えやすいようにして、そっと行うことが

大事だとも感じています。

 

自閉症の子たちが、人と関わりながらする遊びを楽しいと感じ始めるには、

物事が急速に変化しないという

安心感が必要だからです。

 

その時、ルーくんとわたしがしている遊びの意味を

ルーくんのお母さんに正確に伝える難しさも感じました。

 

あるおもちゃを使って

ある遊び方をさせるのが大事なのではなくて、

その遊びを通して、

次第に「(相手と)同じものが見たい」「(相手の)真似したい」「(相手は)次にどんなことをしてくれるのかな?ワクワクする」

「(相手がこうしたら)ぼくはこうやって返すんだ」という気持ちを高めていくことと、

自発的におしゃべりしようとする態度を育んでいくことが

重要だからです。

 

ルーくんのそうした遊びへの反応は良くて、

どの遊びでも次第に遊びの世界に引き込まれて

夢中になっていました。

 

ビー玉がぐるぐる回りながら落ちていきます。

 

ルーくんはかなり長い時間、人といっしょに遊べるようになってきている一方では、

疲れてくると自分の世界に没頭して、

部屋の中を何度も行ったり来たりしながら

常同運動にふける姿もありました。

 

そんな時に、プラスチックの子ども椅子を持ちあげて

自分の胸に押し付けようとしたり、

ひたすらげんこつにした手をペロりとなめたりしていました。

 

少し圧迫するくらいに抱え込んで、下の写真のような金属製の突起がたくさんついている

科学おもちゃに触らせてあげると、

急に落ち着いて、長い間わたしの膝の上でこのおもちゃを触って遊んでいました。

 

またゴム製の突起のあるクッションも気にいって、手や身体を押しつけて

ニコニコしていました。

 

次回に続きます。


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