虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

やる気のない態度 と あとから振り返る子育て

2015-10-16 07:58:09 | 日々思うこと 雑感
2歳、3歳のころから接してきた子どもたちが、
 
5歳、6歳、7歳と成長してから、数年前の姿を思い返すと、
 
教育にとって大事なことに気づきます。
 
わが子なんて0歳からいつも見てきて、もうすぐ社会に出て行こうという年に
 
成長しましたが、そこから十数年前の姿を思い出すと、
 
そこで気づく大事なことというのも、それと同じです。
 
大事なこと……というのは、子どもの態度やノリについてです。
 
幼児を持つ親御さんは、何か働きかけるたびに、特に教育的なことの場合、
 
目をキラキラさせて、意欲的で積極的で熱心な姿をしるすことを
 
望んでいます。そうして子どもからそういう態度が得られたときだけ、
 
価値がある時間を過せたと感じがちです。

また教えたことが、すぐさま結果としてあらわれて、何かを覚えたり、
 
周囲を驚かせたり、目に見える数値で成果を確かめられる場合のみ、
 
子どもに正しいことができた、良いことをしてやれたと思いがちです。
 
とても短い期間に、子育てに近視眼的になればなるほど、そう感じがちです。

けれど、いったん、子どもがある年齢まで成長して、
 
さまざまな年齢の子どもの姿を振り返ると、
 
何をするのも乗り気ではなくぐずぐずしていた時期も、
 
反抗ばかりして少しも成果が見えなかった時期も、どちらも非常に重要で、

大人が食いついた~と評する状態で学んでいる時期同様に

子どもを大きく成長させていたことがわかります。
 
子どもにはさまざまな成長段階もあるし、個性もあります。
 
物との関わり方も、無関心を装いつつ、実は熱心に観察している子、
 
頭の中ではあれこれ考えている子がいます。

たとえば、虹色教室には、5~6歳の3トリオさんが通ってきていますが、
 
この3人のうち、TくんSくんが3歳、4歳のときのレッスンなんて、
 
2時間、私のすることに1から10まで反抗して、
 
レッスンとして成り立たないときもよくありました。
 
かなりのやんちゃさんでしたから……。

それでも私は淡々とその時期の子の心に響く体験を用意していきました。
 
子どもの態度にまどわされず、その子に必要なものを与えていくのです。

反抗期がひどくなると、部屋にいることすら嫌がってかんしゃくをおこす
 
ので、TくんとTくんのお母さんと私とで、外を散歩しながら花を見たり、
 
建物を見に行くことをレッスンとした日もありました。
 
それでも泣きつづけて機嫌をなおさないTくんに、
 
根気良くつきあうTくんのお母さんの姿を見て、今さえ乗り越えれば、
 
一年もすれば、この子はとてもしっかりしたお兄ちゃんになるだろうな~と
 
感じました。
 
なぜそう感じたかというと、Tくんを見てそう思ったのでなく、
 
Tくんの態度に動じないTくんのお母さんの姿を見てそう感じたのです。

そして、私が推測していた通り、一年たたないうちに、Tくんの中から、
 
自立していて、意欲的で、まじめで、がんばりやで勉強好きの
 
性質がどんどんあらわれてきました。
 
お友だちとのグループレッスンになってからはリーダーシップを取りながら、
 
お友達の意見をよく聞き、自分の意見をきちんと表現し、
 
大人の話にも集中して耳を傾ける「できすぎくん」となっていました。
 
態度が悪くて聞いていないように見えた時期の学習は、
 
なぜかすべて覚えていて、まじめに取り組んでいた子以上によくできます。
 
しっかり反抗期を超えているので、依存的なところや、
 
赤ちゃん返りがあまりなくて、
 
学んだり、何か技術をマスターすることにいつも心が集中しています。
 
幼稚園でも「根っからの優等生」と先生から評されているのだとか……。

Sくんも同じような経緯をたどっています。
 
 
またうちの子を振り返っても、娘はフランス語の暗唱でも英語の暗唱でも、
 
4歳のころには、教えればすぐさま吸収して、アウトプットし、
 
手先も器用で幼稚園時代から絵画で賞をもらったりしていました。
 
息子は、わが道を行く子で、私がすることをいっしょに楽しむものの、
 
ふざけるだけで幼児期にはアウトプットはなし。
 
絵なんか、卒園時に棒人間でしたけど……。

でも大きくなれば、娘も息子も、私が働きかけたことは、
 
その時期の子の態度や、外からみえる成果にかかわらず、
 
同じようにすべて吸収されていたんだな~と感じることが多々あります。

あとから振り返ると、子どもの中に生き続け、芽を出し、
 
成長し続ける幼児体験というものがあるのです。

それは、子どもがどんな態度をしるしたとか、乗り気かとか、
 
何ができるようになったとかで評価しないで、
 
ただ子どもの周辺を「質の良い学ぶことの喜びと美しさ」で彩る行為です。

子どもの環境を知的なものと友だちになれるように整える、
 
ただそれだけです。

また子どもの中から、肯定的で前向きで好奇心あふれる姿勢が
 
あらわれてくるまで、急いで評価を下したり、大人がふらふらせずに、
 
気長に楽しみながら待つことです。

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