虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

年少さん 学習の土台を作る遊び

2022-04-19 10:57:20 | 算数

4歳前後の子たちは、「数量概念の形成」を目的とした遊びが、とにかく大好きです。

将来の算数の力の土台となるパターンを自分の中にインプットしていこうとするような貪欲な遊び方です。

その年代の子のグループレッスンも、個人レッスンも、この「数量概念の形成」を促進させるような遊びが自然と生まれ、どんどん発展していく姿を見かけます。

そうした子どもの知能の成長を飛躍させる遊びが、いきいきと繰り広げられるようにするには、身近な大人が、「子どもがどのように数量概念の形成していくかを理解し、子どもの学習の妨害をするのをやめて、環境を整えていく」必要があります。

4歳前後の子たちのグループレッスンでは、お弁当を持ってピクニックに行く遊びの中で、自分から「氷を3個ずつコップに入れてジュースを作りますからね」と言って、ジュースを作っていたり、大小のサイズを比べる、配る、並べる、人数分用意する、バスの乗り降りと増減、水を移し変えて増減に気づいたりと、この年代の子たちがいかにそうした内容に関心が高いかわかる遊び方でした。

この時期に、こうした遊びに全く関心がない子には、いくつか理由が考えられます。

子どもが自由に同じような遊びをしていると、遊びに発展や学ぶことがないような気がして気持ちがせいてくる大人がいる場合

(お皿に、いろいろ乗せては楽しく遊んでいるよりも、かけ算が言えるようになることに価値を感じるような「結果を急ぐ大人」がそばにいると、遊びを、じっくりと時間をかけて展開していく姿が失われます。

そのため、考えなくなり、記憶に頼って反射的に何かしては、次の遊びを始めるという2歳前後の子の遊び方をし続ける子がよくいます。)

1~2歳半までに「探索してまわる」「いたずらを繰り返す」「たくさん歩く」「感覚を刺激する水遊び、砂遊び」などをあまりさせていない場合

(足りないと、どうしても次の年代に持ち越されるので、4,5歳の子が1,2歳児の遊びを強く求める姿をよく見ます)

できあがったおもちゃが多くて、算数遊びを展開する遊び道具が、教材教材しているか、少ない場合。

拡散思考が発達する前に、収束思考による考え方しかできないようなインプットをおこなう場合。

(幼児の遊びを見ていると、たくさんたくさんの拡散思考を自分の中から生み出していって、それを試したフィードバックから、微妙な正しさの違いを学んでいます。

この時期に、問いと答えがイコールで結ばれるようなインプットばかりしていると、自分で思いつくことや考えたことに自信を失い、大人から教わったことを丸暗記するようになるようです)

生活が慌しく、遊びを中断されがち。中断されることを繰り返すうちに、遊ぶこと自体がめんどくさくなっている場合。

自分で気づく前に大人が教えるので、自分で気づく喜びを味わったことがない場合。

親への愛着がきちんと形成されていない場合。

遊びなのに、遊び心がない場合。

(子どもだからといって、楽しい遊びを次々思いつけるわけではありません。身近な大人や年長の子のすることを見て、学ぶ必要があります。子どものお手本になる場合、楽しい気持ちがあふれてくるような遊び心が大事です)

子どもの世界に「できる」「できない」の評価が入っている場合。

(上手ね、すごいね、と褒めるのだって、大人が出来不出来の結果を気にしつつ褒めていると、子どもから純粋な楽しみやミスを気にせずに何にでもチャレンジしようという気持ちを奪います。幼児期に、もりもりプリントを進めるようなやる気につながっても、小3くらいからの無気力の原因となりやすいようです。

子どもが「できる」「できない」を意識しはじめると、想像力や創造性が阻害されて、遊びから知能を促進するような面が失われていきます。
子どもは、せめて遊びの世界では評価されることを避けようとして、幼稚な遊び方にこだわるのをよく見かけます。

「できる」「できない」への気づきは、子どもの中で無理のない形で自然に生まれてきますが、周囲は小学校に入るまで、子どもの世界に評価したり比べたりする「物差し」を入れない覚悟が必要です。)


変な例えですが、これからさまざまなシステムを構築していって、新しい製品を生み出していこうとしている工場があるとします。

まず、いろんな機械を作りだし、動かしてみて、チェックしていくべきところを、工場内の機械の電源は切ってしまって、できあがった商品をたくさん工場内に持ち込んでは、従業員総出で、他社の商品を使用してみることばかりしていたらどうなるでしょう?

テレビを作ってる工場なら、部品を作る前から、テレビ番組は楽しめるし、従業員は、試行錯誤して壁にぶつかることなく、忙しく「何か」をしているわけで、効率的に見えなくもない……でも、工場の機械は少しも作動していないのです。
数年後に何かが、生み出されてくるのでしょうか?

子どもにしても、大人がいくら外部の知識を与えても、自分の頭と身体を使わせていかないと、この変な工場のたとえと同じように、がんばってもがんばっても、(与える側も使う側も)何だかうまくいかないな~ということになっていくのではないでしょうか?

 

4歳前後の子のままごとは真剣そのもの。

「3分待ってくださいね」「180度にセットして~焼きますからね」
時間や温度を取り入れて、リアルにするととても喜びます。
といっても、本当の意味で理解するのはまだ先のことでしょう。

市販のままごとセットにオーブンもあるでしょうが、「それらしく」見立てて遊ぶ方が喜ぶ上に、見立てるついでにさまざまな知的な要素を加えて楽しめます。

イスなどの隙間から、皿と食べ物を入れて、スイッチを入れてから、お皿をぐるぐるまわします。(電子レンジやオーブンらしくなりますね)写真では布をかけて、演出しています。(何かと布をかけたがる……この時期の子たちです)

4歳前後の子たちの前で、この黒い布を広げて、
「洞窟探検に行く人~?」
「宇宙旅行に行く子~?」
「夜の世界に行ってお化けを見てくる子~?」
などと、その都度適当な提案をすると、
「はい」「はい」と真剣な表情で手が挙がります。

懐中電灯を持って布の中にもぐったあとで、
「どうだった?」とたずねると、

「面白かった」「もう一回行きたい」という返事。
 
消防隊が大好きな★くんが、火災現場で放水しているところです。
「カンカン鳴らすのがいる」と言うので、天井からアルミの穴の空いたボウルを吊ってあげながら、
「どのくらいの高さに吊らすの?」とたずねました。
「これくらい」と、自分の肩あたりの高さを指して、「いや、もうちょっと下かな?もうちょっとだけ。」と答えます。
「ぼくが座るでしょ。カンカンするとき、ほらっ、この高さがいいんだ」と言います。
4歳くらいの子は、自分の背の高さや身体の位置から、長さや高さについて考えるようです。

「ぼくは消防士さんだから、前の席で、プーさんは後ろだよ」
「3丁目行ってきます!火事は11階です。」
「4丁目行ってきます!火事は、146階です!!」
と、位置や数字を取り入れた、遊びが楽しくてたまらない様子です。

この後、消防士さんは、火災現場から、ぬいぐるみたちを救い出し、無事消防署に帰りました。
とたんに「う~う~泥棒です!5丁目に泥棒です」とパトカーになって出かけ、悪そうな顔をしたクロネコのぬいぐるみを捕まえて、牢屋に閉じ込めていました。


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