ユースホステルに宿泊する日の夜は
親御さんたちと
真夜中過ぎまで親のための勉強会をしています。
毎回、和気あいあいとしてそれは楽しい時間になっています。
この日は、いろんな面できちんとした性格のために、
独身時代や職場ではそれで物事がうまく回っていたけれど、
子育てをする際には
決まりごとをゆるめたり曖昧さやルーズさを受け入れたりしていくことにとても苦労したという
Aさんも参加していました。
Aさんは◎ちゃんよりもう少し大きな子を育てています。
Aさんは、◎ちゃんのお母さんの気持ちがよくわかる~と共感した上で、
「まず、小さなひとつだけ、まあいいか……とゆるめる部分を作ってみると、
他の部分でも、これもまぁいいか……あれもまぁいいか……と少しずつ許容できる範囲が広がっていきますよ」と
具体的なアドバイスをしていました。
その晩は◎ちゃんのお母さんが子育ての悩みや不安や小さな喜びや面白さやイライラなどの本音を
自由に言葉にしていくのを、
他のお母さん方も私も、共感したり、なだめたり、応援したりしながら耳を傾けていました。
結局、「本音に耳を傾けた」というそれだけのことをしただけなのですが、
そうした時間を過ごすことで、◎ちゃんのお母さんはもちろんそこにいた誰もが、
親としてどのように子どもと接していこうかと
普段は見ようとしなかった自分の心の内面の風通しをよくして、
子育ての足元を固めるための時間を共有できたように思います。
私のようにもう大人に半分足をつっこんだような子どもたちを育てていても、
こうした子育て最前線に立っている親御さんたちの迷いや決意や本音や幸福感に触れていると
自分の築いてきた親子関係を新鮮な目で見直して、
ちょっと反省したり、自分に優しくなったりするのです。
親同士、学びあえるいい関係を作ることは大事だな~と実感しました。
「ダメ出し」と言えば、別の2年生の★ちゃんとの親御さんとの間でこんなこともありました。
私は言葉上では「ダメ出し」していないのですが、
親御さんが子どもを厳しく叱った後で、
私がそれと反対の言動をしたので、結果的に親御さんの言動にダメ出しをしたような雰囲気になったのです。
でも、実際、私は、反対の態度をとりつつも、
心の中では親御さんの対応はその時その場にちょうどいいものだと思っていました。
親御さんが間違っていたから私が子どもに親御さんと異なる対応をしたのではなくて、
親御さんが先にきちんと子どもに厳しい態度をしめしていたので、
私はその場に足りなかった部分だけを補う形でよかったのです。
ユースホステルでは、2段ベッドの上段で寝るのがとても人気です。
毎回、子どもたちの間で激しい争奪戦になっています。
2段ベッドがふたつと畳でふとんで寝るスペースがある部屋で
小学2年生の女の子4人で揉め事が持ち上がりました。
隣の部屋にいた私は、「あっちの部屋でベッドを取り合って○ちゃんが泣いているよ」という話を聞きつけた
私は様子を見にいくことにしました。
すると、○ちゃんはこれまで相当ごねていた様子で、私が着いたときには、
しまいにお母さんから「そんなことなら家に帰るわよ」と叱られた○ちゃんが
部屋の隅で三角座りをして膝に顔をうずめて
しくしく泣いていました。
私が部屋に入ってくると、左右の2段ベッドの上段から■ちゃんと◎ちゃんがひょっこり顔を出して、
「先生!聞いてください!私が説明します」「先生、説明させてください!」と
体育大会なんかで、「宣誓!わたくしは~」なんて言うときのような口調で
これまでの経緯をまくしたてました。