虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

「僕、9歳の大学生」という本

2008-02-27 15:19:41 | 本の紹介

今週 虹色教室はインフルエンザでお休みしている生徒が
次々出て、半分休業中です。
それで ここ数日は
日ごろできない大掛かりな掃除や
ブログの整理 そして読書をして過ごしています。

今朝は「僕、9歳の大学生」の本を読みました。
(読むのは3回目ですが…。)

何度かテレビでも取り上げられているのでご存知の方もいるかと思いますが
矢野 祥くんは
日本人の父 韓国人の母の間に生まれたハーフの男の子です。
4歳9ヶ月でアメリカの小学校に入学し
9歳で大学に入学しました。
ハーバード大学入学者のSAT(大学入学適正試験)が
平均1300点代なのに対し
祥くんは1500点でした。
ただ大学に入学したというのではなく
非常に優秀な成績で入学したんですね。

祥君の小学校を決めるとき
ご両親は 日本の学校に入れようとは考えなかったそうです。
日本の教育や社会環境が
息子の祥くんには不利になると考えたからだそうです。
「のびのびと、でも思いっきり能力を伸ばしてやろう」
それが両親の願いでした。
日本の受験一辺倒の詰め込み教育は
勉強から学ぶ喜びを奪い 勉強以外の可能性を制限し 犠牲にする教育。
一方
アメリカの「それぞれの子どもの能力・可能性を見分けて
個々にできるだけ最善の教育を与える」方針に惹かれたようです。

習熟度別というのはアメリカの教育の根本にあるようです。
早い子どもには早い教育、遅れている子どもにはゆっくりの教育。

子どものテンポに合わせることは
差別ではなく 尊敬ではないでしょうか?

とご両親は問いかけています。

また両親は もし祥が日本の学校に入っていたら
きっと問題児になっていたでしょう。
とも言っています。
学校の勉強は1週間で退屈になり
落書きしたり 字は乱れていいかげんになり 周りにいたずらするばかり
だったかも…とも。

祥君はアメリカでのびのびとした教育を受け
すばらしい子に成長していっています。


今 この本を読み返したのは
私自身 息子が転入した地元の中学で 度重なる忠告を受けて
わが子の望みや成長に付き合う難しさ
日本という環境のことを 深く思いしったからなのです。

私が 大きなリスクを覚悟で息子に受験する道を選ばせたのは
子どもの言うがままになった…というわけでもありません。

これまで 息子は 周囲があきれるような 高い目標を掲げて 
いろんなことにチャレンジしてきました。
姉が準2級の数検を受けると言った時は
自分も準2級を受けたがり
わずか1週間しかないのに 習ってもいない高校の数学の公式を必死で学び
1次 2次試験とも合格しました。
ピアノもプログラミングも中学受験も
自分で掲げた目標は決してあきらめずにやり遂げてきたのです。
そうした息子の個性に対し
親の考えでおさえつけることはためらわれたのです。

しかしこればかりは 息子がいくらチャレンジをしたい…と言っても
迷いがなかったといえば嘘で ギリギリまで本人の思いを見守ることなりました。その結果 
地元の学校には受験期の忙しい時期の転入となり
迷惑ばかりかけてしまったのです。


最初に 事情を話して転入を申し入れた時点から
「お母さん、子どもはお宅のお子さんだけじゃないんですよ。」
「子どもがやりたいということをさせるのが親ではなくて
親は 子どもの行く道を決めてあげるべきです。」といった
注意から 嫌味まで 
おそらく不登校中の生徒や少し非行に走っている生徒の親御さんに対するより
手厳しい言葉の数々…を浴びせられました
(なぜかというと この中学そうした子は全然めずらしくないので)
息子はまじめですし 友達ともすぐに打ち解けたのですが
他の子と違う形で「受験」に臨む息子に
先生からは厳しい目が向けられました。


別に うちの息子が祥君のようにIQが高い…と考えて
この本を手にしたわけではないのです。
ただ
祥君のご両親が 飛び級の是非に関して

いくらすべての専門家が一致した意見を持ったとしても
現実にはそれを「是」とする子どもが必ずいるでしょう。
だから親から見て世界一スペシャルなわが子が
スペシャルな大人として育っていくには
親が主体となって先生・学校・社会に働きかけながら
より良い教育方法を模索していくしかないのです。

と書いておられる言葉を
もう一度目にしたくて 読み返したのです。

どんな選択も 他の子と違うというだけで
「ワガママ」
と非難される日本の社会。

それでも やっぱり 「親から見たらスペシャルなわが子」
そう感じていても良い
そう教えられた読書でした。


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6 コメント

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インフルエンザ (なのたんぱぱ)
2008-02-27 15:30:19
今インフルエンザが流行ってるんですね^^;
先生もお身体にはお気をつけて^^

「スペシャルなわが子」というフレーズがすごく気に入りました。
当然親ならみんなそうなんですよね。
受験までの大切な時間息子さんと頑張ってくださいね!

先生の本出版されるといいなぁ~
絶対買いますよ!
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うはw (金太郎GDX)
2008-02-28 14:41:35
この子は、とてもすごいと思うし、幸せですね^^
僕みたいな無個性で自分がない(少なくとも当時は)人間にとっては、日本でよかったかもしれませんが、個性の強い子にとっては息苦しいですもんね^^;
普通がいい・・・といっても、その価値観自体が時代によってうつろいゆくものですし、数年後では否定されるべき価値観かもしれませんから・・・。
息子さんの件も、びっくりしましたw
親が子供将来を決める???
意味不明ですね^^;
その教師のレベルがかなり低いことが伺えますw
教師というのは、単なる職業であって、本当の意味での教育者であるかどうかというのは別の問題です。
もっとも、教師もモンスターペアレンツなどに怯える今ですから、僕個人の価値観で教師ばかりをこきおろすのもまずいんですけどねw
いずれにしても、息子さんが生き生きと育っていくといいですね♪
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なのたんぱぱさんへ (なおみ)
2008-02-28 23:50:20
コメントありがとうございます。わが子にとって 一番良いことを考えてあげられるのは やはり親だと思います。子どもに一時期だけかかわる周囲の人の意見は 無視するわけにはいかないし 客観的に子どもを見る手助けにはなるけれど 大きな視点で子どもを応援していけるのは やはり親ですね。
息子には 自分が選んだひとつの道と 苦しい局面を迎えても後ろを振り返らずに しっかりつきあっていって欲しいです。後悔はせずに 反省はして欲しい…と願っています。
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金太郎GDXさんへ (なおみ)
2008-02-29 00:03:09
コメントありがとうございます。そうした意見をお持ちなのは 一部の先生なのですが 先生のおっしゃることもよくわかるので耳が痛いです。
それに厳しいことは言っても 次にあったらけろっとしているし 子どものことが心配なだけかもしれません。
先生のおっしゃることはわかるものの
勉強のこととなると 姉を見ていても 学校や友達はあまり関係なくて 結局は自分自身で学ぶことと勉強に対する意欲や意志といった内面的なものがものを言うと考えています。99パーセントの子は環境がとても大切であっても うちの子は違うなぁ…と感じています。「自分」が強い子たちなので…。
でも ダメ親の色眼鏡で見られている感じが伝わってきて つらいです。今は何の証明もできないし…。
それでも こうした経験も親としてはしておいた方がいいかな…とも考えています。
そんなときこそ自分が試されるし 子どもたちも親を尊敬してくれますから…
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枠を超えた教育を認めて欲しいです (のんママ)
2008-02-29 09:37:02
我が家には、発達障害の長男の他に二人のお姉ちゃんがいるのですが、

長女は(親が言うのも何ですが)勉強が大好きでスポーツ万能の絵に描いたような優等生に見られています。でも、必要以上にネガティブに物事を考えてしまう所もあって、長男以上に心配な子どもでもあるのですが…

小学三年生の時にクラブでとあるマラソン大会に出場したとき、同じクラブの六年生をみんな抜かして入賞しました。でも、ねたみからか周りの冷たい視線を浴びるようになってしまい、クラブを続けられなくなったばかりか、うつの一歩手前にまでなってしまいました。

今はマラソンをしようとしませんが、

カウンセリングを受けてだいぶ元気になってます。



日本の世の中って、子ども達に大きな期待をするわりには、色んな事を枠にはめて物事を見てる人が多くて、

ちょっとでも枠からはみ出すと、異端児として嫌悪感を持ってしまうように感じてしまいます。



長女が小学校に入学する前から、どうして海外のように飛び級が出来ないんだろうと感じましたし、長男が入学するときはどうして個別に支援が必要だと専門家から言われているにもかかわらず、すぐに対応してもらえないんだろう…とがっかりしました。



早く固定観念の枠を超えた、一人一人の子どもに合った幅広い教育ができる世の中になってほしいと願っている所です。



それは、一人一人が考え方を改めないといけない事で、親の私自身も幅広い視野を持つ努力をしないといけないことでもあるんですよね。



いつも長々とすみません。
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のんママさんへ (なおみ)
2008-02-29 20:51:09
コメントありがとうございます。のんママさんのおっしゃる通りだと思います。
>日本の世の中って、子ども達に大きな期待をするわりには、色んな事を枠にはめて物事を見てる人が多くて、
ちょっとでも枠からはみ出すと、異端児として嫌悪感を持ってしまうように感じてしまいます<
できてもダメ できなくてもダメは 公立の学校の特徴かと思います。ただ私立も 勉強以外何もする時間がなくなるほどの宿題を出すなど 勉強好きだけど いろいろなことに旺盛な好奇心のある子には厳しいものを感じました。
それにしても長女ちゃんは かわいそうな目に会いましたね。日本では想定外みたいですが 出来る子への配慮も絶対必要だと思っています。 
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