年長になると自発的にする行動が増えてきます。
Aくんが「線路は線路、ブロックはブロック……」という具合にきちんと分別して
おもちゃの後片付けをしていたので、思わず「金メダルね、Aくん」と言うと、
「金メダル作りたい!」という返事が返ってきました。
綿棒の蓋を金色のテープでくるんでいます。
「ひもは絶対、金色にしたい」というAくん。
でも金色の毛糸もリボンもありません。仕方がないので、ストローを金色の
テープで巻いて、ひもを作ることにしました。
「これさ、お掃除が大人みたいにとっても上手にできた金メダルでしょ?
それなら、ぼくお料理も上手だから、お掃除とお料理が大人みたいに上手にできた
金メダルっていうことにしてもいい?」とAくん。
大満足のAくん。それを見たBくんも金メダルを作りたがりました。
それで大急ぎでてきぱきと片付けをして、
「ぼくも金メダルを作りたいよ」と言いました。
「Bくん。Aくんは、線路は線路、ブロックはブロックって分けて
とても上手にお片づけをしたから金メダルを作ることになったのよ。
Bくんもお片づけをしたけれど、金メダルのお片づけではないかもね。
銀メダルではどう?」とたずねました。
「ぼくも金メダルがいいよ」とBくん。
そこで、Bくんにも丸い形のものを用意してあげました。
するとBくんは自分でちゃっちゃとメダル作りを始めました。
ひもの長さをストローと同じ長さにして失敗。
実際にひもを自分の首にかけてみて、長さの目星をつける方法を教えると、
それからは長さに注意して作るようになりました。
Bくんがどんどん金メダルを作っていくのを尻目に、Aくんは何だか不服そう。
「Bくんはさ、銀メダルにしたらいいんじゃない?」と繰り返します。
「Bくんも金メダルがほしいのよ」と告げると、
Aくんは、「でもさ、ぼくはBくんが銀メダルの方がいいなぁ……」とぼそぼそ……。
実は、Aくんがていねいにお片づけをしている間、Bくんは工夫をこらして
工作をしていたのです。
こんな立派なマリオのステージができていました。
そこで、「それなら、Aくんはお掃除とお料理が大人みたいに上手にできた
金メダルということにして、
Bくんは工夫して上手に工作ができた金メダルをいうことにしたらどう?」と
提案しました。
「うん、それがいい」とAくん。
AくんもBくんもキラキラ輝く金メダルを首にさげて、
誇らしそうに笑いあっていました。