持っている能力をきちんと発揮することができない子との関わり 7の記事の続きは、
近いうちに書かせていただきますね。
続きを書きます……と言いながら、伸び伸びになっていた
の続きです。
「同時処理能力が優れている子」という書き方をしていますが、
同時処理、継次処理バランスよく優れている子ではなく、
偏りがある子について書いています。
同時処理能力が優れている子は、算数の文章題を解くときに、答えだけ書いて
式を書かない子が多いです。
そんなとき、「答えがあっているなら、途中経過もわかっているはず。
めんどくさがり屋なんだから……。」と決めつけて、
「式も書きなさい!」とうるさく注意しても、反発をまねくだけです。
それより、「答えはあっているけれど、式の書き方はわからないかもしれない。
答えは出せていても、途中経過について、理解が深まるよう付きあってあげよう」と
考えるのがいいかもしれません。
同時処理能力が優れている子は、頭の中で無意識に数を増減させて
答えを出す子らがいますが、それらを順序よく式にしていくのは
苦手なようです。
困ったことに、同時処理能力が優れている子のほとんどが、
人の説明をきちんと聞こうとしません。
また、問題集の答えの式を写させて、「こういうふうに書きなさい」と指示した
ところで、「もう答えがわかっているのに、どうしてこんなことしなくちゃなら
ないの?」といやいや写すだけで、理解に至らないはずです。
教室では、こんなことに注意して対応しています。
★ 「式の欄のこのスペースに何を書いて、このスペースに何を書くか」と、
全体をいくつかの枠に分割するようなイメージを与えます。
同時処理の子は、順番に式を立てていくのは苦手ですが、
「答えを出すために3つの手順が必要」といった全体を分割するイメージで考える
ことは得意です。
あとから数字や数式を入れる予定の部分を取りあえず
四角い枠で書いて、答えまでにいくつの枠が必要なのかわかってから、
枠の中の処理にあたるのなら、落ち着いて問題に取り組むことができます。
途中で何をやっていたのかわからなくなる……という同時処理能力が優れている子が
継次処理を必要とする作業をしている間になりがちな、
思考の迷子状態を避けることができます。
ワーキングメモリーが弱い子の場合は、枠を作った時点で、そこに何を書くかわかる
タイトルをつけておくといいかもしれません。
たとえば、「3Lのミルクを1人に4dLずつに分けることになりました。
何人に分けることができて、何dLあまりますか」
という問題でしたら、
「単位を(そろえるために)変換するスペース」
「分けるから割り算」
の二つのスペースをイメージしてから(初めのうちは、薄く鉛筆で四角を書いておく)
解いていきます。
同時処理能力が優れている子の多くは、とても創造的で、拡散的思考が得意です。
(創造的ではなく、拡散的思考は苦手だけれど、
数を扱う力が高い同時処理能力が優れている子もいます。)
でもそのせいで、一つの作業に入るやいなや、次々とそれから派生する何かを閃いて
自分の考えを追うのに夢中になり、途中で何をしていたのかわからなくなることが
起こりがちなのです。
★ しょっちゅうミスをする子には、「ミスしないように、ていねいにやりなさい」とか
「ミスさえしなかったらいい点なのに……」と言うのではなく、
「どうしたら、ミスが減らせると思う?」とか、「ミスした原因は何かな?」
「次にミスしないためにどうしたらいいかな?」といった質問をして、
同時処理能力が優れた子の洞察力を使って、ミスを減らす方法を考えさせます。
このタイプの子に、ミスしないように小言を言っても、ミスを減らすどころか、
根気よく問題に付き合う意欲を奪って、さらに悪い結果を招くのがオチです。
ミスしないことが、答えを出すことより大変であることを理解した上で、
ミスしないための工夫をいっしょに考えて、そのために努力する力が萎えないように
励ましていきます。
★ 初めて勉強する場合でも、順番に基礎から理解させていくよりも、
問題と答えを見せて、全体を捉えさせる方が理解しやすい場合が多いです。
★ 勉強の中で、自分のアイデアや洞察力を使えるように配慮します。
漢字を覚えるにしても、
「何度も練習しなさい」と言うより、
「どうしたら少ない回数で、完璧に覚えることができると思う?」とたずねたほうが、
きちんと覚えるはずです。
「間違えないように書きなさい」と言うより、「どこが間違えそう?この2本の線と
3本の線を間違いそうだよね」といったおしゃべりをしたほうが、
正確に書くようになるかもしれません。
ブログにこの記事引用させていただきました。
事後報告ですみません!
いつも、ためになる記事をありがとうございます!!
いつも楽しく拝見させていただいています♪
小学4年の息子がまさにこの同時処理能力が優勢タイプで、「答えがわかっても式を書くのを嫌がる」のです。
先日、担任の先生とお話する機会があって、どうフォローすればいいか相談したら、「式を書くように説得する」よう助言されてしまい困っていました(-_-;)
説得でどうにかなればだれも悩まないです(笑)
なので、今回の記事はとても助かりました。
ありがとうございました。
ちなみに前回の記事の★くん、少し息子と似ていて親近感わきました。
息子は、2年後半~3年生ぐらいから徐々に自分の考えを伝えらるようになってきて、そうなると周りの目も変わりました。
そうなるまで、やきもきしながら、成長を待っていたので心底ほっとしたものです(^^)
ミスと算数の関係は、楽器の演奏とミスの関係にも似てるかな、と、記事を拝見して閃きました。
ムスメはコツコツ練習しないし、よく楽譜も読まないので、よくミスをします。聞いてる方は、とほほなのです。アドバイスも聞いちゃいないし。
上手にひけたときの録音などを聞かせ、全体像を掴ませるリードも必要かな。
この記事を読ませて頂き、嬉しかったです。ありがとうございました。
私自身が、社会に適応するのが難しく、仕事が長続きしたためしがなく、鬱で今はストラテラというお薬を飲んでいます。
息子も私と似ているため、将来が心配になり、最近は、高校受験のこともあり、苛々して叱ってしまうことが多く、反省しても繰り返してしまい、息子に対して本当に申し訳ない母です。
なおみ先生のこちらの記事や、最近の記事を読ませて頂いていて、
注意深く彼の素晴らしさに光を当ててあげないとなぁ…と、あらためて思いました。
子どもにとって、親に理解されないことほど悲しいことはないですよね…。
彼のキラキラした生命力を、私が奪ってしまわないように。
いつもうまくいかないことばかりだけど、祈るような気持ちで、子育てしていきたいです。