前回の記事にこんなコメントをいただいたので紹介します。
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「間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態」
↑これがすごく大事なんだな〜って最近ひしひしと感じています。
先生もご存知の通り、娘の書く漢字の中には不思議な形の物がチラホラ、、、(;^ω^)
でも何故か漢字の練習を頑張らせよう、とかいう気になれず、しばらく様子見、、
すると案の定、個人面談で先生に「漢字がちょっとね、、、漢字の書き取りをご自宅で頑張らせて下さい」言われました、、、
勿論、はい! と返事をし、で、そのまま何もやりませんでした(;^ω^)
それから約一年は見るも無残な点数ばかりで酷い状態でしたが、何故か私も娘もち〜っとも気にならず、、、
そうこうしているうちに娘の方が自発的に漢字の書き取りをするようになり、今ではほぼ毎回満点(*^^*)<
しかし、私は勉強の事で特に褒めた訳でもなく、どちらかというと、「プリントくらいやりなさいよ!」と怒っていましたが、、、
では、何が娘をヤル気にさせたんだろう、、、???
「○○はいつも頑張ってるね!頑張り過ぎてない?息抜きも必要よ〜」と、毎日労いの言葉をかけていたから?
はたまた突然ヤル気を出してほぼ毎日やっている習い事のおかげ???
↑これがヤル気が溢れ出した状態なのかしら、、、?
理由はよく分からないままですが、一つだけわかっている事は、私が無理矢理漢字の書き取りをやらせていたらこうはならなかっただろうな、、、です。(;^ω^)
漢字のみならず、他の勉強も自発的にやってくれる日が来るのかな、、、にわかに信じがたいのですが、、、今は淡い期待を抱きながら日々過ごしています(*^^*)
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前回までの記事で、
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遅ればせながら大逆転を遂げる子たちには、それが先に書いた「間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態(やる気がからぶり状態)」をしばらく過ごしているという共通点があります。
また、親や学校の先生や友達から一目置かれて認められていて、周囲の愛情を肌で感じられる状況があり、ありのままの自分を表現できる場がある点も共通しています。
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といったことを書きました。
書きたかったことは、子育てで同様の経験をした方以外には伝わらないだろうな……と思っています。
どうして伝わらないなどと消極的なことを言うのかというと、この状態は、「できなくてもくじけずに意欲的に取り組んでいる」という、一般的に言葉からイメージするであろう状態とはちがって、はっきりとはわからないけれど、
「子どもの脳の中で新しい回路が開発されつつあるんじゃないか」
「幼い子たちの敏感期や集中現象に似ている」
と感じさせるもので、これまでそれについて言及されるのを見たことがないからです。
虹色教室の特徴は、ひとりひとりの子と長い期間関わることが多いことです。
1、2歳の頃出会って、それから10年あまりの年月、見守り続けることもめずらしくありません。
もうひとつの大きな特徴は、子どもとの関わり方が多岐にわたっていることです。
工作したり、実験したり、ゲームをしたり、ブロック遊びをしたり、ごっこ遊びに興じたり、算数を学んだり、お泊まりのレッスンに行ったり、それぞれの子のその時期の興味やニーズにそった活動をしたりしています。
そんなふうに、幼い頃から大人のような口をきくようになる頃まで、その子がどんな風に成長していくのか見守りながら年月を重ねるうちに、子どもというものやそれぞれの子の個性、子どもの育ちというものに対して、深い信頼感や安心感や、自然を前にして感じるような敬虔な気持ちを抱くようになりました。
というのも、どんなに今、目の前の子の問題行動が目立っていても、できないことばかりが目についても、子どもは成長の過程でそれを取り戻すかのような劇的な成長の時期が訪れたり、個性の力で、不利な条件を利用して、他の子らが真似できないような面を大きく伸ばしたりする姿を何度も目にしてきたからです。
戸塚滝登著の『子どもの脳が学ぶとき』に、数学者のシーモア・パパートの『パパートの原理』がの一部が紹介されています。
「子どもの脳は単に知識を詰め込まれるだけでは発達できず、その知識を使うための知識(より良い方法を見つけたり、発展させたりする体験などの知識)を与えられない限り、うまく成長することはできない」という考えのことです。
子どもの脳は単に新しいスキルや知識を身に付けるだけでは成長できない。
「知識を使いこなすための知識」「知識についての知識」を学ぶことも、子どもの脳の発達にとってかけがえのないステップになる。
ーー『子どもの脳が学ぶとき』戸塚滝登著
この著書には、脳神経科学者、ジュディス・ラポポートとジェイ・ジードの脳スキャナーを使った脳発達の研究の話題も取り上げられています。
ラポポート博士が、普通のIQの子どもたち、ややIQが高い子どもたち、最もIQが高い子どもたちの3つのグループに分けて子どもの脳発達と知能指数との関係を追跡したところ、もっとIQが高い子どもたちにだけ、奇妙な現象が見つかりました。
それは、IQの高い子どもたちの脳ほどスロースペースで成長し、思春期がやってくるまで成長をやめなかったということです。
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虹色教室では、先に書いたように長い期間、多岐にわたる活動を通して子どもたちとかかわるため、知識を使うための知識、つまり知恵を獲得していく場面にしょっちゅう遭遇します。
また、教室では、子どもがよりよい方法を見つけたり、オリジナルアイデアをひらめいたり、問題の解決法に気づいたり、それらを繰り返しによって洗練させ、より高度なものへと発展させていけるように環境を整え、私自身や親のスキルアップに努めてもいます。
最近、10年以上続けてきたそうした活動が実を結び、思った以上の成果を得るようになったのを肌で感じています。
その一方で、新たな問題に頭を悩ませてもいます。
「教室での子どもたちとの関わり」という現場の仕事について経験知が上がるにつれて、ブログを読む不特定多数の人々に伝えることがより難しくなってきたのです。
子どもの成長のスイッチはいつどんな時、どのような条件で入るのか、子どもとの関わりでどんな点に気をつけていけばいいのか、現場の子どもとのやり取りのなかでは正確に把握できても、それを言葉でさらっと説明すると、どうしても言葉足らずになってしまうのです。
虹色教室通信は、そうした 現場での気づきを日誌のようにつづっているものです。
忙しい日は日誌というよりメモの状態でアップしています。
<補足>
断片的な日々の話題なので、もしもう少しまとまった形で読みたいという方は 、『子どもの考える力をぐっと引き出すお母さんの話し方』という本にこれまでの気づきをまとめていただいたので、手に取ってみてください。