虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時1

2014-06-06 05:45:44 | 日々思うこと 雑感

人や場に対する警戒心が強いために、さほど発達上の問題は感じられなくても

集団生活でうまくいかないことが多い子がいます。

うまくいかないから自己肯定感が下がって、

自己肯定感が下がるから自分の気持ちを素直に表現できなくなって、

さらに集団での活動がストレスになっていく……という悪循環に陥りがち。

 

そうした子が虹色教室に来ると、最初のうちはやっぱり緊張していて、

周囲に対してバリアを張った状態で、閉鎖的な遊び方をします。

狭い同じ部屋にいながら、きょうだい間でだけ打ち解けて、友だちやわたしと

一定の距離を保ち続ける子らもいます。

最初のうち……だけでなく、そうした緊張状態がずいぶん長く続く子もいます。

 

「そうした子にどう接したらいいですか?」

「どうしたら緊張しないようになりますか?」と問われると答えに困るけれど、

わたしが「お母さん」ではない第三者だからこそ、役に立てることはあります。

 

外の世界とその子の世界の境界面に立って、外と内との橋渡しをすることです。

境界面に風穴を開けて、内と外の風通しをよくすることともいえます。

 

この橋渡しの瞬間、風穴が開く瞬間というのは、たいてい、

無意味で無駄で停滞しているように見えたり感じられたりする時間に

起こります。ショッキングな辛い出来事がきっかけとなることも多々あります。

 

なぜって、緊張している子が閉鎖的な自分の世界で遊んでいるのは、

その状態が安心で心地よくて自由だからでしょうから。

もし、外からほかの子と一緒にする活動を求められたり、

内から「他と関わりたい」という衝動に突き動かされたりしたら、

ゆったりリラックスして過ごすことはできないでしょう。

 

たとえ自分自身の好奇心から外の世界へ踏み出したい場合でも、

安全が脅かされて、不快な気分になったり、

イライラしたり、キレやすくなったり、陰鬱で頑固になったりするはずです。

 

そんなときに、外からは、雰囲気が悪くなっていく中で

これといったことをするでなく、後味が悪いまま時間が過ぎていったように見えても、

緊張が強いその子とわたしの心と心は、それまでにないほど近づいて

絆のようなものが生じたのを実感することがあります。

「互いに共有する物語を持った」と言った方がいいかもしれません。

経験的にわたしは、子どもの変容のプロセスの始まりを垣間見たのだろう

と捉えています。

といって、あまりに取るに足らないような主観的なものなので、

言葉にするとなると気が引けるのですが、

緊張の強い子たちが外の世界で自分らしくいきいきと振舞うようになっていく

プロセスはとても似通っていて、

始まりはいつも、誰も目にとめないようなつまらない出来事です。

 

次回に続きます。 


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (彩猫)
2014-06-06 21:47:50
このような記事を、とても待ち望んでいました。
我が家の3姉妹も、程度の差はありますが、3人とも、このようなタイプです。

長女には、子育て支援センターや児童館、わらべうたの習い事に行って、時間をかけて、第三者の大人の方々のおかげで、心がほぐれるときを、じっくり見守ることができました。
ときどき、なおみ先生がブログで書かれている事例のようなことが、実際に我が子にもあって、すごく納得したことがあります。

ただ、二女は、警戒心がそれほど強くなかったのに、場面かんもくになってしまいました。三女は、警戒心も、かんもく傾向もあり、親として、子どもたちとの関わりをどうすればいいのか、悩むこともあります。

ですので、続きの記事を楽しみにしています。
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Unknown (Unknown)
2014-06-07 04:15:22
わが子たち(年長男児、三才未就園女児)もこのようなタイプかもしれません。

上の子は、幼稚園でも今だに特定の仲のよいお友達ができていないようで。どうやら自由にみんなで遊びなさいという状態が苦手で、教室内では、ごっこ遊びなど、広く浅く遊べているようですが、(ただし、家族ごっこなどはほとんど猫役などのようです)外遊びとなるとなにをしたらいいのか戸惑うらしく、結果、先生のまわりを離れなかったり、一人で園庭を走ったりしているようです。また、お友達の前ではなぜか標準語になるのも気になります。

妹も似たタイプで、家ではお互いに遠慮なくぶつかり、言いたいことも言い合えるのに、人前に出るとガラリと変わっておとなしくなります。お友達とケンカもしたことなく、小学校生活を控えて、このような状態でいいのか少し心配な日々です。
わたしも続きの記事を楽しみにしています。

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Unknown (tamaki)
2014-06-08 19:00:00
いつも記事を楽しみに拝見しています。続きの記事を読んで、うちの子にとてもあてはまるかも!とはっとしていたところでした。

こちらのコメントを拝見すると、けっこう同じようなタイプのお子さんがいらっしゃるので、それだけでほっとします。

一応、うちの子はゆっくりペースで、だんだんと人との関わりができるようになっていっているようではあるのですが、ただ、どういう個性が原因になっているのか、あまりに激しくかんしゃくを起こす時などどう対応するのがよいのか、気になっています。

また、わたしがなにかしたのがいい方向に働いたのかもしれませんが、必死にいろいろやってみていたので、どんな対応がよかったのか、どの対応はあまりよくなかったのか、などはっきりしないのでそのへんがもやもやしています。

どんなかたちでも構わないので、続きが楽しみです。

また、過去記事で関連するものがあれば教えていただけるとうれしいです。
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