虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

後々まで影響する幼児期の接し方

2021-09-05 22:13:04 | 幼児教育の基本

子どもの月齢や発達の時期によって、後々まで影響を及ぼすような大事な接し方があると感じています。

3歳の子たちは、いろいろな形で自分の頭を使いはじめるものの、常識の伴わないでたらめともいえる考え方をします。

人は、「重要そうに見えて正しいこと」は、尊重するけれど、「無意味に見えること」「どうでもいいような思いつき」「つじつまがあわない考え」などは、軽んじたり、適当に受け流したりしがちです。

また、3歳の子が口にすることよりも、世間一般で良いとされていることや大人にとって価値があることを優先することが多々あります。

 

でも、この時期は、無意味に見え、どうでもいいことばかりで、つじつまのあわない考え方をするからこそ、まだ生まれたばかりの思考の芽として、その弱さを守ってあげなくてはならないと実感しています。

大人が軽んじて無視すれば、子どもは自分が考えようとしていたことすら忘れて、大人の思考の誘導に従ってしまうからです。

大人が否定すれば、ただイライラする感情だけが残って、ぐずってイヤイヤいうことに終始するかもしれません。


2、3歳児の「へりくつ」に対する関わり方については、こちらの記事に詳しく書いています↓

2、3歳児の「へりくつ」や「意味のわからない要求」にどのように関われば良いのでしょう?

 

上の写真は1歳3ヵ月のAちゃんの写真です。

1年生のお兄ちゃんがいるので、写真のクラッシュアイスゲームを購入したところ、お兄ちゃんとお母さんがピースをはめて氷面をセッティングして、Aちゃんが氷面を一撃で壊すという関係が繰りかえされているそうです。

教室でお家と同じクラッシュアイスゲームを見つけたAちゃんは、氷のピースをお母さんとわたしに手渡しては、早く氷面を完成させるよう催促していました。

 

1歳の子たちは、「はい、どうぞ」とお母さんや身近な大人に何かを手渡すことが好きです。

1歳ちょうどの子たちは、自分の持っていたものを相手の手に落としていくか、押し付けていくような感じですが、1歳3ヵ月くらいになると、「はいどうぞ」と手渡すと、相手がそれをどう扱うかよく知っていて、それを期待して渡すようになります。

Aちゃんの場合、「いくつもいくつもピースを渡すうちにお母さんが順番にそれをはめていくので、最終的に氷の面ができがって自分がそれをたたいて遊べるな」とかなり先のことまで見通した上で遊んでいます。

Aちゃんのように相手からフィードバックを期待して働きかけるようになる時期、子どもが何を期待しているのか、こちらの行動から何を読み取っているのかに思いをはせながらていねいに接していると、その後の他者から学ぶ力に大きな影響を与えるのを感じています。

 

上の写真は、1歳1か月のBちゃんが、自分の靴下をくつの中に入れようとしているところです。

Bちゃんのお姉ちゃんのひとりが、いったん脱いだ靴下を、なくならないように靴の中に入れておく習慣があるそうなのです。

それで、Bちゃんも自分の靴下を手にすると、玄関の靴に向かっていくのです。

こうした真似っこは、繰り返すうちに、次第に<真似する相手の意図を読み取りつつ模倣する>という1ステップ進歩したものへ変化していきます。

 

1歳前半の子たちは、小さいものをつまんで、ひっぱるのが大好きです。

↑の写真は、Bちゃんのために作った「ひっぱるおもちゃ」で遊ぶBちゃんとお母さんの姿です。

こういういたずらのような遊びは、「遊んでいるな」と、ただ見守る場合が多いと思うのですが、大人が返すフィードバックと環境をわかりやすいものにする(主に情報を減らして、子どもが違いや用途に気づくようにすることです)と、1歳児さんたちは、大人とのやり取りに興じながら、相手の考えていることに関心を寄せ始めます。

「こっちは長い」「こっちは短い」「こっちはストローをさしておいて引き抜く。なぜなら、そういう形だから」「こっちは指で押さえる。」といったことを、模倣しながら理解していくだけでなく、相手の行動と理由の結びつきに敏感になっていきます。

 

子どもたちの育ちを観察していると、この時期の関わり方が、3歳頃の理由への関心や問題解決能力に影響を及ぼしているのではないかと感じています。



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